生まれついて

豆餅

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一章 

病を抱える少女

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 気がついたら、真っ白な天井。
あたりは、消毒液の匂いが漂っている。
こぢんまりとしたベットに、少し薄いカーテン、そこのベットの上に点滴を繋がれわたしは目を覚ました。

 また戻って来たんだ…この場所。
いつになったらここから抜け出せるのだろう
永遠にこの場所なのだろう。

姫、大丈夫か? 
姫、大丈夫なの?体の具合はどう?

あ、にぃにと、ねぇね 元気よ

そう、
優しげな声だが、しっくり来てないような曖昧な響きを残す二人。
この二人はわたしのお姉ちゃんとお兄ちゃんだ。
にぃには、どちらかというと可愛らしい顔をしていて、運動神経抜群、ねぇねは、可愛らしいプラス、カッコいいという感じだった。
二人とも心配そうな顔つきでわたしを、覗き込む。

また、わたし運ばれちゃった?
あ、いやごめんなさい、何でもないの。
疲れたから寝るね。
おやすみなさい。
わたしは、気付いてた。
これ以上思っていることを言ったら大好きな二人を悲しませてしまうって…。
今日もきっと過呼吸で運ばれてしまったのだ。
どうやら、わたしは先天性の呼吸の病気らしい。
 わたしは、いつ発作が起きてもおかしくない体であった。
だから、ちょっとやそっとの歩行でも危ないと言われていた。
だけど、わたしは、大好きな二人を心配させない程、強い体を手に入れたい。
だけど、その選択は、きっと大好きな二人を苦しめてしまう。
だから、大人しく眠る。

 姫、今日はね小説を持って来たよ~大人しく良い子にしてたからね~
本は賢くなれるんだよ。
体がマシな時に読んでみな。
ねぇねとにぃに、ちゃんとここに居るからね~

ねぇね、にぃにありがと、今体幾分マシだから、読みたい  
それは、児童向けの小説だった。
児童向けの小説を読んでいたら、暇つぶしにはなったが、何か物足りなさを感じた。
でも本は嫌なことを忘れられた。

 なぁ、姫、苺ミルク飲むか?

 何それ?

 ほら、これ 可愛いパッケージだろ?
いちごと牛乳をミックスした飲み物だよ。 やるよ

 ありがとにぃに
わたしはイチゴミルクを大事に大切に飲んでいったのだった。





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