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元宮高校編
第14話 事件1
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高校2日目、アンジェリーナは二日酔いで休みだ。
朝こそちゃんと起きたものの、みんなを転送し、俺の家でギブアップ。そのまま自分の部屋で寝た。
「松ちゃん、やっぱりアンジェリーナは来なかったのか?」
休み時間に聞きに来る真斗。
「...みたい。そのまま寝たと思う。」
あえて二日酔いとかお酒とかの単語を使わずに話す。合法とはいえ、高校ではいい印象はない。
「昨日あれだけ行けば、そうなるよな。俺も将来気をつけないと。」
と言う真斗に俺は
「大丈夫、俺たちはきっとそこまでいかない。」
と答えた。
相変わらず授業にはついていけない。そして昨日は隣にアンジェリーナがいたのに、今日はいない事に寂しさを感じた。
昼食、俺は真斗に案内され、食堂で弁当を食べる事になった。真斗の従兄弟、志帆も一緒だ。
「松ちゃんは、もう少し射撃を練習した方がいいと思います。今までは真斗にもゆりさんも余裕があるので連携と言いつつ、大きく避けて射線を確保してくれてましたが、特に真斗はこれから先余裕がなくなってくると思います。そうなると、射撃は近接戦闘メンバーの動きを読んで打つしかなくなります。」
珍しい志帆の警告、真斗は「なんで俺なんだよ。」と言っている。
「昨日のように白ポーションを飲んで挑むフロアを優先的に攻略していくように皆さんに提案します。誤射してもダメージがないうちに射撃の腕を上げてください。」
とっても真面目な話をしているが、志帆は高校生なのに小学生並みの容姿。
俺は昔志帆の頭を撫でていたように。撫でながら、「おう。今のうちに頑張るわ。」と言った。志帆は容姿を気にしているので子供扱いされてちょっと不機嫌になった。弁当のタコさんウインナーを食べる姿は怒られた小学生みたいで、その不機嫌も台無しだ。
3人でダンジョンの出来事について雑談しながら弁当を3人で食べていると志帆が急に立ち上がった。
「次の時間体育であることをすっかり忘れていました。真斗、松ちゃん、また放課後に会いましょう。」
そう言って志帆は慌てて食堂を出る。
「まだ昼休憩終わるまで30分以上あるからのんびりすればいいのに。日直とかで体育の準備の手伝いであるのか?」
真斗は志帆の行動に少し不信感を覚えた。
----
今日は物が無くなる。
上履きのロッカーに入れていた、属性弾調整キット、新品の属性弾。
無くしたわけではない。明らかに荷物から物が盗まれているのだ。
昨日まではそう言うことはなかった。
真斗は違う学年なので、よく教室とは別の場所で弁当を食べる。
その癖で何も考えずに教室を出てしまった。
それに気づいて教室に帰ると、私の鞄を漁る2人組がいた。
「ちょっと、何故私の鞄を漁ってるんですか?」
そう言った瞬間、2人は慌てて教室から出て行った。
「え、さっきの人玉城さんの友達じゃないの?玉城さん頼まれてノートを探しに来たって言われたから、いつも鞄に入れてたって教えちゃったよ。」
私の前に座る河合さんは慌てて状況を説明した。
ロッカーで無くなったのはダンジョン関連の物。私が鞄の中にしまっているダンジョン関連の物といえば、ダンジョン銃とそのメンテナンスキット。だけど、今日はダンジョン銃はメンテナンス中でここにはない。
私は何が盗まれたか確認する。
何が盗まれたかはすぐに分かった。
それは私がダンジョン銃を持ってから付けているモンスター弱点属性と行動パターンを記したノート。
「やられました。私のノートが盗まれました。」
データ武器だ。大体のモンスターは頭に入っているが、出現回数が少ないモンスターとか、人に聞いて記したものはまだ覚えていない。
「ノートか。一応先生に言って、ノート提出が出来ないかもしれない事を言おう。」
河合さんは泣きそうな私に声をかけてくれてた。
