猫被りも程々に。

ぬい

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November

03※

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入った場所は先程とまた違う綺麗なホテル。
内装は違うがシステムは変わらず、色んな部屋の写真のパネルが飾られていて、下のボタンを押してから入室するものだった。

「どれがいい?」
「…どれも嫌です」
「じゃあ、これに…」
「ここにしましょう」

会長が選ぼうとしていた部屋は赤と黒でデザインされたもう見るからに怪しい部屋で俺はすかさず普通そうな部屋のボタンを先に押す。流石に冗談だったんだろうが、そっち方面の会長の趣味はよく理解してないので怖い。もしかしたら本気だったのかもしれない。

エレベーターを乗って押した部屋番号に入ると中は写真通り物凄く普通。変わったことといえばお風呂がガラス張りになっていることくらいだった。

初めてなので色々見たかったが、そんな暇を与えてくれる訳もなく、靴を脱ぐなりそのまま広すぎるベッドに押し倒された。

「…今謝ったら許してくれます?」
「許すと思う?」

思わない、と言う前に唇を重ねられ、特に抵抗することなく口を開けて舌を絡ませる。歯列をなぞられて、だんだん身体が熱帯びていくのがわかる。

服の隙間から冷たい手でお腹を触られて、会長の服にしがみつくように一生懸命唾液を飲み込む。初めてした時以来、こういった行為はしてなかったがまだ身体は覚えている様で唇を離した頃には下半身はすっかり勃ちあがっていた。

「ここ座って」

汚れるからと履いていたズボンと下着を脱がされると今度は押し倒された身体を一旦起こされ、会長に自分の前に座るよう引き寄せられる。

座って後ろから抱きしめられる形になるとまだ脱いでいない服の上からそっと胸を撫でられた。乳首には一切触れず、乳輪の周りをすりすりと指が這う。夏祭りにされた時と同じような動きで擽ったさに息が漏れた。

「それ、…、やだ…」
「気持ちよくない?」
「…わかんな、いです…」

耳を舐めながら囁かれ、頭がぼーっとする。そんなところ触ることがないから気持ちいいのかすらわからない。でも乳首に早く刺激が欲しいのは確かでだんだんと呼吸が乱れていく。

暫くそうされた後、会長の指は不意に一瞬乳首に触れ、思わず身体が跳ねた。

「ぁ、…」
「硬くなってる」
「…そこ、さわ、って、ほし…」

素直に強請れば、乳首に軽く指を置かれた。今から触ってもらえるのだと思うと期待で我慢汁が性器からとめどなく零れる。

「ぁ゛、っ、」
「乳首、こうやって優しくカリカリってされるのと」
「ん゛ぅ~…っ、」
「押し込んでグリグリ刺激されるの、どっちが好き?」

1回だけ言葉通り乳首を服の上から優しく引っ掻いた後、押し戻すように刺激してもらえたが、また先程のように指を置いて動いてくれない。どうやら俺がどっちがいいか答えるまで動く気は無いらしい。

触って欲しいというのも恥ずかしかったのに、どっちがいいかなんてすんなり口に出せる訳もなく。身体を捩ってみるも尚指はくっついたままで刺激が一向にくる気配はなかった。

「…ぁ、かり、かりってされる…の…」
「これ好きなんだ」
「ぅ、゛~…っ、!」

会長の長い指は優しく乳首をカリカリと引っ掻いて小刻みに揺らした。焦らされた刺激は気持ち良い。身体も頭も溶けそうだった。性器はもうぐちゃぐちゃに違いない。確認もしたくないので目を瞑って刺激に身を任せる。

「ぁ゛、は…っ、ぅ……っ、」

そろそろ乳首だけじゃなくて、下も触って欲しい。でもそう言いたくはなかったので自分で慰めようと手を伸ばした瞬間、絡めとられた。

「ストップ」
「…なん、で…」

そう言えば前回も性器にはあまり触らせてくれなかった。疑問に思って尋ねると会長は耳に舌を這わせた後、囁く。

「ここでイけなくなったら、女の子と出来なくなるかなって」
「…ば、か、なん…です、か…」

そんなことしなくたってする気も予定もない。でもそれを証明する方法もないので、もう言う通りにこのまま我慢するしかなかった。腰を揺らして太ももを擦り合わせながらひたすら耐える。

