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プロローグ
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前世の自分を覚えている。ごく普通の、地味で目立たない女性だった。思い出せるのは30歳手前までで、どうやら若くして亡くなったようである。
それなのに。
気付けばオメガバースの世界にいて、性別は男になっているし、オメガだし。父親はオメガ嫌いのクズアルファだし。
夫を嫌い、領地に篭って出てこない母親。自分のことで手一杯な兄、僕がオメガだとわかると「学は要らないな」なんて言ってきた父親。使用人たちは主に追従してか、ほとんどが僕を見下してきた。
どうにか図書館に通うことは許されたものの、伯爵家という出自では、政略結婚は避けられなかった。それも、親子より年の離れたアルファの後妻になれと言う。
僕は逃げた。家を出て、身分を隠して。黒髪なのに青く目立つ目を黒に偽装し、平民のふりをして冒険者になった。
それが16歳の時のことで、性別をベータだと偽って二年暮らした。
幸い抑制剤がよく効く体質で、発情期は最初の一度以降抑えられている。このまま何もなければ良い。家には戻らず、ベータの平民として生きていけたらと思っていた。
でも。そんな願いは叶えられることなく。僕は大きな騒動に巻き込まれていく。
これは疎まれたオメガである僕がドラゴンを従えた英雄となり、愛する人と番う話。そして、この世界に安心できる居場所を得る物語だ。
それなのに。
気付けばオメガバースの世界にいて、性別は男になっているし、オメガだし。父親はオメガ嫌いのクズアルファだし。
夫を嫌い、領地に篭って出てこない母親。自分のことで手一杯な兄、僕がオメガだとわかると「学は要らないな」なんて言ってきた父親。使用人たちは主に追従してか、ほとんどが僕を見下してきた。
どうにか図書館に通うことは許されたものの、伯爵家という出自では、政略結婚は避けられなかった。それも、親子より年の離れたアルファの後妻になれと言う。
僕は逃げた。家を出て、身分を隠して。黒髪なのに青く目立つ目を黒に偽装し、平民のふりをして冒険者になった。
それが16歳の時のことで、性別をベータだと偽って二年暮らした。
幸い抑制剤がよく効く体質で、発情期は最初の一度以降抑えられている。このまま何もなければ良い。家には戻らず、ベータの平民として生きていけたらと思っていた。
でも。そんな願いは叶えられることなく。僕は大きな騒動に巻き込まれていく。
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