「ノート提出は関係ありません。盗まれたノートは私のダンジョンでの日記みたいな物で、そこにはモンスターの情報、弱点、何が有効かを細かく書いてあるのです。」
私は盗られたのが悔しくてそのまま泣いてしまった。
ーーーー
「松ちゃん、クラブとか入ってないわよね?」
「クラブか。多分誘われても入らないよ。神山が入っているクラブに入って欲しいの?」
教室に帰ると急に話しかけてきた神山。
「いや、そうではなくて。松ちゃんの先輩を名乗る3年生が松ちゃんとサンディさんの机の場所を聞いてきたのよ。2人は転校したばかりだから、怪しいとは思ったけど、机の場所を教えたのよ。そしたら頼まれているものがあるって言っていきなり机の中や、鞄を漁り出したから、慌てて止めたのよ。そしたら慌てて逃げて行って。」
「なんだそれ、新手のドロボー?俺帰宅部だからいっぱい先輩はいると思うけど。」
俺は驚きつつもちょっとふざけて言う。
「それを見ていた森がさっきその3年生を追いかけて行った。隣のクラスの真斗でも同じ事件があって、真斗の方はそのまま荷物を漁られたらしいよ。」
神山がそう言っていると、息を切らした森が教室に帰ってくる。
「あー、早い。追いつけなかった...。フェンスはよじ登るし、階段を使わずに飛び降りるし。最後は校舎裏を歩いていた3年の先輩にぶつかって、怒られたよ。」
そう言って勢いよく水筒のお茶を飲む森。
「そのぶつかった先輩、グルかもね。」
「ああ、今から考えたらそうかもしれない。けどぶつかった時はそんな事まで考えられなかった。」
神山の指摘に森は賛成した。
「真斗、松ちゃんとくれば次は森か、私かもしれないわね。あと、隣のクラスの鈴ちゃんかな。」
同じ中学出身メンバーを上げていく神山。
「今日は荷物はロッカーに入れて鍵をかけたほうがよさそうだな。」
「私もそうする。念のために鈴ちゃんと真斗に連絡するわ。」
森と神山は念のために警戒することに。
「俺はまだロッカーの鍵ないし、荷物少ないから持って帰ることにする。」
念のためアンジェリーナの荷物も持って帰るか。
ーーーー
放課後、今日は装備を一式メンテナンスに出してダンジョンには行けないので、俺の家で集まってギルドホームに行くことになっていた。
「あー、大分マシになったけど、まだ頭がクラクラするわ。」
家に帰ってアンジェリーナの部屋に行き、様子を尋ねるとぐしゃぐしゃの髪を押さえながら言った。
昨日と比べると資料の量が明らかに増えている。何かを調べたのか、研究していたのか。
その様子を見たアンジェリーナは
「昨日のダンジョン、あの毒だけど。ちょっと気になることが多くて実験しようと資料集めしていたのよ。頭が痛くて、集めただけになってしまったけど。」
相変わらずの実験バカだ。
「二日酔いくらいちゃんと寝たらどうだ?普段あまり寝てないだろう?」
「睡眠なんて、1日3時間取れば十分よ。もしも1日8時間ねれば人生の1/3は何もできない時間よ。私は研究に人生を捧げて生きる人種なのよ。研究のためならダンジョンも潜るし、研究が出来なくならない程度なら危険も犯す。法だって必要なら犯すわ。研究よりも優先するのはチャンくらいよ。」
アンジェリーナは俺に告白してからは俺が逆に恥ずかしくなるようなことを2人っきりの時は平気で言うようになった。だが、すぐに赤くなる。
「話は変わるけど、今日俺とアンジェリーナの学校の机が漁られたんだ。正確には神山のお陰で未遂に終わったけど。だからアンジェリーナの荷物一旦全部持って帰ったぞ。」
ちょっとかわいそうだったが俺が耐えられないので、アンジェリーナの話を打ち切りし今日の事件の報告と荷物について伝えた。
「ちょうどいいわ。学校で考えていたアイディアをメモった紙を机の中に置きっぱなしだったのよね。」
アンジェリーナはそう言って俺が持って帰った紙袋を開くアンジェリーナ。
「ない資料とかあるか?」
「そんなの知らないわよ。いちいちメモした紙を覚えているかと聞くのと等しいわ。実際そうだし。でもその泥棒幸運ね。もしも私の資料を盗むとアメリカとEUと世界連合が出てくるわ。」
そんな危険なものを学校に置いとくな!!