「ぁ、は、…っ、ぅ゛…、」
「手」

そう思っていてもどうしてもグズグズなった性器に刺激が欲しくて、自然と手が伸びてしまう。その度に戻されて、必死にシーツを掴む。

それから10分くらいは弄られてたと思う。時間の感覚もあやふやでわからない。
最初は服の上から引っ掻くだけだったが、暫く経つと服は脱がされ、動きがランダムに変わった。強く押し込んで、優しく撫でて、たまに爪で引っ掻いての繰り返し。

「ぁ゛、は、ぁ…も、…いきた、…、」
「あともう少し」
「ん゛ぅ、!」

不意打ちで親指と中指で乳首を摘まれ、身体が大きく揺れた。
摘んだまま軽く力を入れられたり、抜かれたりと不規則な刺激され、もどかしさに頭がおかしくなる。力を込められる度に性器がぴくりと動いて我慢汁が溢れた。

「みて、ちょっと力入れる度に動いてる」
「だ、ってぇ、あ゛…っ、!」
「ここ人差し指で擦ったらどーなるんだろうね」
「ぁ、゛やだ、…っ、」

触れるか触れないかくらいの距離で人差し指で触る仕草をされただけでやばい。そんなことされたら絶対変になる。もうこんなにおかしくなってるのに。
でもそんな頭とは違い、身体は押し付けようと一生懸命動いた。

「駄目?擦って欲しくない?」
「だ、め…絶対…」
「絶対?」
「ぜった、ぁ゛!、う゛ぅ~~ッ…!」

嫌だと言ったのに優しく摘んだまま人差し指で擦られて気持ちよさのあまり身体が仰け反る。たまに捻る動きも加えられて、頭を振って嫌がってもやめてくれそうもない。

「ぁ゛、や、あ…っ、も…ッ!」
「そろそろ後ろも触ろっか」
「ん、ぁ゛ …っ、は…っ、」

会長は一旦手の動きを止めると枕元にあったローションの入った袋を破って自分の手に垂らした後、左手で乳首を摘み、右手で穴を軽く撫でる。

そのままゆっくり中指を奥まで入れて動かせば、何か気づいた様子で動きを止めた。

「…1人でいじった?」
「…いじ、っ、てなっ、ぁ゛…っ」

なんですぐにそんなこと分かるんだと思ったが、口に出す余裕もない。反射的に嘘をついたが、指を大きく回すような動きに認めざる得なかった。

「前、回……入れるの、つらかったの、で…練習、しよ…とおも、って…」
「真面目だな」
「わる、いかよ…」

こんなこと言うつもり無かったのに。
1人で触ったことがバレて恥ずかしさで顔を少し俯かせると会長は俺の頭をこちらに向かせて唇を重ねる。

「ううん、可愛い」
「ン、ん、ぅ…っ、」

不意打ちで舌を絡められて、開きっぱなしの口から涎が垂れた。お腹の方を指で押されると身体が跳ねる。暫くそうされた後唇を離すと会長は耳元で優しい声で問い掛けた。

「1人でちゃんとできた?」
「…は…っ…で、きな …か、…った」
「やり方、教えてあげる」

そう一言言うと中に入っていた指を抜いて、またもう1袋ローションの入った袋を開ける。そして今度はそれを俺の掌に垂らした。

力の入らない手は会長に操作されるまま、自分の指がゆっくりと穴に飲み込まれていく。その後を追って会長の指も挿入される。2本の指を飲み込んだ中は溶けそうなくらい熱い。

「ぁ゛…ふぅ、…ん…っ、」
「そこが前立腺ね」
「は、っ、ぁ゛、そこ、へん、…っ、ぁ、~~ッ、!」

中のしこりを教えるような指の動きに一瞬で頭が真っ白になった。身体が小さく痙攣し、あっさりイってしまったのだと理解する。あまりにも早すぎる絶頂に会長が小さく笑った。

「イくのはや」
「は、だ、って、たりな、…ぁ゛、」
「ああ、そっか。1人で上手くできなかったんだっけ」
「あ゛っ、ん、…も、手、はな、して、…またい、っ~~ッ、」

1回イったくらいじゃ指は止まらず、何度も教え込むようにしこりを押されて、その度に身体が揺れる。気持ちいいけど辛い。辛さのあまり指を抜こうとしても手を抑えられて抜けなかった。

