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オーガさん策士になる
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森林の方角から何やら大きな物が木々の枝を折りつつ落下する音が聞こえてくる。
「……あのソロの人は死んだみたいだ。俺達も逃げきれるとは限らないし、覚悟決めてやり合うか」
冒険者の一人が仲間と思わしき数人に向かい呼びかける。
仲間達は皆その冒険者の提案に賛成し、各々の武器を構えながらグランツの方角に向き直る。
「大丈夫!この遠征が終わったら私たち結婚するって決めたじゃん!この気持ちがあれば絶対負けないわ!」
「そうだ…。うん、そうだな。絶対生きて帰って、遠征で得た素材を売って、盛大に式をあげて、穏やかに暮らすって決めたもんな!」
「おいおい、俺達を置いてけぼりにするなよ~?」
「そうよそうよ、同じ村で過ごしてきた幼なじみ同士じゃない。結婚するからって私を疎かにするのは許さないわよ?」
「ごめんごめんって。それより、おまえ達はどうなんだよ?村の実家も隣同士で仲良かったじゃん?」
「俺が?こいつと?…ははっ。俺は年の同じな姉ちゃんだと思ってるからなぁ~」
「私だってこいつなんか世話の焼ける弟くらいにしかみてないわよ!」
その冒険者達は幼なじみ同士のパーティーらしく、内二人は結婚の約束を、内二人は気持ちを素直に伝えられない…所謂「青春中」だった。
「さあ、パッと倒して帰ろうか」
「油断は禁物だぜ?」
「あんたに言われなくても分かっているわよ!」
「そこの影に居るのは分かっているわ!さぁ、出てきなさい!」
すると岩陰から白銀の何かに身を包んだ一体の魔物が現れる。
「なっ!?で、でかい!?」
「焦るな!いつもの陣形にひろがるぞ!」
冒険者達は武器を白銀の魔物に向けながらジリジリと扇状に広がる。
婚約者の男は大きな盾と鋳造の剣を構え魔物を睨み付ける。
もう一人の男は、大盾の男の利き手の死角を補うように得物の斧を構える。
女二人はそれぞれに槍を構えて男達の斜め後ろに陣取り、小瓶から粘性の高い毒らしき液体を槍先に塗っている。
その時、「おい」と魔物から予想だにしない呼びかけをうける。
「!喋れるのか?!」
「ん?俺が人間の言葉を喋れると分かってたからその女は岩陰に向かって呼び掛けたんじゃないのか?」
「え?えーっと、、の、ノリ?」
「姉ちゃんそう言うところあるからなぁ」
「でも、そう言うところも好きなんだろ?岩陰から聞いてても隠しきれてなかったぞ?」
「はははっ!魔物からも同じこと言われてるー!」
「う、うるさいうるさーい!」
「ごめんごめん、…あっ、そういえばその二人は結婚するらしいな?」
「ぅえ?!は、はい!」
「冒険者という職業で荒れてはいるが綺麗な黒髪の可愛い女じゃないか。よく手込めに出来たな?プレイボーイってやつか?」
「そ、そんなんじゃ無いですよ!僕はこいつが昔から好きで、そんでその気持ちを隠さず伝えただけで……」
「いやー見せつけてくれちゃって!暑い暑い、本当に12月か?ここだけ夏模様だぞ?」
「ほんとほんと!俺達のパーティーだけ年中半袖でいないといけないんですよー!」
「この様子じゃそうだろうなぁ。…あっ、そう言えば俺こんなの持ってるぞ?」
「ん?何です?その小瓶?」
「これは俺が旅の時に良く作るやつでな?蜂蜜とオリーブオイル。少しのレモン汁と香草の液を混ぜた整髪剤みたいなもんだ」
「?初めて聞きますね?」
「ちょっと舐めて見るか?自然由来だから食べても大丈夫だぞ?」
「へぇ!ちょっと貰っていいですか?」
「結婚祝いって程じゃないけど、髪は女の命とも言うし、こういうのがあっても良いかなってな」
「あ、良いにおーい!皆ちょっと貰おうよ!」
「こら!図々し過ぎるぞ!」
「ああ、気にしなくて良いぞ?さっきも言ったようにそこらのやつからつくれるからな」
「あ、ありがとうございます!ではちょっと……」
すると四人は驚いたように顔を見合わせ、そしてグランツを睨み付ける
「……なんでこんなに騙され易いのかなぁ人間は」
「く、くそっ……」
冒険者達は次々と口から血の混じった赤色の泡を吹き、地面に倒れ込みのた打ち回る
「おれは薬草が毒草じゃないなんて一言も言ってないぞ?それに言葉が通じると分かっただけで警戒心を下げるのもナンセンスだ。ジョークを交えたりしようもんなら、もうお前ら人間は警戒心を無くして笑い合う」
「け、結婚式がぁぁ……」
「おっ?まだ息があるか」
グランツは、自分の夫になるはずの男へ必死に腕を伸ばす女の手をゆっくりと踏みつけ、体重を乗せていく。次第に女は目を見開き体を動かすが、グランツの与えた毒により喉をやられているため声は蚊ほども出ず、ただ吐血と血の混じる泡を垂れ流す。
「……おっ、死んだか。残念だったなぁ。ま、そう言う事も生きてればあるさ。って死んでるか!あっはっはっは!!」