「冗談よ。メモくらいでそこまでは動かないわ。未発表の論文の紛失とかなら、本当に動くかも知れないけど。それも犯人探しではなくて、情報欲しさね。博士号の論文検証が終わったらしいから、そろそろ別法則があると気づく研究者も出てくるはずだから。」
「何がアメリカのドラマみたいだな。論文が機密指定になったり、情報を求めて軍が動くって。」
俺は落ちている全く読めない英語の資料を手に取って言った。
「情報戦に日本が弱すぎるだけだわ。情報を制するものが世界を制するってのが情報戦の常識よ。日本は理論を突き詰めて新しいものを作るのは得意だけど、そこら辺はダメね。企業ではひと昔前のOSのパソコンを平気で使うし、世界ではEメールの時代にファックス。私、日本に来てファックス始めて見たわ。世界では博物館レベルの代物よ。」
家中にインターホンのチャイムがなる。
俺は慌てて玄関に向かった。
「みんな揃ったわね?どうしたの志帆?目が真っ赤よ。」
みんな揃ったので、転移しようと肩を組んだが志帆の様子がおかしいことに気づいて訊ねるアンジェリーナ。
「ちょっと事件があってな。後で説明する、一応みんなに関係あるし、志帆は嫌がるけど気になるだろうし。」
真斗がそう言うとアンジェリーナは「わかったわ」と一言言って、最果てパーティギルドのギルマス室に転移した。
ギルドホール。
ちょとしたおやつや、ドリンクバーの様な業務用バリスタでコーヒー入れ、テーブルにくばるアンジェリーナ。もう完全にアンジェリーナの家だ。
古く見えるように作られた椅子に全員が腰掛ける。
「何ていうか、ちょっとみんな真面目になっちゃうけど...。」
真斗はそう言って間をとった。
「今日、志保の属性弾とその調整道具。いつも使っていたダンジョンノートが盗まれた。
属性弾と調整道具はロッカーに入れていたらしい。鍵はかけてなかったどうだ。ダンジョンノートは昼休みに、俺と松ちゃんと食堂でご飯を食べたあと確認したらなかったらしい。」
一斉に志帆を守る俺たち。志帆は少し悔しそうな顔をしていた。
「もう一つある。普段ダンジョンにポーションを持ち歩いているけど、あのポーションのうち俺が持っていた低級ポーションが一本盗まれた。これは完全に俺の不注意なんだけど、何かあったとき用に一本だけ普段から持ち歩いていたんだけど、それを鞄の中に入れっぱなしで昼休みに盗まれた。松ちゃんのおかげであまり高いって認識がなくなってて警戒してなかった。」
「そういえば、私に机とチャンの机も未遂だけど漁られたらしいじゃない?盗まれたものはダンジョン関係。荷物を漁られたのは全員私たちのパーティ。おそらく、ダンジョンに関連のある人の仕業ね。」
アンジェリーナはそう言って、ミルクがたっぷりと入ったコーヒーを一口のむ。
「目立つ私や、クラスのみんながダンジョンに潜ってるのが知られている真斗だけではなく、あまり目立たないチャンまで狙われているから、犯人は2年生の可能性が高いわね。」
「いや、クラスの神山と森の話では3年生のピンバッチをつけていたらしいんだ。普段見ない先輩だから名前とか全くわからないらしいけど。」
俺は情報をレイズする。
「私も犯人を見ました。」
志帆が話始める。
「私、嫌な予感がしてすぐに教室に戻ったんです。あの時は体育があるって言いましたが、午前中にロッカーから属性弾が盗まれていたので。それで荷物が心配になったんです。
私の荷物を漁っていたので注意すると、走って逃げました。顔はちゃんと覚えていませんが、前に席の人が言うには1年生だったらしいです。ただ1年生は入学して1ヶ月だからお互い名前も知らない人が多くて誰かわからないそうです。」
志帆は盗まれた時の詳しい状況を説明した。
「昼休みに一斉に私たちのメンバーだけ狙われて、盗まれたのは全部ダンジョン関係。犯人は3年生と1年生。高校が関係なかったら恨まれる先はいっぱいあるけど、高校内となると何も思い付かないわ。」
アンジェリーナはそう言って、お菓子を摘む。
「おれ、恨まれる様なこと全然してないぞ。」
「あら、最果て鍛冶ギルドの事務所の手紙を全部処分したの誰だっけ?個人からの手紙も企業からの手紙も全部まとめてゴミ箱に捨てたじゃない?人によってはそれだけで恨む対象よ。」
アンジェリーナに言われて思い出す。確かに処分していいと言われたので全部ゴミ袋に入れた。
おっと?恨まれる原因おれ?
