スキル:浮遊都市 がチートすぎて使えない。

赤木 咲夜

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導入編

第3話 どうぞ、お構いなく

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<日本 大阪>
俺はスーパーに向かっていた。途中には寂れた商店街があるのだが、ここ最近ものすごい客だ。

20個ある大阪ダンジョンの入り口のうちの一つが商店街のお店の一つを潰して誕生したので、その周りの商店街の皆様は大喜びだ。大阪ダンジョンの入り口は京都や神戸にもあるのだが。

潰れた店の店主も始めは怒っていたが、ダンジョン入り口はその出現した土地の所有者が使用権を持つらしく、商店街自治会から使用料としてお金をもらってるらしい。

曰く、
働かなくてお金をもらえてワシはハッピー。商店街もダンジョンのおかげで売り上げがものすごい上がってハッピー。
らしい。

大阪ダンジョンで無料で入れる入り口はこの商店街含めて2つだけなので大人気だ。
名前も大阪ダンジョン商店街に変わったらしい。

ポーションショップ
スキル鑑定紙・アイテム鑑定紙買取
ダンジョン武器販売
ダンジョン用品レンタル
ダンジョン弁当
アナザーアイテムトレード
ダンジョンマップ最新版
ダンジョン通貨両替
ダンジョン管理センター商店街支部

俺はダンジョン商店街には用事がないので、商店街は素通りするつもりだったが、気になる看板が多い。

ポーションショップ入り口には
ダンジョン産低級ポーション買取 1本1万円
本物保証 低級ポーション 1本2万円 売切
というチラシが貼られている。

本物保証って偽物でも出たのか。

ダンジョン武器屋には日本刀を始め、いろんな刃物がずらり。そして明らかに人工物ではない青色の刃物がガラスケースに入っている。弓矢やボウガンも売っているらしい。

レンタル屋は名前通り。ダンジョンで使う道具をレンタルしているらしい。武器防具、リュックに折り畳みスコップ、ランタンとかいろんな物をレンタルしているらしい。

ダンジョン入り口の隣の八百屋がスキル鑑定紙・アイテム鑑定紙買取ショップになっていた。もちろん野菜も売っている。
武器と防具を持った主婦がダンジョン帰りに買っていっているみたいだ。

シュール

ダンジョン入り口には何やら大阪府と書かれたジャケットを着た係員がいて、なにかをチェックしている。

ダンジョン入り口と書かれた看板の下には
「ダンジョン入場する時は、必ず大阪ダンジョンの護符をお持ちください」
と書かれている。

どうやら係員は大阪ダンジョンの護符を持っているか確認しているらしい。

ダンジョン横のお店は何故か服屋だった。

少し入り口から離れるとアナザーアイテムトレードというお店は行列ができていて、大きな文字で「大阪ダンジョンの護符 金貨1枚」と書かれている。

その隣には転売屋とデカデカと書かれた看板、大きな紙に大阪ダンジョンの護符買取7000円と書かれていた。販売は1万3000円らしい。

行列はできていないが、数人転売屋の方に出入りしている。

転売屋の前に見覚えがある制服をきた女子が2人。
そして1人が俺に気付いてやってくる。


さくら 俺の妹だ。
妹は俺の自転車の前籠をしっかりと掴む。
そして俺の髪を思いっきり掴み顔を引き寄せた。
「お兄ちゃん、ポーションあと3本作れる?」
耳がこそばい。あと髪が引っ張られて痛い。

「お、おう。」
思わず正直に答えてしまった。

妹は黙って俺の手を掴むと道路脇まで引っ張る。
倒れる自転車慌てる俺、少し笑っているもう1人の女子中学生。

道路端、電柱の影。
妹は黙ってニコっと手を出す。

顔はお金頂戴と言っている気がするが、求めているのはポーションだろう。

俺は黙って低級ポーションをスキルを使って金貨で購入。

妹は俺のスキルステータスを見ることはできないから、何をしているかはわからないだろう。

もちろん、妹のスキルステータスを俺が見ることはできない。

俺は低級ポーションのアンプル3本を渡した。

「ありがとう、お兄ちゃん。」
妹はそう言いながら手を振り、もう1人の女の子と共にアナザーアイテムトレードに入っていった。

うん、さっさとスーパーに行こう。

俺は倒れた自転車を起こし、スーパーへと急いだ。

----

「大阪ダンジョンの護符高いな。さすがにこれがないと怖いし。」

ゆりちゃんとダンジョンに行こうと約束し、大阪ダンジョンの護符を買いに転売屋に来た。
本当は隣のトレード屋で買うと安いのだが、隣の店はダンジョン通貨しか使えない。
トレード屋さんのアイテムを隣の転売屋が日本円で販売しているらしい。

