陰陽師と結ばれた縁

サクサク

文字の大きさ
28 / 76
目覚めと、自覚と、狙う者

2

しおりを挟む
私の傍らに座った青龍の視線は相変わらず泳いでいる。
別に怒るということはしてないんだけどな。と思うが、この態度は私と喧嘩をしたり一時的に拒絶をされた時の態度と変わらない。
ひとまず、朱桜から預かった主上からの文に目を通す。
そこには、衆生の私的な庭園への招待状が書かれていた。
そこへ行くときはこの文を持っていくことが条件らしい。

「青龍、出かけるよ。昨日の琥珀みたいな格好をしてきて。朝餉を頂いたら玄関に待ち合わせで。」

そう告げると、驚いた表情をした青龍がいるが私の性格を1番把握しているのも青龍だと思う。
なので、私が言いたい事を汲み取った青龍は静かに頷き、姿を消した。
そのまま居間として使われている空間に移動すれば、朝食の準備がされていた。

「雪華、今日は青龍と主上の私的な庭園に出かけるからこのあと準備をよろしく。」
「うむ。では若菜様と一緒に準備をしておこう。姫さまはちゃんとご飯を食べるのじゃぞ?」
「ありがとう。」
「皐月ちゃん、明日の準備は明朝早くからするからね。今日は早目に休んで頂戴。」
「わかりました。若菜さまありがとうございます。」

いつもより早めに食べ終わり、お膳を下げると再び室へと戻り、壺装束に着替える。
そして、玄関まで来ればすでに武官の格好をした青龍が立っていた。
目的は神泉苑しんせんえん。主上の為のお庭だ。
安倍邸からは少し距離はあるが、歩けない距離ではないので本日も白い布がついた笠を被って、青龍と手を繋いで向かった。
市井を見ながらも庭園に着くと、青龍が書状を入口を守っている武官に渡すと、中へと入れてくれた。

「青龍、今朝の件を詳しく聞きたいのだけれど。」

ここに来るまでひたすら無言を貫き通した青龍に対して、ため息が出る。
人の話を聞いているのだろうか?と思われるような態度をここにたどり着くまでずっと取られていた私は、庭園に着いて花が綺麗に見える東屋についた途端本題に入った。

「・・・・・そんなに聞きたいのか?」
「そりゃあ、私は当事者だし。次代を繋ぐ責任もありますし、どういうことってなるよね?」
「俺は、ひぃ様が選んだ事を尊重する。ひぃ様が生まれた時に俺が夫となる事は決まった。理由は、ひぃ様が久方ぶりに生まれた“玉依姫”だったからだ。だが、俺に嫁いでくるのは、としての生を精一杯生きてほしいから、ひぃ様が望む未来を手に入れた後でも、俺自身はいいと考えてたし一応ひぃ様が成人した時に区切りとして話そう。と言う話も出ていた。」
「その話を聞くか聞かないかを決めるのは、私じゃないの??」
「だが・・・・・。」
「みんなが私のこと大事にしてくれていて色々と配慮をしてくれていることも。いや、でも、だけどね、ちゃんとそういう事は概要だけ伝えて、話を聞くか聞かないか選択をするのは私じゃないかな?それに私の旦那さんが青龍です。って言われても別に怒らないよ。そしたら、現世での私の婚約者候補達はどうなるの??」

東屋でしっかりと青龍の方を見ながら話す。
しっかり手入れがされている。
私は特殊な家に生まれたから、普通とは違う人生を歩くのだろうと思っている。
それに今1番の関心は、私と同じ意味、玉依姫だった方がいるようだ。
誰に聞いたら教えてくれるのだろう?
青龍によると、神将のお嫁さんは基本的には神力の強い巫女が選ばれることが多いらしい。
逆の場合もあるらしいけど、安倍家に私のように力の強い女児が生まれる前は男児の神将が増えるらしい。
それで、そろそろ次代の玉依姫が産まれるのを知るらしい。
神将達にとってはとても分かりやすいらしい。それは、安倍家の者には話さない。当事者となる女児のみに伝えられる。
なので、この件に関してはお父様もお母様もお兄様達も知らないらしい。
つまり、神将に嫁ぐとなるのは祖に近い者。
今の神将でいくと、琥珀と朱桜という息子がいる神将は対象外となる。
十二神将の中で未婚の男神は他にもたくさんいるが、私が産まれた時に反応したのは青龍だけだったらしい。
神将の中では青龍が私の夫という立場になっている。
だから、青龍が私の旦那という認識だったらしい。
まぁ、それならそれでいいかと思いながら、青龍の腕を少し引っ張り“ちゅ”と目元にキスをして神力を分けてあげると、どこか複雑そうな表情をした青龍がいた。
そんな私と青龍の姿を見ている人がいたなんて全く気づかなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます

黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。 だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ! 捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……? 無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。

有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。 選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。 涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。 彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。 やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました

鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」 そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。 王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。 私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。 けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。 華やかな王宮。 厳しい王妃許育。 揺らぐ王家の威信。 そして――王子の重大な過ち。 王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。 離縁を望んでも叶わない義妹。 肩書きを失ってなお歩き直す王子。 そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。 ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。 婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。

処理中です...