外面だけは！

八章

決着

　それから数日経って奇跡的に、姫乃は目を覚ました。
アイツは反省するのでもなく相変わらずぞんざいな態度を取っている。
だけど、アイツはやっぱり優美の親権が必要らしい。
必要だからといって、協力してあげるのは、また別問題だ。
だから、今日決着つけようと思う。

　俺はいつものように、キャバクラ通いをしていると、久しぶりにプラベのケータイがなる。
俺は友達が少ないので、こちらに連絡してくるのは、メンバーか、家族くらいだ。
最近はメンバーすらあのことがあってから、してこなくなったので、この音を聞いたのは、ゆうに、2ヶ月ぶりくらいである。
あのことっていうのは、言うまでもないだろう。
姫乃を本棚の下敷きにしてしまうという手違いから生まれた事故だ。
ケータイを見てみると、そこには恨まれているはずの、今1番して来ないと思っていた静からの着信だった。
取らずにいると、留守電が入っていた。

　おい、亮平！お前がそんな奴だと知って幻滅したよ。
けど、もう全部終わりにしよう。
優美とのことも話し合おう。
だから、今日の夜マルハチ公園に来い！絶対だぞ。
かといっても、そう簡単には、親権渡さないから覚悟しとけ！
俺が、お前なら大丈夫任せれるって思ったら渡す。
したら、今夜マルハチ公園で待ってる。

冗談じゃないそういって誘き寄せて俺を殴るつもりなんだ。
俺は、捻くれている性格であった。
自分も手を焼くほどに。
だけど、せっかく留守電に入れてくれたんだ。
行かなかったら腰抜けとか言いふらすだろう。
言いふらさないでもずっとそう思われるだろう。
そんなの俺のプライドが許さなかった。
だから俺は、今夜決着に臨む決心をしたのだった。

えーと相手の心を惹きつけるには、俺はとりあえず自己啓発本などを本屋で読み漁る。
そうか感情は大げさにした方が良いのかと頭のメモに刻み込み、本屋を後にし、自宅で練習した。


静、ほんとに申し訳ないことをした
俺が悪かった！だから、許してくれ
許してくれなかったら、俺生きていけない
たしか大げさくらいが丁度いいから、もう少し大げさに行った方が良いか
誠に申し訳ございません　
二度とこのようなことを…
こんな練習をギリギリまで行ったのであった。

待たせたな　
静、あん時はほんとにごめんな
ほんの出来心です。
姫乃が怪我したら静は焦るだろうと
俺としたことが…本音まで喋り過ぎてしまった。
恐る恐る静の顔を見れば、震えていた。　
おそらく怒りで。

ああ、そうかお前の面なんか見たくなかった。
で。他に話したいことはあるか？

優美ちゃーーーん　
俺のお家また来ない？と本に書いてあったしなを作ってapproachする。
すると、たった一言聞こえた気がした。

キモっ
貴方のところに行きたくありません。

それと、同時に俺の思い描いていた従順な優美はどこかへ消えていった。
せっかく家来が戻ってくると思ったのに。
もう、従順な優美は彼方へ消えていった後だった。