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魔王×人間 ②
しおりを挟む「あ、は……ぅ、ん…っう」
殺す為、体を使う事はあった。
一番気が緩むその瞬間まで、俺は標的が望む役を演じる。
そうすれば容易く殺せるし、証拠の隠滅だって楽に出来るから。
何人相手だろうが、時間が経てばその瞬間がやってくる。
そうなれば、残しておいた体力と練り上げた魔術でどうとでも出来た。
だけど…流石にこれはもうお手上げ状態でしか無い。
「声を出せ」
もう、日が昇ってどれほど経つ?
休む事が無い故に体力と精力がもう何も残っていない。
「どこを見ている」
体に力が入らない。
声を出せと言われてももう掠れて出ないし、視界はずっとボヤけていて俺もどこを見ているのか分からない。
「は、ぁ…み、えな…ぁ、あ」
「ああ、見えないか」
後ろから抱き締められ、腹を撫でられる。
「なら、ここは分かるな?」
強く押され、ナカにあるモノを締め付けてしまう。
「シャウ、お前は俺の嫁だ。ここで俺を受け止め、子を宿さねばならない」
「は、はぁ、あ」
緩やかな抽挿に、声が押し出される。
俺は、よめ…嫁?
男の俺でも、嫁になれるのか…?
殺す事しか出来ない俺でも、子を作れるのか…?
俺に………家族が出来るのか?
「っ、あ、ああ゙」
ガリッと項を噛まれ目から水滴が落ちて行く。
「シャウ、俺だけのシャウ」
熱い…身体が、あつい…。
「う、ぅ、あ…っう、はあぁ」
家族が……出来るなら……。
俺の腹を這う手を掴み、口元に持っていって吸い付き跡を残してからしがみつく。
俺にも、家族が……。
なら、この元毛玉に、俺の全てをやっても構わない。
はっ、はっ、と息を短く吐きながら少し足を開く。
「良い子だ、シャウ」
目敏く反応され、少しだけ口角が上がる。
どうすれば良いのかなんて分からない。
何が正しいのかだって、常軌を脱しているであろう俺では理解が出来ない。
でも、こうやって、褒めてくれるから…。
自らこうしようと思うのはいつだって誰かを殺す時とその後の処理の時だけ。
他は言われた通りに…何一つ間違えずに従うだけで全てが上手く収まる。
「あひ、ぃん、あ、あっ」
勝手に動く足と腰に、俺はもう何も反抗しなかった。
奥に辿り着いた物は、更に奥へ来ようとする。
「も、あ、あっ…も、もぉ、はいんな、ぃ」
「シャウ、まだだ。まだ、イけるだろう?」
男の俺でも…女の様に子を産め、愛でられる……。
殺す事以外に、俺にすべき事が出来る……。
なら、それなら。
奥に当たる物を自ら腰を押し付け奥へ奥へと誘う。
本当なのか分からない。
でも、もし、本当なら。
俺は、俺の家族が欲しい。
俺だって、誰かに愛されたい。
誰かを、愛したい。
人として…1人の人として、見てもらいたい。
隠して、見ない振りをしていた欲に、今はただただ従った。
もし、これが夢で……子供なんて夢の夢で、俺は利用されただけだとしても……。
死ねば終わる当たり前をぶち壊したこいつを、今は信じようと思う。
「ひ、ぃあ、あ」
俺の、全部を、あげるから。
どうか、俺に、夢を見させてくれ。
ガクリと崩れ落ち、中に出された熱を、両手で取られないように抱え込んだ。
今、だけは……。
どうか……。
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