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見習い神官の日常①
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「ここが僕の部屋」
そう言ってエルスは自室の扉を入れて、セノを中に招き入れた。
バケツを片手に中に入ったセノは「うっ!?」と叫んで空いた片手で口元を抑えた。
「なんだこの部屋、クモの巣まみれじゃないか」
「だからこれから掃除するんじゃないの。ほら、バケツ置いて早く働けよ」
エルスはセノを足蹴にしながら部屋の中に入ると、クモの巣をかき分けて窓を全開にした。
そしてほうきを手に取ると、天井に張ったクモの巣を払い出した。
エルスは決して小さい方ではないが、この部屋の天井はやたら高くて背伸びをしないとほうきが届かない。
セノは部屋の隅から雑巾を見つけると、とりあえずそれを絞って掃除を始めることにした。
エルスが上を見ながらふらふらと掃除していると、後ろに座っていたセノに足を引っ掛けてつまづいてしまった。
「うおっ、危ない!」
セノは転びかけたエルスを慌てて引っ張ると、後ろから抱きしめるように受け止めた。
エルスは思わず悲鳴を上げた。
「ぎゃーっ、僕にさわるな、変態!」
「へ、変態!? お前が足元見て動かないのが悪いんだろう」
エルスは照れているのか頬を赤くして手足をじたばたさせている。
セノは暴れるエルスを抱えたまま立ち上がりエルスを立ち上がらせると言った。
「はぁ……、危ないから天井のクモの巣は俺が取るよ。エルスはこれで机でも拭いてくれ」
「僕に命令するな!」
吠えるエルスに雑巾を押し付け、セノはほうきを奪い取った。
セノはエルスよりも頭一つ分身長が高いおかげか、やすやすと天井のクモの巣を払ってみせた。
「ふんっ、身長が高いだけのでくのぼうのくせに生意気だぞ」
「お前、本当に口が減らないな……」
セノは呆れた顔で言いつつ、黙々と部屋を掃除した。
エルスが渡された雑巾で机を拭いていると、机の裏から一匹のクモが飛び出してきた。
「ぎゃーっ! クモがいる!」
騒がしいエルスにセノは思わずほうきをおろして両耳をふさいだ。
「クモくらいなんだよ」
そう言ってセノはエルスの元に来ると、クモを指で掴んで窓から外に出してやった。
「元気で生きるんだぞ」
セノがクモに手を降っていると、横からエルスは「二度と僕の部屋に近寄るなよ!」と吠えた。
「お前さぁ、助けてもらってありがとうくらい言えないわけ?」
「なんで高貴な僕があんたなんかに感謝しなきゃいけないんだ」
嫌味とかではなく本気でそう思ってそうなエルスに、セノは頭を抱えた。
すると、ふと床を見た時にエルスの足元にクモがもう一匹現れた。
「あ、クモ」
「ぎゃーっ! 早く外に追い出せ!」
相変わらず絶叫するエルスに、セノはにやりと笑って言った。
「ありがとうって言わなきゃ嫌だ」
そう言ってエルスは自室の扉を入れて、セノを中に招き入れた。
バケツを片手に中に入ったセノは「うっ!?」と叫んで空いた片手で口元を抑えた。
「なんだこの部屋、クモの巣まみれじゃないか」
「だからこれから掃除するんじゃないの。ほら、バケツ置いて早く働けよ」
エルスはセノを足蹴にしながら部屋の中に入ると、クモの巣をかき分けて窓を全開にした。
そしてほうきを手に取ると、天井に張ったクモの巣を払い出した。
エルスは決して小さい方ではないが、この部屋の天井はやたら高くて背伸びをしないとほうきが届かない。
セノは部屋の隅から雑巾を見つけると、とりあえずそれを絞って掃除を始めることにした。
エルスが上を見ながらふらふらと掃除していると、後ろに座っていたセノに足を引っ掛けてつまづいてしまった。
「うおっ、危ない!」
セノは転びかけたエルスを慌てて引っ張ると、後ろから抱きしめるように受け止めた。
エルスは思わず悲鳴を上げた。
「ぎゃーっ、僕にさわるな、変態!」
「へ、変態!? お前が足元見て動かないのが悪いんだろう」
エルスは照れているのか頬を赤くして手足をじたばたさせている。
セノは暴れるエルスを抱えたまま立ち上がりエルスを立ち上がらせると言った。
「はぁ……、危ないから天井のクモの巣は俺が取るよ。エルスはこれで机でも拭いてくれ」
「僕に命令するな!」
吠えるエルスに雑巾を押し付け、セノはほうきを奪い取った。
セノはエルスよりも頭一つ分身長が高いおかげか、やすやすと天井のクモの巣を払ってみせた。
「ふんっ、身長が高いだけのでくのぼうのくせに生意気だぞ」
「お前、本当に口が減らないな……」
セノは呆れた顔で言いつつ、黙々と部屋を掃除した。
エルスが渡された雑巾で机を拭いていると、机の裏から一匹のクモが飛び出してきた。
「ぎゃーっ! クモがいる!」
騒がしいエルスにセノは思わずほうきをおろして両耳をふさいだ。
「クモくらいなんだよ」
そう言ってセノはエルスの元に来ると、クモを指で掴んで窓から外に出してやった。
「元気で生きるんだぞ」
セノがクモに手を降っていると、横からエルスは「二度と僕の部屋に近寄るなよ!」と吠えた。
「お前さぁ、助けてもらってありがとうくらい言えないわけ?」
「なんで高貴な僕があんたなんかに感謝しなきゃいけないんだ」
嫌味とかではなく本気でそう思ってそうなエルスに、セノは頭を抱えた。
すると、ふと床を見た時にエルスの足元にクモがもう一匹現れた。
「あ、クモ」
「ぎゃーっ! 早く外に追い出せ!」
相変わらず絶叫するエルスに、セノはにやりと笑って言った。
「ありがとうって言わなきゃ嫌だ」
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