「あ、゛は、…ぁ゛あっ、」
「場所、覚えれそう?」
「も、おぼえ、た、…っ、おぼえ、…た、から、…っ、!」

頭を振り乱して答えるとやっと指が抜けて、自分もすっかりふやけてしまった指を抜いた。

呼吸を整えるために肩を大きく揺らしていたがそんな暇もなく、後ろから抱え込む体制からベッドに押し倒され、先程から腰に当たっていた硬いものを穴にあてがわれる。

「はぁ、…っ、ぅ゛~ッ、」

指よりも遥かに大きくて熱いそれは前回よりもスムーズに入っていく。でもやっぱりまだキツくて、力を抜くために深呼吸をしながらシーツを掴む。

「は、…っ、も、…ぜんぶ、はい、った…?」
「まだ半分」
「ァ、っ…ぅ、ちく、び、、今、ぁ゛、~~ッ!」

先程散々弄られた乳首を軽く吸われると一気に奥まで挿入された。全部入ったことを知らせるようにグリグリと押し付けられて、強すぎる刺激に身体を反らす。

「はっ、ぁ゛おく、やだ、…ぁ゛、!」
「こんな締め付けてよく言う」
「だ、っ、…て、は…っ、ぅ゛、!ぁ゛っ、!ん゛ぅ、ッ、!」

腰を掴まれて激しく突かれる動きに変われば、甘ったるい声が止まらず、部屋にはベッドの軋む音と自分の声が響いた。

「乳首触ったらすごいね、中」
「ぁ゛、あぁ゛も、…ッ、!ぁ゛~~ッ!あ、っ、は…っ、!ぅ゛、っ、!あ゛ぁっ、!」
「…やばいな、ほんと」

乳首を甘噛みしながら動かされるともうイったかすらも分からないくらい気持ちいい。逃げ出したくなるほどの刺激に目を瞑って、ただ受け入れるだけ。

「はぁ゛っ、…ぁ゛ア…!あっ、!う、っ、ぁ~~ッ…!」

暫くその動きを繰り返して絶頂した後。
中を掻き乱していたものが抜かれ、ふわふわの頭で会長の姿を眺める。抜いた性器についたゴムには精液が溜まっていて、達したのだと理解した。

熱の残る軋む身体をゆっくりと起こして、ゴムをとって後片付けし始めた会長の背中に擦り寄るように抱き付く。全然触ってもらえてない性器はまだ熱をもっていて我慢出来なかった。

「どうしたの?」
「…は、かいちょ、も、いきた、ぃ…」

別に勝手に触っても良かったのだが、あんなことを言われた手前一応強請るように会長の身体に擦り付ける。それだけで気持ち良くて溶けそうだった。このまま達するのもいいかもしれない。

そんなはしたない事まで考えたが、そう簡単に思い通りいく訳もなくベッドに縫い付けられたせいで刺激はお預け状態。

「さっきいったじゃん」
「ちが、だした、いんです、…、」

会長は黙ってすっかりぐちゃぐちゃの性器の裏筋を長い指が下から上に辿った。鈴口に辿り着くと優しくゆっくり円を描きながら撫で続けられ、もうイってしまいそうで、でも上手く力加減を調整されているのかイけない。

「…ぁ、っ、ちゃんと、さわ…って、…」
「どうしようかな」
「さっきの、謝る…から…っ、」

必死に懇願すると会長は少し口を噤んで静かな声で「足開いて」と言った。指示された通りに足を開くとその間に会長が入り込む形になる。
両手の指を絡めるように繋いで、綺麗な顔がそっと近付いた。

「…も、しかして舐める、んですか…」
「うん、駄目?」
「だ、め、きた、な…ァっ…」
「嫌ならやめよっか?」 

性器の近くで話されると息が当たる。
ピクピクと鈴口から我慢汁が零れ、刺激を求めて腰が動きそうになったが必死に耐えた。

舐めて欲しくない。でも舐めて欲しい。
気持ちと身体が正反対のことを考えていて、矛盾した気持ちが入り交じる。

「や、…だ…」
「どっち?」

もういっそこのまま黙って舐めてくれたらいいのに目の前の男は絶対そうしてくれない。きっと俺が舐めて欲しいと頼むまで舐めてはくれないだろう。改めて会長の性格の悪さを痛感した。

