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アンさん

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魔王の側近×猫型獣人? ⑤

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身体中を舐められ、触られ、鬱血痕を残され、きっと歯型もついている。


「あ、は、あぁ、ん」


時折口付けされ、逃げようとする身体を更にきつく抱き寄せられてはもう何も出来なくて。


「ぅあ、あ、ああ、あ」


横向きで枕を抱きしめ顔を埋めているが、すぐに取られる上に上向きにされ深い方の口付けをされ、下肢では何度も達した性器が未だに刺激され身体が跳ねる。


好き勝手に扱われる中、何度も手を伸ばしてしまいそうになりそれを押さえつけるなんて無駄な行為をし続けている。


「良いんだよ、俺を触っても」


頬を紅潮させ、色気を振り撒く不死鳥は不敵に笑う。


「トオル、俺の、トオル。止めたかったら、言葉じゃなくて行動で示そうね」


再開された愛撫に、目に涙が滲む。


…触らないで欲しい…触って欲しい…俺を見ないで…俺だけを見て…相反する思いを耽らせ、両手で両耳を塞ぐ。


どうして…俺はまた、不死鳥を望むのだろう。


諦めたはずだ。


不死鳥の「ーー」を願って。


捨てたはずだ。


俺のエゴなんて。


終わらせるべきだったんだ。


今身体に燻る熱を、冷ますほどの行為を思い出す。


…俺には、相応しくない。


閉じきっていた目を開け、不死鳥の目を見る。


俺、には…何も出来ない。


使えない身体で、練りに練った魔術を起動する。


俺は、本当に「ーー」だったんだ。


俺も、マコトと一緒なんだ


ただ、譲りたくなかった。


でも、でもさ。


しょうがないよな。


だって…不死鳥は言ったじゃないか。


『人間に興味は無い』って。


俺は、人間、だから。


ブツリ、と魔術との繋がりが切れた。


「…え…」


「トオル。やって良い事と悪い事があると、そう思わない?」


目の前で砕け散った術式に目を見開く。


「弱くなっててよかったよ。もう二度と」


俺の前から消えるだなんて許さないから。


そう言って、不死鳥は目を赤くして俺に被さった。





「ひぅ、うん、ん」


パチュリ、と下肢から音がする。


ゆっくり、ゆっくりと行われる抽挿に、ピクリピクリと指先が動く。


出し尽くした性器からは透明な液体がトロリと溢れ出て緩く立ち上がっている。


「あ、あああ、あんん」


「ね、トオル。全部、捨てるんだよね?要らないんでしょ?俺に頂戴」


「ふぁ、あ、あ?」


何の、話?


「死ぬって、そういうことでしょ?俺が貰うよ」


ああ、この身体の話か。


「ん、んぃ、いい」


「頂戴?」


「あ、げる、から、は、あぁ、これ、ハズ、して」


こんな身体が欲しいならあげるから、この首に付けられた魔力阻害が付与されたものを外して。


「ダメだよ、だって、それ外しちゃったら、入れ物だけになっちゃうでしょ?」


「い、れもの、あっ」


入れ物って何?


お腹側を抉るかのような動きに、身体がビクンと跳ねた。


「逃がさないよ、トオル」






身体中から、不死鳥の匂いがする。


錯覚かもしれないけれど、そう思ってしまうぐらいには抱き潰された。


「トオル」


スリスリと頬擦りする不死鳥の頭を、力の入らない腕を何とか動かしポンポンと叩く。


「ヴィジュ」


掠れた声で、誰よりも愛おしい不死鳥の名を呼ぶ。


「ただいま。ごめんね。あい、してる」


ズルりと腕が落ち、俺は多分顔を綻ばせながら気絶するかのように眠りについた。






「おかえり、トオル」


今までで一番いい笑顔を見せた不死鳥は、大切な番を布団ごと抱き寄せ額に口付けし目を閉じた。






とある場所には男達が召喚され、ほぼ獣に近い形となった獣人に犯され無惨にもその爪で切り裂かれこの世を去った。


ある者たちには不幸が度重なる。


ある者は、会社を解雇された日に落雷にあたり全身が動かず介護が必要な体に。


ある者達は、就職出来ても直ぐに会社が潰れてしまい、困窮状態に。


生温い判断だと激怒する強者2人に、1人の魔族は声を発した。


『見えない所頑張っても、今の2人じゃ分からないと思うから…今はあの2人の傍に居てあげる方が、あの子達にとっても「ーー」なんじゃない?』


その発言に、強者2人は番のいる自室へと消えていった。







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