陰陽師と結ばれた縁

サクサク

文字の大きさ
21 / 76
目覚めと、自覚と、狙う者

体調不良

しおりを挟む
もうすぐ宮中で五節の舞があるらしい。
毎年秋にある五穀豊穣に感謝し祈るお祭りで宴が催される。
生で見る五節の舞に実は、ワクワクしている。
貴族の未婚の子女が4人で舞う舞は華やかで美しいし、舞が好きな私にとって今1番楽しみにしている行事だ。
当日は春宮さまの傍で見ることになるだろうから、舞台がよく見えるだろう。

「楽しみですね。」
「時平も舞えるのか?」
「何がです?」
「五節の舞。」
「舞えますよ?祖父にこういう神事に関わる舞から陰陽道に関わる舞まで、全て叩き込まれましたから。」

当然と言った表情で告げると、意外そうな表情をされた。
最近執務の休憩中にこのように、春宮さまと雑談をするようになった。
基本的に青にぃ達は呼ばない限り姿を現さないので側から見れば2人で喋っているように見えるだろうが、誰かしら1人は私のそばに必ず居る。
最近は、青にぃが多いのだけど少し不機嫌というか、ちょっと様子がおかしい。
青にぃを気にしながらも、会話は舞の話だ。
舞は三兄弟全員同じ舞が同じレベルで舞うことができる。
女性が舞うような舞でも全部。
兄様達が舞えなくて、私が舞えるモノだってあるのだ。
雪華にも猛練習に付き合ってもらって習得したので、偏りがなくオールラウンダーです。

「春宮さま、私はそろそろ午後の見回りに・・・・・。」

そう言って立ち上がれば、立ちくらみを起こしたように身体から力が抜ける。
私の身体を支えたのは、傍に控えていた青にぃだった。

「主、力を少し放出しよう。力を塞き止めておくのもこれ以上は危険だ。」
「・・・・・・ぅ。・・・・・りゅ・・・?」

青にぃに抱き上げられる。
されるがまま視線を動かせば、少し不機嫌そうな表情をした春宮さまの姿が目に入った。
同様に青にぃも超絶不機嫌である。

〈玄武。晴明に説明を。〉
〈だから言ったじゃろう?強制的にでも早めに離脱をさせねばならぬと。〉
〈・・・・。〉
〈お主は昔から、姫さまのお願いには弱いからのう。まぁ、説明は妾に任せよ。そろそろ姫さまにも説明が必要かと思うぞ?〉
〈ひぃさまには目を覚ましてから、俺から話す。〉
〈それがよかろうて。朱雀、着いておいで。白虎、青龍と共に姫さまと共に帰宅を。〉

玄武の言葉に、朱雀と白虎は従い、玄武と朱雀は帝の元へ、青龍と白虎は安倍邸へ向かった。






神というものは気まぐれで、主人がいても基本的に己の自由に動く。
だが、時平と一緒にいる4人は私が知っている神将達とは少し違い主人である少女の傍を離れたがらない。
少女自身もこちらへ来た時よりも、霊力が倍近く大きくなっている。
今日は珍しく陰陽寮にて、息子達の話を聞いていたら突如姿を現したのは、玄武殿と朱雀殿だった。

「晴明、少し良いかの?」
「これはこれは、何かありましたかな?」
「うむ。時平の件じゃ。同胞が何も説明なしに安倍邸に連れ帰ったのでな、晴明から説明をしてもらおうと、妾が来たのじゃ。」
「時平をですか?」
「そうじゃ。時平は今己の霊力と神力が器に収まりきれず、器から溢れることもできず、先ほど限界を迎えた。あれ以上は命に関わることでの、同胞が強制的に安倍邸に連れ帰ったのじゃ。」
「屋敷にですか?」
「あそこは、土地そのものが霊力も神力も欲する場所だからな。主人には宮中ここにいるよりも回復が早いと思われる。」
「もともと、器から溢れていた分の霊力しか使えておらぬ状態だったが、今は限界まで力を難なく使用することができる。本来の力を取り戻し、使えるようになったのは幸いだがのう。他のものが幼少期から自然に行っている力を抜くという事に関しては苦手でのう。うまく逃す方法を覚えねばならぬのだが、本人が帰りたがらなかった主人もある意味悪いのだがな。」
「ある程度俺たちが、主人が寝ている間に分けてもらっていたが、力の回復が他の者達よりも早い。」
「つまり、自身の力で自分を命の危険にさらしているということでしょうか?」
「そうじゃ。」
「なので、その辺りの説明をよろしくお願いいたします。」
「わかりました。すぐに主上にお話しさせていただきます。」
「あの小童にも説明してやってくれ。何も言わず連れ帰ったからのう。」
「小童・・・・?あぁ、かしこまりました。」
「では、よろしく頼む。」

用件だけ伝えると、玄武と朱雀は姿を消した。
さてあの2人の姿を捉えられた者はこの陰陽寮にいるのか?
と思いながらも、事情を伝えるべく主上へ文を出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます

黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。 だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ! 捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……? 無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。

有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。 選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。 涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。 彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。 やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました

鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」 そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。 王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。 私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。 けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。 華やかな王宮。 厳しい王妃許育。 揺らぐ王家の威信。 そして――王子の重大な過ち。 王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。 離縁を望んでも叶わない義妹。 肩書きを失ってなお歩き直す王子。 そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。 ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。 婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。

処理中です...