世間に良くある既婚パーソナルジムトレーナーと人妻のイケる関係

しらかわからし

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第2話:ポッチャリの約束、揺れる週末

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 同窓会の翌日、同級生から和聖にその時の写真がLINEを通じて送られ沢山の写真の数々だった。これも良くある事だが禿てしまって誰だか分からない人やナッチを含め体重が三倍になってしまった人。皆の変身した面白い写真だったが、どれだけ外見は変わっても昔のままの気持ちのいい奴ばかりだった。

参加して本当に良かったと心から実感していた。ただ残念な事が一つだけ。和聖はそれほど優秀ではなかったがクラスで一番優秀で彼と仲が良く歯医者をやっていた奴が、酒を飲んだ後の入浴中に溺れて他界したことだった。

ナッチの画像もあり和聖は何となく心が騒めいた。四十歳になっても時めいている自分に照れた。

「社長だったら洋服を買うのも大変だよね?」二次会の隣に座った時に和聖は夏美に言われた。
「一応はネクタイ着用だけど春夏はノーネクタイで、仕事中は基本、ジャージだから」
「そうなんだ。私が働いている市役所と一緒だね?」
「市役所なんだ」
「うん、障害福祉課よ。それも今、問題になっている非常勤公務員って待遇だけどね」
「でもナッチの旦那は有名な会社に勤務しているって聞いたことがあるけど」
「そうだけど、だからこそ主人の前では肩身が狭いんだ。それにこんなに太ったから。主人はスレンダーが好きで私と結婚したから」
「そっか、俺なんか今のナッチの方が好きだけどな」
「そんなお世辞なんかいらないよ」
「お世辞じゃないよ」
「じゃぁ、神宮寺君に特別レッスン、そうだ主人は週末には泊りがけのゴルフに行くから、その時にうちに来て個人トレーニングをしてくれない?」
「痩せさせる為に?」
「そうよ。だってパーソナルトレーニングジムを経営しているんでしょ?」
「そうだけど。今のままのポッチャリが好きなんだけどな」
「じゃぁ、約束ね。今度の土日に待っているから」
「うん。わかったよ。特別料金でやってやるよ」
「うれしい。ところで神宮寺君は柔道整復師の資格を取ったの?」
「うん。柔道整復師と鍼灸師と……。後は止めとくよ」
「後は?」
「自慢に思われるから言わないようにしているんだ」
「そんな自慢なんて思わないから言ってよ!」
「最初の二つは体調管理系の保有資格で、食事管理系資格は栄養士とスポーツフードアドバイザーで、トレーナーとしての資格は健康運動実践指導者と障がい者スポーツ指導員で、その他の資格は社員がそれぞれ取っているから」
「大学で思いっ切り勉強を頑張ったんだね。凄いね!」
「子供やお年寄りなどの人間相手の現場で働くのが好きだからさ。一番好きなのは障害者なんだけどね。彼らは純真だからね。社長業じゃなくて現場に戻りたいと思う時が最近良くあるんだ」
「現場じゃなくても立派だと思うよ。他人の事なんか関係ない、自分さえ良ければという世知辛いご時勢なのに、そうやって他人を思える仕事に就こうとして学生時代に猛勉強していたなんて、尊敬しちゃうよ。だって学校の番長で喧嘩ばかりしていたんだよ。あの時は……」
そんなナッチとの会話を思い出していた。
 
 和聖は四十歳になるという事に全く馴染めないでいた。高校生の頃、四十歳という年齢への響きとイメージは「日々に疲れ果てた薄汚れた大人たち」だった。しかし和聖が四十歳になり今思う事は生きるだけで必死で大変な時という印象だった。「自分も一緒だ」と思う事が良くあった。

 十年前に起業してここまで来た。誰もが羨むように会社がどんどん大きくなっていき、周りからは良くやっていると思われているかもしれないが、その反面、常に結果を求められ、メインバンクからも期待され、部下からも常に見られているという日常の日々はかなり精神面での疲弊がある。しかしそういった激務の中でも一所懸命にそして誠実に生きてきたつもりだった。

 そんな時に開かれた高校の同窓会は乾き切っていた和聖の心に水浸しになるほどの打ち水をしてくれた。あの頃は思いっ切り背伸びをして突っ張って生きていたけど何をやっても心から笑える自分だった。そんな若かりし自身を思い出し、「思いっ切り青かったな」と苦笑した。ナッチは知的で優しい笑顔で接してくれた。高校時代の彼女や和聖自身の事を思い出して妄想に耽っていた。

つづく
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