「桜の下の禁じられたメロディ」

あらやん

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第一章: 運命の出会い

話11:初詣と再びの邂逅

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クリスマスイブの翌朝、冬休みの静かな日差しが部屋を照らしていた。奏はベッドに座り、唯奈への電話を迷いながらもかけた。昨夜の出来事が心に重くのしかかっていたが、唯奈と話すことで少しでも心の重荷を軽くしたいと願っていた。

電話が繋がり、唯奈の声が聞こえた時、奏はほっと安堵した。「唯奈、おはよう。昨日はごめんね。今日、午後に図書館で会えないかな?」

唯奈は少しの間を置いてから、優しい声で応えた。「おはよう、奏さん。大丈夫です。午後の図書館、いいですよ。」

約束をして、電話を切った後、奏は一人で考え込んだ。唯奈への気持ちは変わらないが、昨夜の香奈の反応が二人の関係にどのような影響を与えるのか、心配でならなかった。

午後、約束の時間に奏は図書館に到着し、唯奈と再会した。二人は静かな場所を見つけて座り、昨夜の出来事について話し始めた。

「唯奈、昨日のことで気持ちが揺れているかもしれないけど、私は変わらないよ。でも、周りの目もあるから、どう接していいか悩んでる。」奏は率直に心の内を明かした。

唯奈も奏の手を握りながら、深刻な表情で応えた。「私も同じです。奏さんへの気持ちは変わりません。でも、香奈さんのような反応を見ると、不安になります。私たち、どうしたらいいのかしら…」

二人は図書館で長い時間を過ごし、お互いの心の内を語り合った。その時間は、奏と唯奈にとって、これからの関係をどう築いていくかを真剣に考える重要な機会となった。冬休みの静けさの中、二人の心はお互いを理解し、共に未来を模索する決意を固めていた。

冬休みが終わり、学校が再開される日が近づくにつれ、奏と唯奈はクラスメイトである香奈との再会に不安を抱えていた。香奈の反応が二人の関係にどのような影響を与えるのか、心配で避けられない重苦しさを感じていた。

そんな中、奏と唯奈は大晦日と正月の予定を考えることにした。二人は、年末年始をどのように過ごすかについて、電話で話し合った。

「唯奈、大晦日はどうする?二人で何か特別なことをしたいな。」奏は気を取り直して、明るく提案した。

唯奈も奏の言葉に元気づけられ、考えを巡らせた。「そうですね、私たちだけの時間を過ごしたいです。お家で映画鑑賞とか、どうでしょう?」

「いいね!お家デートも楽しそう。正月は初詣に行こうか。新年を二人で迎えられたら素敵だよね。」奏はポジティブに提案し、唯奈に笑顔を見せた。

唯奈は奏の提案に心から賛同した。「はい、それすごくいいですね!新年を奏さんと迎えられるなんて、幸せです。」

このように年末年始の計画を立てながら、奏と唯奈は少しずつ冬休み明けの不安を乗り越え、前向きな気持ちを取り戻し始めていた。しかし、心の奥底には、学校が再開されたときに香奈とどのように接するかという思いが残り続けていた。

大晦日と正月の計画を立てることで、奏と唯奈はお互いへの絆を再確認し、新しい年を迎える準備を始めた。年末年始は、二人にとって新たな始まりと希望の象徴となる予感がしていた。

新年を迎えた奏と唯奈は、約束通り一緒に初詣に出かけた。神社の境内は、新年を祝う人々で賑わっており、二人は手を繋いで参道を歩いた。厳かな雰囲気の中で、奏と唯奈は新たな年への願いを込めて祈った。

「今年もお互いを大切にしようね。」奏は祈りを捧げた後、唯奈にそっと語りかけた。

「はい、奏さん。今年も一緒にたくさんの思い出を作りましょう。」唯奈は優しく微笑み、奏の手を強く握った。

しかし、その幸せな時間は長くは続かなかった。突然、香奈が神社の門前で二人の姿を目にしたのだ。

「えっ、奏と唯奈?また二人でデート?ちょっと驚いたわ。」香奈は驚きの表情を隠しきれずにいた。

奏と唯奈は再び香奈との突然の遭遇に動揺を隠せなかった。唯奈は少し顔を伏せ、奏は困惑しながらも香奈に応えた。

「あ、香奈、あけましておめでとう。ただ、お互いの時間を大切にしてるだけだよ。」

香奈は二人の関係に少し複雑な感情を抱いている様子で、何かを言いたげな表情をした後、小さく頷いた。「そう、おめでとう。私は友達と来てるの。じゃ、またね。」

香奈が去った後、奏と唯奈は互いに見つめ合い、深いため息をついた。二人の関係を取り巻く周囲の反応に、改めて心を痛めつつも、お互いの手をしっかりと握りしめた。

初詣の後、奏と唯奈は静かに家路につきながら、今年もお互いを支え合うことを誓い合った。しかし、香奈との再会は、二人の関係に新たな試練をもたらすこととなり、これからの道のりが簡単ではないことを改めて思い知らされた。
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