生まれついて

豆餅

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プロローグ

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 身長は中学、高校と伸びない。
セノマルクや、牛乳、それから、マッサージと様々な方法を試した。
だけど、中々伸び悩んでいる。
どうしたら、もっと伸びるだろうか、
これじゃあ恋愛対象にすら入らないではないか?
僕は焦っている今日この頃。
 かと言って、一人を除いて僕の周りは、身長高い軍団なのだ。
 僕は、後輩にすら及ばない身長。
だから、早く伸びて欲しい。
そう思いながら、帰っていた。
 
 いらっしゃいいらっしゃい。
手軽に身長が伸びる魔法の青汁だよ~
これを飲むと、食物繊維はもちろん
な、何と身長を伸ばすホルモンの分泌をしてくれる成分が配合してんだよ~ 
おっと、そこのお兄さん、
君だよ君!
そこのピンクのパーカーの可愛いお兄さん。

 へ?僕? 
周りをキョロキョロと見るが、誰もいない。
広場に居る人はやはり、僕に話しかけているそうだ。
ちなみに、広場に居る人は年齢も男か、女かも曖昧である。
どうも、分かりにくい顔立ちのようだ。

そんなことより魔法の青汁、実に興味ある。
僕はなけなしのお小遣いでその、青汁を買った。
普段なら、怪しいって止めるのだが、今日は身長のことで悩んでいたから特別なのだ。
 かと言って、妹には知らない人に付いてったり物貰ったりしたら、ダメと躾けている。
だからこの青汁をそこらのスーパーで買ったことに、したいのだが…まず見るからに怪しいパッケージ、それから魔法のってネーミングのせいで浮世離れしてしまっている。
さあ、どうしたものか、

とりあえず、妹は今日習い事であるからして、遅く帰ってくるだろう。
その間に、自分の部屋の奥に仕舞い込むか キッチンの戸棚(妹の届かない)場所に置けば、大丈夫だろう。
僕はガムシャラに走った。

晩ご飯の後、僕は例の青汁をコップ一杯飲む。
ホントに、効果あるかワクワクしながら
ゴクゴクと、
口の中には青汁独特な苦さが広がっていった。



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