グランツは笑いながら女の手を踏み砕き街道を歩きだす
「青春中の男と女は結局素直になれないまま死んだか……」
「ま、いっか!」
「……あのソロの人は死んだみたいだ。俺達も逃げきれるとは限らないし、覚悟決めてやり合うか」
冒険者の一人が仲間と思わしき数人に向かい呼びかける。
仲間達は皆その冒険者の提案に賛成し、各々の武器を構えながらグランツの方角に向き直る。
「大丈夫!この遠征が終わったら私たち結婚するって決めたじゃん!この気持ちがあれば絶対負けないわ!」
「そうだ…。うん、そうだな。絶対生きて帰って、遠征で得た素材を売って、盛大に式をあげて、穏やかに暮らすって決めたもんな!」
「おいおい、俺達を置いてけぼりにするなよ~?」
「そうよそうよ、同じ村で過ごしてきた幼なじみ同士じゃない。結婚するからって私を疎かにするのは許さないわよ?」
「ごめんごめんって。それより、おまえ達はどうなんだよ?村の実家も隣同士で仲良かったじゃん?」
「俺が?こいつと?…ははっ。俺は年の同じな姉ちゃんだと思ってるからなぁ~」
「私だってこいつなんか世話の焼ける弟くらいにしかみてないわよ!」
その冒険者達は幼なじみ同士のパーティーらしく、内二人は結婚の約束を、内二人は気持ちを素直に伝えられない…所謂「青春中」だった。
「さあ、パッと倒して帰ろうか」
「油断は禁物だぜ?」
「あんたに言われなくても分かっているわよ!」
「そこの影に居るのは分かっているわ!さぁ、出てきなさい!」
すると岩陰から白銀の何かに身を包んだ一体の魔物が現れる。
「なっ!?で、でかい!?」
「焦るな!いつもの陣形にひろがるぞ!」
冒険者達は武器を白銀の魔物に向けながらジリジリと扇状に広がる。
婚約者の男は大きな盾と鋳造の剣を構え魔物を睨み付ける。
もう一人の男は、大盾の男の利き手の死角を補うように得物の斧を構える。
女二人はそれぞれに槍を構えて男達の斜め後ろに陣取り、小瓶から粘性の高い毒らしき液体を槍先に塗っている。
その時、「おい」と魔物から予想だにしない呼びかけをうける。
「!喋れるのか?!」
「ん?俺が人間の言葉を喋れると分かってたからその女は岩陰に向かって呼び掛けたんじゃないのか?」
「え?えーっと、、の、ノリ?」
「姉ちゃんそう言うところあるからなぁ」
「でも、そう言うところも好きなんだろ?岩陰から聞いてても隠しきれてなかったぞ?」
「はははっ!魔物からも同じこと言われてるー!」
「う、うるさいうるさーい!」
「ごめんごめん、…あっ、そういえばその二人は結婚するらしいな?」
「ぅえ?!は、はい!」
「冒険者という職業で荒れてはいるが綺麗な黒髪の可愛い女じゃないか。よく手込めに出来たな?プレイボーイってやつか?」
「そ、そんなんじゃ無いですよ!僕はこいつが昔から好きで、そんでその気持ちを隠さず伝えただけで……」
「いやー見せつけてくれちゃって!暑い暑い、本当に12月か?ここだけ夏模様だぞ?」
「ほんとほんと!俺達のパーティーだけ年中半袖でいないといけないんですよー!」
「この様子じゃそうだろうなぁ。…あっ、そう言えば俺こんなの持ってるぞ?」
「ん?何です?その小瓶?」
「これは俺が旅の時に良く作るやつでな?蜂蜜とオリーブオイル。少しのレモン汁と香草の液を混ぜた整髪剤みたいなもんだ」
「?初めて聞きますね?」
「ちょっと舐めて見るか?自然由来だから食べても大丈夫だぞ?」
「へぇ!ちょっと貰っていいですか?」
「結婚祝いって程じゃないけど、髪は女の命とも言うし、こういうのがあっても良いかなってな」
「あ、良いにおーい!皆ちょっと貰おうよ!」
「こら!図々し過ぎるぞ!」
「ああ、気にしなくて良いぞ?さっきも言ったようにそこらのやつからつくれるからな」
「あ、ありがとうございます!ではちょっと……」
すると四人は驚いたように顔を見合わせ、そしてグランツを睨み付ける
「……なんでこんなに騙され易いのかなぁ人間は」
「く、くそっ……」
冒険者達は次々と口から血の混じった赤色の泡を吹き、地面に倒れ込みのた打ち回る
「おれは薬草が毒草じゃないなんて一言も言ってないぞ?それに言葉が通じると分かっただけで警戒心を下げるのもナンセンスだ。ジョークを交えたりしようもんなら、もうお前ら人間は警戒心を無くして笑い合う」
「け、結婚式がぁぁ……」
「おっ?まだ息があるか」
グランツは、自分の夫になるはずの男へ必死に腕を伸ばす女の手をゆっくりと踏みつけ、体重を乗せていく。次第に女は目を見開き体を動かすが、グランツの与えた毒により喉をやられているため声は蚊ほども出ず、ただ吐血と血の混じる泡を垂れ流す。
「……おっ、死んだか。残念だったなぁ。ま、そう言う事も生きてればあるさ。って死んでるか!あっはっはっは!!」
グランツは笑いながら女の手を踏み砕き街道を歩きだす
「青春中の男と女は結局素直になれないまま死んだか……」
「ま、いっか!」
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