「それにメンバー公開はしていないけど、最果て鍛冶傘下ギルドのギルド旗と紋章は最果て鍛治ギルドで公開されているし、私たち以外の傘下ギルドはみんな10万人越えの大規模ギルドだし。傘下に入りたいギルドからすると私たちはイージス艦の威厳を借りたアリね。私以外のメンバー全員が未成年って知ったらきっと嫉妬の嵐よ。」
なんかいまとんでもない事を言わなかったかアンジェリーナ。
そんなに人から恨まれるなら傘下辞めようぜ。
「さすがに盗んだ相手は私たちが最果て鍛冶ギルド傘下パーティだとは知らないだろうけど、その怖さを知ってもらいましょう。最果て鍛冶ギルドに連絡して、捜査班を遣してもらうわ。最近最果て鍛冶ギルドのギルマスが海賊に武器を使われて怒って作った組織らしいけど、役に立ちそうだわ。」
連絡をしようとするアンジェリーナを俺と真斗と志帆は止めた。
「「「やりすぎ」」です」
「高校も知らない事件なのに、犯人さえ見つけて盗まれたものを返して貰えばいい話なんだ。」
「でも、このままではなんの情報もないわよ。犯人を見つけるにしても盗んだものを返してもらって、それで終わりでは私は治らないわ。私の机も未遂だけど漁られたのよ。物欲しさに何に手を出したか身をもって教えるのが筋よ。」
真斗とアンジェリーナが言い合う。
「でも、それを高校生にするのは違うだろう?それに大騒ぎすればみんなに迷惑がかかる。」
「そんなの関係ないわ、未成年なら未成年をさばく法律があるくらいなのよ。それに迷惑がかかってるのは私たちよ。迷惑かけているのが犯人。そのセリフは犯人に言うべきだわ。」
どちらも正論だから落とし所がなさそうだ。
「アンジェリーナの気持ちはわかるけど、高校の事件は高校の先生に任せるのがいいんじゃない?とりあえず明日先生に報告しよう。さすがにギルドの話は言えないけど。ポーションもダンジョンの保険用に買っていた物って説明すればいいし。属性弾弾を学校で調整したらダメって校則はないから。
アンジェリーナは得意の科学技術で何か探せない?ポーションの値段や属性弾の調整器具は結構な値段するし、犯人を探し出したいのは全員一緒だから。」
俺は真斗とアンジェリーナの間に入って妥協案を言う。
「チャンが言うならそうするわ。専門ではないけど操作用の薬品とか買ってくるわ。」
アンジェリーナは折れてくれた。
「科学調査もやりすぎな気がするけど、松ちゃんの顔を立てるよ。」
真斗もちょっと不服だが折れてくれた。
「真斗、志帆。明日朝一番に机の指紋を探すわ。さすがに止めないわよね、真斗?犯人を見つけるためだから協力してよね。あと、鞄の中に教科書とか入ってなかった?指紋が残りやすそうなもの全部調べたいわ。」
アンジェリーナ以外の高校組3人は明日早朝誰も教室にいない時間に学校に行くことになった。あまり目立つのも良くないと真斗が言ったからだ。
志帆はもしかしたらノートが帰ってくるかもしれないのでちょっと嬉しそうだ。
ーーーーーーーーーーーー
お知らせ
次回は物語の続きではなく、設定の一部公開、設定秘話、キャラの設定理由など、この物語の世界の裏話になります。
一部ネタバレを含むので苦手な方は15話まで飛ばしてください。
朝こそちゃんと起きたものの、みんなを転送し、俺の家でギブアップ。そのまま自分の部屋で寝た。
「松ちゃん、やっぱりアンジェリーナは来なかったのか?」
休み時間に聞きに来る真斗。
「...みたい。そのまま寝たと思う。」
あえて二日酔いとかお酒とかの単語を使わずに話す。合法とはいえ、高校ではいい印象はない。
「昨日あれだけ行けば、そうなるよな。俺も将来気をつけないと。」
と言う真斗に俺は
「大丈夫、俺たちはきっとそこまでいかない。」
と答えた。
相変わらず授業にはついていけない。そして昨日は隣にアンジェリーナがいたのに、今日はいない事に寂しさを感じた。
