「桜の下の禁じられたメロディ」

第三章: 新たな関係と進展

話７：冬休みの危機と共に立ち向かう決意

冬休みが近づき、学校の雰囲気も少しずつ変わり始めていた。奏、唯奈、そして香奈は一緒にいる時間が多くなり、去年のクリスマスイブにイルミネーションを見に行ったことを思い出していた。

その時、奏と唯奈がキスをしようとした瞬間に香奈にバッタリ出会ったことを、三人は今でも鮮明に覚えていた。奏と唯奈は、その時の状況を照れくさい思い出として心に留めていたが、香奈にはキスしようとしていたことを隠していた。

冬の日差しを感じながら、唯奈はふと言った。「あの時、二人がキスしようとしていたこと、香奈は気づいていたのかな？」とからかうように言った。

奏と唯奈は顔を見合わせて、照れ笑いを浮かべながら誤魔化した。「いやいや、そんなことないよね、唯奈。」

三人は去年の出来事を楽しそうに話し合いながら、冬の日の温かさを感じていた。そのとき、香奈の友人である美雪が後ろから近づいてきた。

「香奈、椎名。学期末テストの準備は大丈夫？」美雪は心配そうに尋ねた。香奈と唯奈は一瞬で現実に引き戻され、「あっ、そうだった。テストの勉強もしないとね」と口を揃えた。

去年のクリスマスイブの思い出話は、美雪の登場で一旦中断されたが、奏、唯奈、そして香奈にとっては、お互いに対する深い理解と友情が育まれていることの証となった。冬休みが近づくこの時期は、彼女たちにとって新たな感情の発見と成長の機会となっていた。

冬休みが間近に迫る中、三人の間には思いも寄らない危機が訪れた。香奈が担任の先生に呼び出され、少し沈んだ表情で教室に戻ってきたのだ。

奏が心配そうに香奈に尋ねた。「香奈、何かあったの？」

香奈はため息をつきながら答えた。「実は…テストの点がやばくて、今回のテストが悪かったら冬休みは補修授業なんだって…」

その言葉を聞いて、奏も唯奈も驚いた。二人は香奈の成績について心配し、今までのテストの点数を尋ねた。香奈が点数を明かすと、奏は絶望の表情を浮かべた。

その時、美雪が一言加えた。「だから言ったじゃん。テスト勉強、もっと真剣にやらないと。」

唯奈はその状況を受け入れ、前向きな提案をした。「じゃあ、これから毎日放課後はテスト勉強にしよう。みんなで力を合わせれば、きっと大丈夫だよ。」

奏も唯奈の言葉に力をもらい、「そうだね。香奈、一緒に頑張ろう。冬休み、みんなで楽しく過ごせるように。」と励ました。

香奈は奏と唯奈の支えに感謝し、「ありがとう、二人とも。一緒に頑張ろう。」と力強く答えた。

この冬休みの危機は、奏、唯奈、そして香奈にとって、互いに支え合い、困難を乗り越える大切さを改めて教えてくれた。三人は放課後の時間を利用して共にテスト勉強に励み、冬休み補修を回避するための決意を固めた。この試練は、彼女たちの絆をさらに強くし、お互いに対する信頼を深める機会となった。

放課後、図書室に集まった奏、唯奈、香奈、そして美雪は、テスト勉強に集中していた。真剣な雰囲気の中で、美雪はふとした疑問を投げかけた。

「奏と唯奈が仲いいのは知ってたけど、香奈はいつから二人と仲良くなったの？幼馴染の私に内緒で。」美雪は少し微笑みながら、からかうように香奈に尋ねた。

その言葉に香奈は少し照れながら、去年のクリスマスや正月に偶然出会ったこと、そしてその後の海への旅行や学園祭での一緒に盛り上げようとしたことなどを話し始めた。

香奈の話を聞いた美雪は、冗談まじりに驚いた様子で言った。「もう、幼馴染の私をほったらかして！なんでそんな楽しそうなことやってるの？」

香奈は美雪の問い詰めに笑いながら誤魔化した。「えー、ごめんごめん。次は絶対美雪も誘うから、許して！」

美雪のからかいと香奈の返答に、空間には和やかな笑いが広がった。この放課後の時間は、テスト勉強という緊張感の中にも、友情と笑いが溢れる温かいものとなった。奏、唯奈、香奈、そして美雪の間には、学業のプレッシャーを乗り越えるための強い絆と、互いを思いやる心が存在していた。

この日の勉強会は、彼女たちにとって、一緒にいることの楽しさと、共に成長することの喜びを改めて教えてくれた。冬休みが近づくこの時期は、彼女たちにとって、新たな感情の発見と、深い友情の結びつきを育む大切な機会となっていた。