サレ夫が愛した女性たちの追憶

しらかわからし

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第4章

15話-3 勤務6日目 大崎からの相談

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今日も英子と富田は次のパートがあるので帰って行った。

今日は珍しく大崎が、私が食べているテーブルに来て、「ご一緒して宜しいでしょうか?」と言った。

「どうぞ」

相変わらず、大崎はいつもと同じカレーライスだけを食していた。

「僕、この会社を辞めようと思っているんです」と大崎が唐突に言い出した。

「また、どうしてですか?」

「僕、本当はフロント希望で入社したのですが、『フロントはいっぱいだから、その内に回すから』と社長から言われていたのですが、もう三年やってもフロントに回してもらえなかったので辞めようと思っているんです」

「次に就職する当てでもあるのですか?」

「バスの運転手をしようと思っていて、大型二種を取ろうと思っているのですが、ここに居たら、教習所も通えないので」

「そのような夢があるのでしたら、辞めても良いんじゃないですかね?」

「久留実野さんはそう思われますか?」

「はい、やりたくない仕事を生活の為だけに嫌々しているよりは男は夢を持って新たな事に挑戦するのは良い事だと思いますよ」

「実はフロントに居る、品川さん副支配人以外のメンバーは全員、同じのホテルから来たのです」

「そうだったのですね。でしたら余計にフロントがやりたかったですよね」

「はい」

「大崎さんの人生なのですから好きなように生きた方が、後で悔いが残らないと思いますよ。それでも悔いは残るんですけどね」と言って苦笑した。

「久留実野さんは、何か後悔していることでもあるのですか?」

「はい、沢山ありますよ。人生は自分の思うようには生かしてはくれませんからね」

「前の職場でのことですか?」

「職場だけでなくて日常生活でも、このホテルに転職してからでも……、ただもう少し頑張れば、新たなホテルができるから、一応それまで待ってみては如何ですか?」

「そうなんですか。今まで待っていたのですから、待ってみるのもありですよね。ありがとうございました」

「後、教習所に行きたいのでしたら、品川さんに相談してみては如何ですか?中抜け休憩の時間をもっと空けてもらうとか?早番専門にしてもらうとか?」

「そうですね。相談してみます」

「自分の人生ですから何でも前向きに、挑戦した方が良いと思いますよ」

「そうですね。スッキリしました。もう一点訊いても良いですか?」

「はい」

「久留実野さんのスーツですが、いつも格好が良いと思っているのですが、どこで買われているのですか?」

「紳士服のコナカって知っていますか?」

「青山とかの量販店ですよね?」

「はい、そこに以前、前の職場のパートさんが就職されて、その人が私に合うスーツを出してくれるので、それを買って着ているだけですよ、二着で幾らの安物ですから」

「フロントの皆といつも話していた事なんです」

「そうなんですね」

「スッキリしたので良かったです」

「頑張って下さい」

「はい、ありがとうございました」

つづく
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