昼食、俺は真斗に案内され、食堂で弁当を食べる事になった。真斗の従兄弟、志帆も一緒だ。
「松ちゃんは、もう少し射撃を練習した方がいいと思います。今までは真斗にもゆりさんも余裕があるので連携と言いつつ、大きく避けて射線を確保してくれてましたが、特に真斗はこれから先余裕がなくなってくると思います。そうなると、射撃は近接戦闘メンバーの動きを読んで打つしかなくなります。」
珍しい志帆の警告、真斗は「なんで俺なんだよ。」と言っている。
「昨日のように白ポーションを飲んで挑むフロアを優先的に攻略していくように皆さんに提案します。誤射してもダメージがないうちに射撃の腕を上げてください。」
とっても真面目な話をしているが、志帆は高校生なのに小学生並みの容姿。
俺は昔志帆の頭を撫でていたように。撫でながら、「おう。今のうちに頑張るわ。」と言った。志帆は容姿を気にしているので子供扱いされてちょっと不機嫌になった。弁当のタコさんウインナーを食べる姿は怒られた小学生みたいで、その不機嫌も台無しだ。
3人でダンジョンの出来事について雑談しながら弁当を3人で食べていると志帆が急に立ち上がった。
「次の時間体育であることをすっかり忘れていました。真斗、松ちゃん、また放課後に会いましょう。」
そう言って志帆は慌てて食堂を出る。
「まだ昼休憩終わるまで30分以上あるからのんびりすればいいのに。日直とかで体育の準備の手伝いであるのか?」
真斗は志帆の行動に少し不信感を覚えた。
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今日は物が無くなる。
上履きのロッカーに入れていた、属性弾調整キット、新品の属性弾。
無くしたわけではない。明らかに荷物から物が盗まれているのだ。
昨日まではそう言うことはなかった。
真斗は違う学年なので、よく教室とは別の場所で弁当を食べる。
その癖で何も考えずに教室を出てしまった。
それに気づいて教室に帰ると、私の鞄を漁る2人組がいた。
「ちょっと、何故私の鞄を漁ってるんですか?」
そう言った瞬間、2人は慌てて教室から出て行った。
「え、さっきの人玉城さんの友達じゃないの?玉城さん頼まれてノートを探しに来たって言われたから、いつも鞄に入れてたって教えちゃったよ。」
私の前に座る河合さんは慌てて状況を説明した。
ロッカーで無くなったのはダンジョン関連の物。私が鞄の中にしまっているダンジョン関連の物といえば、ダンジョン銃とそのメンテナンスキット。だけど、今日はダンジョン銃はメンテナンス中でここにはない。
私は何が盗まれたか確認する。
何が盗まれたかはすぐに分かった。
それは私がダンジョン銃を持ってから付けているモンスター弱点属性と行動パターンを記したノート。
「やられました。私のノートが盗まれました。」
データ武器だ。大体のモンスターは頭に入っているが、出現回数が少ないモンスターとか、人に聞いて記したものはまだ覚えていない。
「ノートか。一応先生に言って、ノート提出が出来ないかもしれない事を言おう。」
河合さんは泣きそうな私に声をかけてくれてた。
「ノート提出は関係ありません。盗まれたノートは私のダンジョンでの日記みたいな物で、そこにはモンスターの情報、弱点、何が有効かを細かく書いてあるのです。」
私は盗られたのが悔しくてそのまま泣いてしまった。
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「松ちゃん、クラブとか入ってないわよね?」
「クラブか。多分誘われても入らないよ。神山が入っているクラブに入って欲しいの?」
教室に帰ると急に話しかけてきた神山。
