25年間の闘いー奪われた恋、奪い返す命ー

しらかわからし

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第3章 過ぎゆく温もり:王の側室となった彼女へ

8-8話 密会:静かに交わる心と知性

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ある水曜日の前夜、グレッグの研究室に一通の手紙が届いた。
差出人はイルザ先生。そこには短く、「ハンナには内緒で会ってほしい」とだけ記されていた。
待ち合わせ場所は、街の外れにある静かな宿だった。

グレッグは、彼女と二人だけで会いたいと思っていた。
講習のない夜、馬車に揺られながら、彼は心の奥にある期待と緊張を抱えて宿へ向かった。

「先生、待たせましたか?」
「いいえ、今来たところよ。部屋は予約してあるから安心して」
二人はバーへ向かい、静かにグラスを傾けた。

イルザは、過去十年間、誰にも心を許せなかったことを語った。
「あなたと出会ってから、何かが変わったの」
その言葉に、グレッグは静かに頷いた。

バーの灯りは柔らかく、周囲のざわめきが遠くに感じられた。
二人の間には、教師と生徒という枠を越えた、静かな信頼が芽生えていた。

バーを後にし、予約された部屋へ。
イルザは、グレッグが開発した化粧品を使っていることを告げた。
「肌が本当に変わったの。あなたの研究は、私の生活を変えてくれたわ」

グレッグは、彼女の言葉に胸を打たれながら、バッグから試作品を取り出した。
それは、彼が開発した新しい大人向けのリラクゼーション器具だった。
「率直なご感想を聞かせてください」

イルザは少し驚きながらも、興味深そうに頷いた。
「未知の世界ね。でも、あなたが作ったものなら信じてみたい」

その夜、二人は研究者と協力者として、そして人として、静かに心を通わせた。
それは、情熱と知性が交差する、密やかな実験の夜だった。

つづく
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