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第3章
14 サウストリア(14)
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今日は、朝からみんな浮き足立っていた。
彼女達は、ロートアの港街に着いた事で、仕事の半分が終了し約束の報酬を得ていた。
おまけにミュールの街を経由して日数がのびた事で、ちょっとした手当も支払われてみんな上機嫌だった。
彼女達のように商隊が移動するために雇われた者は、これから商隊が王都に帰るまで、ノア商会に留まるが、その間、街で自由な時間を楽しむ事も、他の仕事を受ける事も出来る。
このエルメニア最南にある街では、働く場所に不自由しなかったし、アンの育てた娘達は、ノアの娘と呼ばれどこでも紹介して欲しいと望まれていた。
これからどうしようかと楽しそうにしている彼女達といると自分もウキウキして来るし、カリーナにもちゃんと報酬が支払われていて、始めての仕事で得たものは嬉しかった。
『残念だわ、お兄様に知られてしまったら、このまま仕事を続ける事は出来ないわ』
ミリオネアに行くのを諦めれば良いのかも知れないが、せっかくここまで来たのだから、"精霊の国"も見てみたい。
『仕方ないわ、今日、みんなにちゃんと話をしよう』
黙っているのは嫌なので、今日の仕事が終わればみんなにちゃんと話そう、騙していた事も謝りたい、そう思い軽い荷物運びを手伝っていると、大きな声がする。
「カリーナ!」
「お義兄様!?」
「こんな所でいったい何をしているんだ!?」
「えっと、、、」
「おまけに、その格好はなんだ! なんて服装をしている!」
「ちゃんとお話するわ」
「ロアン、ここではまずい。ちょっと場所を移動しよう」
「アレス、、、まさか知っていたのではないだろうな?」
「いや、、、」
「二人には、しっかり話を聞かせて欲しいものだね」
カンカンに怒ったお義兄様と一緒に、ノア商会の館に移動する。
「いったいどう言う事だ!」
「お義兄様がミリオネアに行くと聞いたから、連れて行って貰おうと思ったの」
「ならそう言えばいいだろう?」
「話しても許して貰えなかったでしょう?」
「そうかもしれないが、、、だからと言ってなぜ使用人なんだ」
「商隊に入るなら、これしか無いもの」
「公爵家の者が使用人の真似事をしているなんて、、、」
「失礼ね、真似事なんかじゃ無いわ、ちゃんと仕事をしていたのよ」
「もっと悪いだろう!」
「どうしていけないの? ちゃんとした仕事だわ」
「しかし、、、使用人など公爵令嬢がする様なものでは無い」
「ミリアお姉様だってしていた仕事だわ、お義兄様こそ使用人の仕事を馬鹿にしないでちょうだい」
「馬鹿にしているつもりは、無いが、、、」
「お義兄様は、お義姉様の事まで侮辱なさるつもりなの?」
「いや、そんなつもりは、、、」
「それに、私だって始まりは使用人の娘だわ」
「しかし、、、」
「言っておきますけど、今日まではちゃんと仕事をしますからね、アレス様ともそうお約束しているし、引き受けた"し・ご・と"なんですから」
「カリーナ!」
言うだけ言って、部屋を出る。
「ロアン、お前の負けだよ」
「いつの間に、あんなにしっかりしたんだ?」
「さぁな」
「これ以上、何も無いよな、驚かさないでくれよ、心臓が止まるかと思った」
「あっ、悪い。ミュールから商隊に一人下働きを入れただろう?」
「あゝ」
「彼もティジィスの跡継ぎだ」
「アレス!?」
部屋の中からお義兄様とアレス様の話し声が聞こえて来るが、それよりもカリーナには気になる事がある。
『もう、こんなつもりじゃ無かったのに』
せっかく仲良くして貰った仲間達から、嫌われたらどうしよう。
ちゃんと説明するつもりだったのに、お義兄様が大きな声で話すから謝る前に、みんなに嘘をついていた事を知られてしまった。
今までの様に親しく話して貰えなくなったらとドキドキしながら戻ると、予想とは違う別の歓声で迎えられた。
「きゃぁぁ、、、お嬢様だったなんて知らなかったわ」
「ほんとびっくりよ」
「ずっと公爵令嬢と一緒にいたなんて、誰に話してもきっと信じて貰えないわ」
「あの、ごめんなさい」
「ふふ、そりゃぁ驚いたわよ」
「だけど、カナだったし」
「何となく納得しちゃったのよね」
「真面目で」
「怠ける事ないし」
「それに、楽しかったわ」
「私も、とっても楽しかった」
「ふふっ、また一緒に働いてもいいわよ」
「本当に?」
「もちろん!」