「いや、そうではなくて。松ちゃんの先輩を名乗る3年生が松ちゃんとサンディさんの机の場所を聞いてきたのよ。2人は転校したばかりだから、怪しいとは思ったけど、机の場所を教えたのよ。そしたら頼まれているものがあるって言っていきなり机の中や、鞄を漁り出したから、慌てて止めたのよ。そしたら慌てて逃げて行って。」
「なんだそれ、新手のドロボー?俺帰宅部だからいっぱい先輩はいると思うけど。」
俺は驚きつつもちょっとふざけて言う。
「それを見ていた森がさっきその3年生を追いかけて行った。隣のクラスの真斗でも同じ事件があって、真斗の方はそのまま荷物を漁られたらしいよ。」
神山がそう言っていると、息を切らした森が教室に帰ってくる。
「あー、早い。追いつけなかった...。フェンスはよじ登るし、階段を使わずに飛び降りるし。最後は校舎裏を歩いていた3年の先輩にぶつかって、怒られたよ。」
そう言って勢いよく水筒のお茶を飲む森。
「そのぶつかった先輩、グルかもね。」
「ああ、今から考えたらそうかもしれない。けどぶつかった時はそんな事まで考えられなかった。」
神山の指摘に森は賛成した。
「真斗、松ちゃんとくれば次は森か、私かもしれないわね。あと、隣のクラスの鈴ちゃんかな。」
同じ中学出身メンバーを上げていく神山。
「今日は荷物はロッカーに入れて鍵をかけたほうがよさそうだな。」
「私もそうする。念のために鈴ちゃんと真斗に連絡するわ。」
森と神山は念のために警戒することに。
「俺はまだロッカーの鍵ないし、荷物少ないから持って帰ることにする。」
念のためアンジェリーナの荷物も持って帰るか。
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放課後、今日は装備を一式メンテナンスに出してダンジョンには行けないので、俺の家で集まってギルドホームに行くことになっていた。
「あー、大分マシになったけど、まだ頭がクラクラするわ。」
家に帰ってアンジェリーナの部屋に行き、様子を尋ねるとぐしゃぐしゃの髪を押さえながら言った。
昨日と比べると資料の量が明らかに増えている。何かを調べたのか、研究していたのか。
その様子を見たアンジェリーナは
「昨日のダンジョン、あの毒だけど。ちょっと気になることが多くて実験しようと資料集めしていたのよ。頭が痛くて、集めただけになってしまったけど。」
相変わらずの実験バカだ。
「二日酔いくらいちゃんと寝たらどうだ?普段あまり寝てないだろう?」
「睡眠なんて、1日3時間取れば十分よ。もしも1日8時間ねれば人生の1/3は何もできない時間よ。私は研究に人生を捧げて生きる人種なのよ。研究のためならダンジョンも潜るし、研究が出来なくならない程度なら危険も犯す。法だって必要なら犯すわ。研究よりも優先するのはチャンくらいよ。」
アンジェリーナは俺に告白してからは俺が逆に恥ずかしくなるようなことを2人っきりの時は平気で言うようになった。だが、すぐに赤くなる。
「話は変わるけど、今日俺とアンジェリーナの学校の机が漁られたんだ。正確には神山のお陰で未遂に終わったけど。だからアンジェリーナの荷物一旦全部持って帰ったぞ。」
ちょっとかわいそうだったが俺が耐えられないので、アンジェリーナの話を打ち切りし今日の事件の報告と荷物について伝えた。
「ちょうどいいわ。学校で考えていたアイディアをメモった紙を机の中に置きっぱなしだったのよね。」
アンジェリーナはそう言って俺が持って帰った紙袋を開くアンジェリーナ。
「ない資料とかあるか?」
「そんなの知らないわよ。いちいちメモした紙を覚えているかと聞くのと等しいわ。実際そうだし。でもその泥棒幸運ね。もしも私の資料を盗むとアメリカとEUと世界連合が出てくるわ。」
そんな危険なものを学校に置いとくな!!