「…な、…めて…くださ…い…、」
「わかった」

小さな声でそう言うと会長は少し笑って、性器を軽く吸って咥えた。舌を裏筋に這わせ、鈴口をほじくるように弄ばれる。

「は、ぁ、ぅ、…そ、こ…きもちい、…」
「ここ?」
「ァ、はぁ゛、そ、こ…っ、も、い…く…、ッ、」

あっという間に達してしまいそうになり、腰を反らすと口が離され、刺激がなくなる。お陰で出せなかった精液は中で止まったまま透明な液だけが性器を伝う。

「な、…んで、」
「早い。もう少し楽しませてよ」
「は、ァ、っ…も、やだ、ぁ゛、…」

そこからはもう地獄だった。
イきそうになる度に刺激がなくなって、少し落ち着くとまた咥えて舐められるの繰り返し。手を離してもらおうと力を入れても離れない。もう腰を動かすことしか出来なかった。

「は、いきた、ぃ゛、、も、むり…っ、」
「ん、後5分…」
「や、っ、も゛…っ、はぁ、っ、」

泣きながら強請る俺に対し、目の前の男はやけに楽しそうに舌を這わせる。あんな仕返ししなきゃ良かった、と数時間前の自分の行動を強く恨んだ。

後5分と言われたが、時間の感覚もない。
もう経っているし、まだ経っていない気もする。もうよく分からない。

「あ゛、は…っ、い、く…いっ、…ッ、!」 
「いいよ、いって」
「くち、はなし、…て、は、ぁ゛っア、ぁ、~~ッ! 、!」

思い切り身体を痙攣させると会長は早く出せと言わんばかりに軽く吸った。もちろん俺はその刺激に我慢できる筈もなくそのまま達してしまう。

「…にが」
「は、…も、…まじで、ばか、…ありえねぇ…」

男の初めて舐めた、と枕元のティッシュに吐き出しながら言われて恥ずかしさで死んでしまいそうだった。呼吸を整えながら、時計を見るともうあれから2時間は経ってしまっている。

「立てる?」
「…むり」

立ち上がろうにも身体が動かない。手を伸ばすと会長は引き寄せるように腕を引っ張りそのまま抱えてガラス張りのお風呂に連れていかれる。

てっきり一緒に入るのかと思ったら俺を座らせるなり、出ていこうとしたので思わず引きとめてしまった。

「一緒に入らないんですか」
「…後2時間していいなら入るけど」
「じゃあ、嫌です」

普通にそれは困るので大人しくシャワーノズルに手を伸ばすと「また今度ね」と言い残して会長は浴室を後にした。

手早くお風呂から出て髪を乾かした後。
会長が入っている間に体は重かったが好奇心が勝って、そこらへんの戸棚を開けてみたり、テレビをつけてみたりと探索して暇を潰す。

それも数分で飽きて備え付けのソファーに座って携帯を弄っていると、お風呂から出て髪の毛を乾かし終えた会長が机の上にあった袋を手に取って覗いていた。

「なにその変な服」
「久我先輩からもらいました」
「へぇ、今すぐ燃やすか」

まあその気持ちもわからんことも無い。
でも賛同し切れないのは先程暇潰しがてら袋の中身を取り出して改めて眺めていた時にふと目に入った値札のせいだった。

「それ2万円するんですよ」
「…こんなのが?」
「だから部屋着にでもしようと思って」

着ないで放置しておこうかと思ったが、流石に2万円のTシャツは勿体ない。かといって普段着るには馬鹿みたいなデザインのTシャツだったのでとりあえず部屋着にすることにした。

今までそんなに実感はなかったけどそんなものをさらっと買う久我先輩は本当に金持ちなんだなと痛感する。そう考えると2万円に驚いた会長は割とまだ金銭感覚普通な方なのかもしれない。

そんなことを考えて服の入った袋から会長に視線を移すとめちゃくちゃ不満そうな顔をしていた。

「それ、俺の前では着るのやめてね」
「なんで?」
「他の男から貰った服とか普通に無理」

そう言って帰る支度をする彼に「嫉妬ですか?」とからかうつもりで分かりきったことを尋ねるとサラっと肯定され、何も返せなかった。
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