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運命の出会い①
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「今までご苦労だった。エルス、君は今日で魔術師団をクビだ」
「……は?」
ここはテレオノーラ王国の首都・ラ・テレオノーラ。
首都の中心にそびえる大きな王城の中の小さな塔の一室で、エルスは今日から職を失った。
エルスの本名は、エルス・リ・ドラフ・ログレース。
由緒正しいログレース公爵家の三男坊である。
その容姿は光り輝くプラチナブランドの巻毛に黄金の瞳と華やかなもので、大変美しいものだった。
しかし、彼は見た目の美しさを帳消しにするほどわがままで、派手好きで、性格が悪かった。
彼は公爵家の権力によってテレオノーラ王国でもっとも尊敬される三代騎士団のひとつ、魔術騎士団に入団した。
しかし、彼には絶望的に魔術が使えなかった。
魔力とはこの世界で重宝されている聖なる力である。
その神聖な力は清い心をもつ聖なる貴族の子弟に宿ると言われている。
自分の従者をいじめて追い出すようなエルスは、清い心などという言葉からはもっとも遠い存在だった。
最初は魔術騎士団の仲間たちも、ログレース公爵家だから大層すばらしい魔術使いであろうと期待の目で見ていたが、エルスが絶望的に魔術が使えないことを知ると疎ましそうな目で見るようになった。
エルスもなぜ公爵家である自分が魔術を使えないのかと癇癪を起こし、ますます魔力を失っていった。
それを見かねた魔術騎士団長でもある長兄が、彼はここにいてはよろしくないと判断してついにクビを宣告したのだった。
すっかり働く気を失っていたエルスは、しばらく実家でのんびり無職生活でも楽しもうかと思っていた。
しかし長兄は続けて言った。
「魔術が上達するまで我が家の敷居はまたがせないと父上はお達しだ。それまで神殿で神官見習いとして修行を積んできなさい」
情け容赦なく魔術師塔を追い出されたエルスは、他に行く宛もないので仕方なく神殿へ向かうことにした。
着の身着のままやってきたエルスを神官長は冷たい目で神殿に迎え入れた。
伝説の聖剣・シルドヘッドを祀るこの神殿は、テレオノーラ王国でもっとも大きな礼拝堂を持っている。
そんな神殿でエルスは見習い神官として働くことになったのだ。
「エルス、明日からはもっとも下っ端の見習い神官として働いてもらう。
まず起床は太陽が登る前。支度を整え礼拝堂に集まって、日の出とともに祈りを捧げる。
その後は先輩たちに仕事を教えてもらって、雑用をしてもらう。
くれぐれも問題を起こさないように」
神官長は口早に伝えると、一人の神官を呼んでエルスに部屋を案内するよう申し付けた
「……は?」
ここはテレオノーラ王国の首都・ラ・テレオノーラ。
首都の中心にそびえる大きな王城の中の小さな塔の一室で、エルスは今日から職を失った。
エルスの本名は、エルス・リ・ドラフ・ログレース。
由緒正しいログレース公爵家の三男坊である。
その容姿は光り輝くプラチナブランドの巻毛に黄金の瞳と華やかなもので、大変美しいものだった。
しかし、彼は見た目の美しさを帳消しにするほどわがままで、派手好きで、性格が悪かった。
彼は公爵家の権力によってテレオノーラ王国でもっとも尊敬される三代騎士団のひとつ、魔術騎士団に入団した。
しかし、彼には絶望的に魔術が使えなかった。
魔力とはこの世界で重宝されている聖なる力である。
その神聖な力は清い心をもつ聖なる貴族の子弟に宿ると言われている。
自分の従者をいじめて追い出すようなエルスは、清い心などという言葉からはもっとも遠い存在だった。
最初は魔術騎士団の仲間たちも、ログレース公爵家だから大層すばらしい魔術使いであろうと期待の目で見ていたが、エルスが絶望的に魔術が使えないことを知ると疎ましそうな目で見るようになった。
エルスもなぜ公爵家である自分が魔術を使えないのかと癇癪を起こし、ますます魔力を失っていった。
それを見かねた魔術騎士団長でもある長兄が、彼はここにいてはよろしくないと判断してついにクビを宣告したのだった。
すっかり働く気を失っていたエルスは、しばらく実家でのんびり無職生活でも楽しもうかと思っていた。
しかし長兄は続けて言った。
「魔術が上達するまで我が家の敷居はまたがせないと父上はお達しだ。それまで神殿で神官見習いとして修行を積んできなさい」
情け容赦なく魔術師塔を追い出されたエルスは、他に行く宛もないので仕方なく神殿へ向かうことにした。
着の身着のままやってきたエルスを神官長は冷たい目で神殿に迎え入れた。
伝説の聖剣・シルドヘッドを祀るこの神殿は、テレオノーラ王国でもっとも大きな礼拝堂を持っている。
そんな神殿でエルスは見習い神官として働くことになったのだ。
「エルス、明日からはもっとも下っ端の見習い神官として働いてもらう。
まず起床は太陽が登る前。支度を整え礼拝堂に集まって、日の出とともに祈りを捧げる。
その後は先輩たちに仕事を教えてもらって、雑用をしてもらう。
くれぐれも問題を起こさないように」
神官長は口早に伝えると、一人の神官を呼んでエルスに部屋を案内するよう申し付けた
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