「冗談よ。メモくらいでそこまでは動かないわ。未発表の論文の紛失とかなら、本当に動くかも知れないけど。それも犯人探しではなくて、情報欲しさね。博士号の論文検証が終わったらしいから、そろそろ別法則があると気づく研究者も出てくるはずだから。」
「何がアメリカのドラマみたいだな。論文が機密指定になったり、情報を求めて軍が動くって。」
俺は落ちている全く読めない英語の資料を手に取って言った。
「情報戦に日本が弱すぎるだけだわ。情報を制するものが世界を制するってのが情報戦の常識よ。日本は理論を突き詰めて新しいものを作るのは得意だけど、そこら辺はダメね。企業ではひと昔前のOSのパソコンを平気で使うし、世界ではEメールの時代にファックス。私、日本に来てファックス始めて見たわ。世界では博物館レベルの代物よ。」
家中にインターホンのチャイムがなる。
俺は慌てて玄関に向かった。
「みんな揃ったわね?どうしたの志帆?目が真っ赤よ。」
みんな揃ったので、転移しようと肩を組んだが志帆の様子がおかしいことに気づいて訊ねるアンジェリーナ。
「ちょっと事件があってな。後で説明する、一応みんなに関係あるし、志帆は嫌がるけど気になるだろうし。」
真斗がそう言うとアンジェリーナは「わかったわ」と一言言って、最果てパーティギルドのギルマス室に転移した。
ギルドホール。
ちょとしたおやつや、ドリンクバーの様な業務用バリスタでコーヒー入れ、テーブルにくばるアンジェリーナ。もう完全にアンジェリーナの家だ。
古く見えるように作られた椅子に全員が腰掛ける。
「何ていうか、ちょっとみんな真面目になっちゃうけど...。」
真斗はそう言って間をとった。
「今日、志保の属性弾とその調整道具。いつも使っていたダンジョンノートが盗まれた。
属性弾と調整道具はロッカーに入れていたらしい。鍵はかけてなかったどうだ。ダンジョンノートは昼休みに、俺と松ちゃんと食堂でご飯を食べたあと確認したらなかったらしい。」
一斉に志帆を守る俺たち。志帆は少し悔しそうな顔をしていた。
「もう一つある。普段ダンジョンにポーションを持ち歩いているけど、あのポーションのうち俺が持っていた低級ポーションが一本盗まれた。これは完全に俺の不注意なんだけど、何かあったとき用に一本だけ普段から持ち歩いていたんだけど、それを鞄の中に入れっぱなしで昼休みに盗まれた。松ちゃんのおかげであまり高いって認識がなくなってて警戒してなかった。」
「そういえば、私に机とチャンの机も未遂だけど漁られたらしいじゃない?盗まれたものはダンジョン関係。荷物を漁られたのは全員私たちのパーティ。おそらく、ダンジョンに関連のある人の仕業ね。」
アンジェリーナはそう言って、ミルクがたっぷりと入ったコーヒーを一口のむ。
「目立つ私や、クラスのみんながダンジョンに潜ってるのが知られている真斗だけではなく、あまり目立たないチャンまで狙われているから、犯人は2年生の可能性が高いわね。」
「いや、クラスの神山と森の話では3年生のピンバッチをつけていたらしいんだ。普段見ない先輩だから名前とか全くわからないらしいけど。」
俺は情報をレイズする。
「私も犯人を見ました。」
志帆が話始める。
「私、嫌な予感がしてすぐに教室に戻ったんです。あの時は体育があるって言いましたが、午前中にロッカーから属性弾が盗まれていたので。それで荷物が心配になったんです。
私の荷物を漁っていたので注意すると、走って逃げました。顔はちゃんと覚えていませんが、前に席の人が言うには1年生だったらしいです。ただ1年生は入学して1ヶ月だからお互い名前も知らない人が多くて誰かわからないそうです。」
志帆は盗まれた時の詳しい状況を説明した。
「昼休みに一斉に私たちのメンバーだけ狙われて、盗まれたのは全部ダンジョン関係。犯人は3年生と1年生。高校が関係なかったら恨まれる先はいっぱいあるけど、高校内となると何も思い付かないわ。」
アンジェリーナはそう言って、お菓子を摘む。
「おれ、恨まれる様なこと全然してないぞ。」
「あら、最果て鍛冶ギルドの事務所の手紙を全部処分したの誰だっけ?個人からの手紙も企業からの手紙も全部まとめてゴミ箱に捨てたじゃない?人によってはそれだけで恨む対象よ。」
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おっと?恨まれる原因おれ?