大阪ダンジョンの護符は、見た目銅でできたアクセサリーで、ネックレスのように首にかけたり、何回か巻いてブレスレットのように手首に巻くのが一般的なアイテム。これを身につけていると、ダンジョン内で死んだとしてもダンジョン入り口付近の蘇りの石の上で生き返ることができるらしい。ただし持っていた全ての持ち物を失う。

逆にいうと、この護符がないとダンジョン内で死んだら本当に死ぬ。護符があるとダンジョン内では命の保証がある。

以上ネット情報

ポーション買取1万円
護符 1万3000円

一つも買えない。

「ゆりちゃん、どうしよう。今私こんなにお金持ってきてないよ。」
「そうね、私も持ってきてないわ。学校の帰りに買い物すると思っていなかったので。」
少ししょんぼりするゆりちゃん。

私はゆりちゃんの困った顔に少し萌えつつ、解決策を考えていた。

「せめてもう3本くらいポーションがあればいいのに。」

私はため息を吐いた。

「仕方がないか。一度家に帰って財布取りに行こう。」
「そうね。」

2人で帰路に着こうと歩き出そうとした時、兄と目があった。

私は迷わず兄の乗っている自転車をホールド。
背が高くて耳が遠いので髪の毛掴み、私は要件を言った。
「お兄ちゃん、ポーションあと3本作れる?」
「お、おう。」

兄の返事を聞くと私は無理矢理兄を電信柱の裏に引っ張った。今ポーションは不足しているので、ポーション作成スキルを見せるのは良くない。

兄も自覚しているのかRINEで秘密にするよう言っていたので、文句は言わないだろう。

電信柱の影に隠れると兄は目に前でポーションを3本作ってくれた。なにもないところに突然ポーションが出現するのは驚きだが、それほど珍しい光景ではない。

私は兄にお礼をいって、ゆりちゃんとアイテムトレードの店に入った。

「すいません、低級ポーション買取お願いします。あと、大阪ダンジョンの護符2つください。」
「少々お待ちをー。」

こうして私はゆりちゃんの分含め、二つの護符を手に入れた。

----

買い物が終わり、家に帰ると剣道服を来た妹と玄関ですれ違った。

「剣道場に行くなら向こうで着替えろよ。ここからその格好でいくと目立つぞ。」

「剣道場には行かないよ。ほらこれ見て。」
そう言って妹は普段は押し入れにしまっている日本刀を見せる。

「どうするんだよ、それ。」

「今からゆりちゃんとダンジョンに行くの。ほらゆりちゃんもきたよ。」

二階から剣道着姿の女の子が降りてくる。ボティラインがしっかりしていて、髪を後ろで軽く括っている。腰には日本刀が刺さっていた。
「こんにちは、お邪魔しています。」
と俺の姿を見ていう。なんだがポワポワした雰囲気だ。

「お兄ちゃん、あんまりじろじろ見ちゃダメだよ。」
ジト目で俺を見る妹

「いや、悪い。なんかポワポワしてるなって。」
俺は正直に思わず言ってしまった。

「そうでしょ、このぽあぽあ感いいでしょ。めっちゃ萌えるでしょ。これで私と同じ中学生3年生だよ。しかも剣道私より強いんだよ。この前府大会優勝してるんだよ。このぽあぽあで。」

横で「さくらー、やめてよ。恥ずかしいよ。」と少し泣きそうな袴女子。

「そうそう、ポーション2本余っちゃたけど、貰うね。怪我したくないし、念のためね。」

そう言いながらゆりちゃん共に出かける妹。

俺は嵐のような妹に気が抜けた。

「とりあえずお肉とか冷蔵庫に入れるか。」
俺は日常に戻った。

----

部屋に戻り、高校の授業動画を再び垂れ流しにする。
そしてベットに寝転んだ。

「あー、今日はなにもしてないのに疲れたな。大阪ダンジョンの護符ってなんだろう。」

俺はスマホで大阪ダンジョン 護符で検索する。

「なるほどね。ダンジョンで死なないようにするアイテムか。これなかなかいいな。」

俺はスキルステータスを開いた。

本日の最大人口 4691人。
ダンジョン部 1090人
都市部 3601人
保有ポイント 6630P(+4691P)
所有ゴールドコイン 1M(+1M/月) GC

