和菓子屋「桔平」と恋するインフルエンサー

しらかわからし

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第47話:命を懸けた挑戦

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市議としての任期を終えた水島康彦は、次なる挑戦として県議会議員への立候補を決意した。広島市の枠を越え、県全体の課題に取り組む覚悟を胸に、心平に相談を持ちかけた。
「心平、ワシ、県議に挑戦しようと思うんじゃ」
「ほうか、ええ決断じゃ。ワレの後継者も育ったことだしワシらでまた応援するけぇ、安心せえ」
桔平では再び選挙支援体制が整えられ、麗奈がSNS戦略を練り、翔太はポスター貼りを手伝った。鉄平は地域の商工会に働きかけ、支援の輪を広げた。桔平の従業員たちも「康彦さんのためなら」と仕事の合間を縫って応援活動に参加し、店内には応援メッセージが掲示された。

しかし、県議選は市議選とは違い、広範囲にわたる有権者との接触が必要だった。康彦は連日、県内各地を回り、演説を重ねたが、農村部では知名度が低く、思うように支持が広がらなかった。

「水島さん、あなたのことは知らないけど、広島市の人でしょ? うちの町のこと、分かるんですか?」
そんな声に、康彦は真摯に耳を傾けた。「分かるように努力します。まずは、皆さんの声を聞かせてください」
彼は、地元の祭りや朝市にも顔を出し、農家の人々と膝を突き合わせて語り合った。時には手伝いながら話を聞き、「この人は本気だ」と少しずつ信頼を得ていった。

一方、対立候補は地元出身で、長年の地盤を持つベテラン議員だった。康彦の演説中に妨害まがいのヤジが飛ぶこともあり、心平はその様子を見て胸を痛めた。
「康彦、無理するなよ。ワシらは応援するけぇ、焦らんでええ」
「ありがとう、心平。でも、ワシはこの広島県を変えたいんじゃ。負けるわけにはいかん」

選挙終盤、康彦は体調を崩しながらも、最後の街頭演説に立った。声はかすれ、顔色も悪かったが、彼の言葉には魂がこもっていた。
「広島の未来は、皆さんの手の中にあります。ワシは、その未来を守るために、命を懸けて働きます!」
その姿に、多くの市民が心を動かされた。投票日、桔平の事務所では再び祈るように開票速報を見守った。そして深夜、僅差ながらも当選の報が届いた。
心平は康彦を抱きしめ、「よう頑張ったのう、ワレはほんまに立派じゃ」と涙を浮かべて言った。康彦は、苦戦を乗り越え、広島県の未来を担う新たな一歩を踏み出した。
その瞬間、桔平の店内では拍手が鳴り響き、従業員たちが「広島の希望がまた一つ生まれた」と口々に語り合った。康彦の挑戦は、広島の人々の心に深く刻まれた。

その夜、康彦夫婦と寅之助を交え心平と麗奈、鉄平、翔太と共に桔平の店でささやかな祝賀会を開いた。赤飯と饅頭が並ぶ食卓で、康彦は「この一歩は、皆の力で踏み出せた」と語り、翔太は「僕もいつか広島のために働く!」と元気に宣言した。家族と仲間の絆が、広島の未来を照らしていた。
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