外面だけは！

二章

有杉の視点

　僕はアイツを見たことが確かにあった。
小学生のあの子を…
小学生のあの子は、家族に懐いていなかった。
具体的に言うと、家族の後ろをついて行く感じ。
そして常にブスッとした顔で、面白くなさそうに歩いていた。
最近亮平から聞いた時、俺はもしやと思った。
そのもしやが、的中するとは思わずに…。
　あの子はどんな幼少期を過ごして来たんだろう。
きっとロクな生活を送ってなかったんだろう…
それに、今亮平に拾われたところで、アイツがまともに育てるわけなかろう、
だから、俺がちょくちょく見守らないといけなくなるだろう。
　亮平は、子育てしないだろう。
アイツに子育ては向いてない、てかアイツはねんがら、遊び人気質だ。
そんな奴が拾ったって知った時、あの子に心底同情してしまった。
どうせ、家に留守番させて、遊びに行くだろうから。

　突然ケータイが鳴った。
あ、岡だ
もしもし、どうした？

俺があの子育てることになった。

え？誰を？てかお前子ども3人既にいるだろ。

でも、俺の家まで来て、頼んできたからさ

ほう、なら暫くは安泰か、
そのこと亮平に、言うなよ？
絶対追いかけてくるからな。

おう

俺はそれを伝え電話を切った。
静が拾ってくれて、良かった。
とても安心したのだった。
今日は、ゆっくり眠れる。
アイツが拾ったと聞いた日から、俺は中々寝付けなかったのだった。
こうして、俺は珍しく目覚まし時計が鳴るまで目を覚さなかったのだった。