+ルート管理(自動)
-資源管理(自動)
 +航空燃料販売ON
 +電気200V(契約)
 +飲用水道(契約)
-都市管理(一部自動)
 +破壊不可指定ON
 +臨時政府委任ON
 -流通自動管理ON
  +トレードセンター解放ON
 -個人カード管理ON
  +旅券VISA機能ON
  -ゴールドコイン銀行ATMカード機能ON
   +金貨表示
   -電子マネーON
    +2者間取引ON
   +鍵機能ON
   +トレードセンターON
   +浮遊都市外使用OFF
   +登録外使用OFF
 +自動運行路面電車ON
-ダンジョン管理(自動)
 -ダンジョンアイテム自動生成ON
  +レアアイテムボックス出現ON
 +モンスター自動生成ON
 +難易度調整機能ON
+防御と攻撃(無効)

空港建設完了(貸100K GC/月)
政府施設(管理タワー)設置(貸200K GC/月)
浮遊都市一部委任(貸700K GC/月)

メッセージ3件

護符が。どんな感じにしようか。

あ、せっかく個人カードがあるし。ここに追加しよう。

ダンジョン内保険制度って、なんかファンタジーっぽくなくて嫌だな。でも使えるからいいや。
細々した設定面倒だから自動にしてっと。

俺は適当に数字を割り振る

保険利用者はダンジョン1回入場ごとに1SC消費
ダンジョン内死亡時は個人カードと保険を掛けたアイテムのうち、死亡時に持っていたアイテムのみ回収可能。

こんなもんか。

本日の最大人口 4691人。
ダンジョン部 1090人
都市部 3601人
保有ポイント 630P(+4691P)
所有ゴールドコイン 1M(+1M/月) GC

+ルート管理(自動)
-資源管理(自動)
 +航空燃料販売ON
 +電気200V(契約)
 +飲用水道(契約)
-都市管理(一部自動)
 +破壊不可指定ON
 +臨時政府委任ON
 -流通自動管理ON
  +トレードセンター解放ON
 -個人カード管理ON
  +旅券VISA機能ON
  -ゴールドコイン銀行ATMカード機能ON
   +金貨表示
   -電子マネーON
    +2者間取引ON
   +鍵機能ON
   +トレードセンターON
   +浮遊都市外使用OFF
   +登録外使用OFF
  +ダンジョン内生命保証制度ON
 +自動運行路面電車ON
-ダンジョン管理(自動)
 -ダンジョンアイテム自動生成ON
  +レアアイテムボックス出現ON
 +モンスター自動生成ON
 +難易度調整機能ON
+防御と攻撃(無効)

空港建設完了(貸100K GC/月)
政府施設(管理タワー)設置(貸200K GC/月)
浮遊都市一部委任(貸700K GC/月)

メッセージ3件



6000ポイントも持っていかれた。
なるほど。ポイントを使って新しい機能をつけるのか。

俺はついでにメッセージを確認する。
2つは南大西洋浮島と北極海浮島の管理人からで、シャトル便発着許可申請だった。

よくわからないから許可。

もう一つはこの前英語のメッセージを送ってきた人からのメッセージだった。

差出人 世界連合 アナザーワールド委員会

本文 こんにちは、はじめまして。私は世界連合アナザーワールド委員会委員長マグナ・フットです。
この文章を読んでいるあなたは浮遊都市スキルをお持ちの方だと存じています。
先日のメッセージから、あなたは日本国に住んでいるだろうと思います。
あなたが持っているそのスキルは大変希少性が高いもので、世界の均衡を容易に崩してしまうものです。もしもあなたがそのスキルを思うがままに使うと世界中が混乱し、不要な争いさえ生む可能性があります。
ついてはこのメッセージで身元を明らかにしていただきたいです。我々世界連合はあなたの身分と人権を護ります。
アナザーワールド委員会のあなたのスキル運営を導き、世界に平穏と秩序をもたらします。

世界連合所属アナザーワールド委員会
委員長 マグナ・フット


なんだこれ、明らかに危ないやつやん。

俺は「どうぞ、お構いなく」と返信した。
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