「それにメンバー公開はしていないけど、最果て鍛冶傘下ギルドのギルド旗と紋章は最果て鍛治ギルドで公開されているし、私たち以外の傘下ギルドはみんな10万人越えの大規模ギルドだし。傘下に入りたいギルドからすると私たちはイージス艦の威厳を借りたアリね。私以外のメンバー全員が未成年って知ったらきっと嫉妬の嵐よ。」
なんかいまとんでもない事を言わなかったかアンジェリーナ。
そんなに人から恨まれるなら傘下辞めようぜ。
「さすがに盗んだ相手は私たちが最果て鍛冶ギルド傘下パーティだとは知らないだろうけど、その怖さを知ってもらいましょう。最果て鍛冶ギルドに連絡して、捜査班を遣してもらうわ。最近最果て鍛冶ギルドのギルマスが海賊に武器を使われて怒って作った組織らしいけど、役に立ちそうだわ。」
連絡をしようとするアンジェリーナを俺と真斗と志帆は止めた。
「「「やりすぎ」」です」
「高校も知らない事件なのに、犯人さえ見つけて盗まれたものを返して貰えばいい話なんだ。」
「でも、このままではなんの情報もないわよ。犯人を見つけるにしても盗んだものを返してもらって、それで終わりでは私は治らないわ。私の机も未遂だけど漁られたのよ。物欲しさに何に手を出したか身をもって教えるのが筋よ。」
真斗とアンジェリーナが言い合う。
「でも、それを高校生にするのは違うだろう?それに大騒ぎすればみんなに迷惑がかかる。」
「そんなの関係ないわ、未成年なら未成年をさばく法律があるくらいなのよ。それに迷惑がかかってるのは私たちよ。迷惑かけているのが犯人。そのセリフは犯人に言うべきだわ。」
どちらも正論だから落とし所がなさそうだ。
「アンジェリーナの気持ちはわかるけど、高校の事件は高校の先生に任せるのがいいんじゃない?とりあえず明日先生に報告しよう。さすがにギルドの話は言えないけど。ポーションもダンジョンの保険用に買っていた物って説明すればいいし。属性弾弾を学校で調整したらダメって校則はないから。
アンジェリーナは得意の科学技術で何か探せない?ポーションの値段や属性弾の調整器具は結構な値段するし、犯人を探し出したいのは全員一緒だから。」
俺は真斗とアンジェリーナの間に入って妥協案を言う。
「チャンが言うならそうするわ。専門ではないけど操作用の薬品とか買ってくるわ。」
アンジェリーナは折れてくれた。
「科学調査もやりすぎな気がするけど、松ちゃんの顔を立てるよ。」
真斗もちょっと不服だが折れてくれた。
「真斗、志帆。明日朝一番に机の指紋を探すわ。さすがに止めないわよね、真斗?犯人を見つけるためだから協力してよね。あと、鞄の中に教科書とか入ってなかった?指紋が残りやすそうなもの全部調べたいわ。」
アンジェリーナ以外の高校組3人は明日早朝誰も教室にいない時間に学校に行くことになった。あまり目立つのも良くないと真斗が言ったからだ。
志帆はもしかしたらノートが帰ってくるかもしれないのでちょっと嬉しそうだ。
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お知らせ
次回は物語の続きではなく、設定の一部公開、設定秘話、キャラの設定理由など、この物語の世界の裏話になります。
一部ネタバレを含むので苦手な方は15話まで飛ばしてください。
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異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
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俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
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~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
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しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
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ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
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