25年間の闘いー奪われた恋、奪い返す命ー

しらかわからし

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第3章 過ぎゆく温もり:王の側室となった彼女へ

8-18話 再会と違和感:教室に吹く新しい風

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商売と薬の研究開発に追われていたグレッグは、しばらく庭師の講習を休んでいた。
ようやく落ち着きを取り戻したある日、彼は事前に連絡を入れ、久々に教室へと足を運んだ。

教室では、ハンナが新しい受講者に手ほどきをしていた。
その男性はアルノーと名乗り、先月から講習に参加しているという。
ハンナは笑顔で説明を続けていたが、その表情にはどこか張りつめたものがあった。

「久しぶりね」とイルザが微笑む。
「いつもお店に来てくださってありがとうございます」と、グレッグは丁寧に頭を下げた。

ハンナも笑顔を見せながら言った。
「グレッグさん、お久しぶり。お店が忙しいみたいね。私はなかなか行けなくてごめんなさい」
その言葉には、どこか棘のような響きがあった。

グレッグは、アルノーに挨拶をする。
「グレッグです。よろしくお願いします」
しかし、返ってきたのは笑みもなく「よろしく」の一言だけだった。
年下にもかかわらず、その態度にグレッグは小さな違和感を覚えたが、顔には出さなかった。

講習が終わると、ハンナが食事に誘った。
「グレッグさんもいらしたことだし、ママ、アルノーさんも一緒にご飯に行かない?」
イルザも「いいわね」と応じ、アルノーは満面の笑みを浮かべた。

向かった先は、グレッグがかつて働いていた食堂だった。
厨房に顔を出すと、後輩が驚いたように声をかけてきた。
「アルノーと一緒に来たのですか?」
「たまたま講習で一緒だっただけだよ」とグレッグが答えると、後輩は言った。
「女主人が、グレッグ先輩が通っている庭師の教室にアルノーを紹介したんですよ」

その言葉に、グレッグの胸に二つの疑問が浮かんだ。
なぜアルノーは教室で自分がこの店で働いていることを言わなかったのか。
そして、なぜ女主人は自分の通う教室に彼を紹介したのか。

席に戻ると、アルノーは「教室で言わなくてすみません」と一言。
グレッグは「いえ」とだけ返し、それ以上は何も言わなかった。

アルノーは、イルザとハンナに自分が女主人の甥であることを明かした。
その理由で挨拶を控えたというが、グレッグの中には、言葉にできない違和感が残っていた。

それは、静かに吹き始めた新しい風のようだった。

つづく
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