【完結】オメガに転生した僕は、英雄になりたいわけじゃなかった

夕月ねむ

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エピローグ

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 王都から戻って四日ほど経った。僕の体調も少しは落ち着いて、穏やかに愛し合った翌朝のこと。エディが突然とんでもない発言をした。
「出奔するか」
 …………出奔? ここから?

「え?」
「使用人も護衛も居ない場所で過ごしたくないか?」

「それは……でも……」
「冗談だよ」
 エディが笑う。
「でも、もしヒューイがそうしたいなら、隠れ家があるから言ってくれ」

「そんなもの持ってるの?」
「ああ。場所をアリスターとクレアに知られているから、いつ迎えが来るかわからないけどね」
 エディには一体何箇所の生活拠点があるのだろう。

「いつか、ケーロイにも行こう」
「そうだよね。ギルマスたちに挨拶してないし、借りていた部屋がどうなったのかとか」

 ケーロイは僕とエディが出会った場所であり、思い出のある街だ。必ず行こうと約束した。

 僕が青い目を隠さず、エディの身分も告げたら、顔馴染みの冒険者やギルドのみんなや、よく行っていた店のマスターは、どんな反応をするだろう?

 何を言われるか、少し怖いような気もするけれど、とても楽しみだ。

「あ、ヒューイ。外」
「え?」

 エディに促されて窓を見る。どうりで、冷えると思った。薄く雲が広がる空からは、ちらちらと白い雪の欠片が舞い降りてきている。

「ザガロワの冬は王都より寒い。でも、君が一緒ならきっと、暖かく過ごせるな」
 エディにそんなことを言われて。僕は微笑んで番に擦り寄る。
「そうだね。雪景色も綺麗だろうな」

 暖炉の火がパチリと音を立てた。この雪は積もるのだろうか。たとえ積もったとしても、エディが僕を凍えさせることなんてないはずだ。

 英雄になるつもりなんかなかった。けど、それがあったからこそ、僕はここに居られるのかもしれない。リサには礼を言わなくちゃいけないな。

 エディが後ろから僕を抱き込む。ほのかに愛しい番の甘やかな匂いがする。煽情的でもあるけれど、何より落ち着く。

「エディ」
 僕は振り向いて、囁いた。
 一緒に居よう。これからは、ずっと。





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