そのまま仕事を続ける。
帰りの旅もこんな風に続ける事が出来るなら、こんなに嬉しい事はない。
彼女達は、ロートアの港街に着いた事で、仕事の半分が終了し約束の報酬を得ていた。
おまけにミュールの街を経由して日数がのびた事で、ちょっとした手当も支払われてみんな上機嫌だった。
彼女達のように商隊が移動するために雇われた者は、これから商隊が王都に帰るまで、ノア商会に留まるが、その間、街で自由な時間を楽しむ事も、他の仕事を受ける事も出来る。
このエルメニア最南にある街では、働く場所に不自由しなかったし、アンの育てた娘達は、ノアの娘と呼ばれどこでも紹介して欲しいと望まれていた。
これからどうしようかと楽しそうにしている彼女達といると自分もウキウキして来るし、カリーナにもちゃんと報酬が支払われていて、始めての仕事で得たものは嬉しかった。
『残念だわ、お兄様に知られてしまったら、このまま仕事を続ける事は出来ないわ』
ミリオネアに行くのを諦めれば良いのかも知れないが、せっかくここまで来たのだから、"精霊の国"も見てみたい。
『仕方ないわ、今日、みんなにちゃんと話をしよう』
黙っているのは嫌なので、今日の仕事が終わればみんなにちゃんと話そう、騙していた事も謝りたい、そう思い軽い荷物運びを手伝っていると、大きな声がする。
「カリーナ!」
「お義兄様!?」
「こんな所でいったい何をしているんだ!?」
「えっと、、、」
「おまけに、その格好はなんだ! なんて服装をしている!」
「ちゃんとお話するわ」
「ロアン、ここではまずい。ちょっと場所を移動しよう」
「アレス、、、まさか知っていたのではないだろうな?」
「いや、、、」
「二人には、しっかり話を聞かせて欲しいものだね」
カンカンに怒ったお義兄様と一緒に、ノア商会の館に移動する。
「いったいどう言う事だ!」
「お義兄様がミリオネアに行くと聞いたから、連れて行って貰おうと思ったの」
「ならそう言えばいいだろう?」
「話しても許して貰えなかったでしょう?」
「そうかもしれないが、、、だからと言ってなぜ使用人なんだ」
「商隊に入るなら、これしか無いもの」
「公爵家の者が使用人の真似事をしているなんて、、、」
「失礼ね、真似事なんかじゃ無いわ、ちゃんと仕事をしていたのよ」
「もっと悪いだろう!」
「どうしていけないの? ちゃんとした仕事だわ」
「しかし、、、使用人など公爵令嬢がする様なものでは無い」
「ミリアお姉様だってしていた仕事だわ、お義兄様こそ使用人の仕事を馬鹿にしないでちょうだい」
「馬鹿にしているつもりは、無いが、、、」
「お義兄様は、お義姉様の事まで侮辱なさるつもりなの?」
「いや、そんなつもりは、、、」
「それに、私だって始まりは使用人の娘だわ」
「しかし、、、」
「言っておきますけど、今日まではちゃんと仕事をしますからね、アレス様ともそうお約束しているし、引き受けた"し・ご・と"なんですから」
「カリーナ!」
言うだけ言って、部屋を出る。
「ロアン、お前の負けだよ」
「いつの間に、あんなにしっかりしたんだ?」
「さぁな」
「これ以上、何も無いよな、驚かさないでくれよ、心臓が止まるかと思った」
「あっ、悪い。ミュールから商隊に一人下働きを入れただろう?」
「あゝ」
「彼もティジィスの跡継ぎだ」
「アレス!?」
部屋の中からお義兄様とアレス様の話し声が聞こえて来るが、それよりもカリーナには気になる事がある。
『もう、こんなつもりじゃ無かったのに』
せっかく仲良くして貰った仲間達から、嫌われたらどうしよう。
ちゃんと説明するつもりだったのに、お義兄様が大きな声で話すから謝る前に、みんなに嘘をついていた事を知られてしまった。
今までの様に親しく話して貰えなくなったらとドキドキしながら戻ると、予想とは違う別の歓声で迎えられた。
「きゃぁぁ、、、お嬢様だったなんて知らなかったわ」
「ほんとびっくりよ」
「ずっと公爵令嬢と一緒にいたなんて、誰に話してもきっと信じて貰えないわ」
「あの、ごめんなさい」
「ふふ、そりゃぁ驚いたわよ」
「だけど、カナだったし」
「何となく納得しちゃったのよね」
「真面目で」
「怠ける事ないし」
「それに、楽しかったわ」
「私も、とっても楽しかった」
「ふふっ、また一緒に働いてもいいわよ」
「本当に?」
「もちろん!」
そのまま仕事を続ける。
帰りの旅もこんな風に続ける事が出来るなら、こんなに嬉しい事はない。
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