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第3章
13 サウストリア(13)-アレスside
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勘弁してくれと言いたくなる。
ウエストリア領が一人の領主が大きな力を持ち治めているとすると、サウストリア領は、いくつかの家が治めていて領主はほとんど力を持たない。
そのサウストリアのイスレイン家に属するティジィスの家は、海軍の中心となる家の一つで、サウストリアの中でも大きな力を持つ。
その跡継ぎを例え数日でも、下働きで雇ったなんて知られたら、今後、この辺りに来るたびに手合わせを申し込まれても断わる事が出来なくなる。
「ダナー殿、商隊に同行する事を断わるつもりはないが、使用人と言うのは困る。分かっておられるでしょう?」
「僕の気持ちも分かって欲しいなぁ」
「ダナー殿の?」
「八年ぶりに会えた幼馴染の近くにいたいと思うのは、そんなにダメな事かな?」
「いや、そう言う意味では、、、」
「それとも、僕の様な者が彼女の側にいる事に反対なのかな?」
「そんな事は、、、」
ニコニコと話す相手は、こちらの気持ちを分かっていて、はぐらかすのだから手に負えない。
「よかった、、、なら僕が使用人になりたい気持ちも分かって貰えるよね?」
「、、、分かりました」
「そう困った顔をしないでよ、なるべく顔を見られない様にしてみるからさ。
でも少しくらい申し込まれても平気だろ? ドロテアの祭りまではここにいないだろうし、いたとしてもキミは強いじゃないか」
「お願いですから、やめて下さい」
この辺りの男達は、とにかく血の気が多い。
この時期、サウストリアは比較的海が落ち着いていて、暇な彼らは何かと腕自慢をしたがる。
主家の跡継ぎに手合わせを申し込めなくても、それを雇った相手なら気にする事なく、手合わせを申し込んできても不思議では無い。
その度に相手になどしていたら大変な事になるし、おまけに雇った彼の名誉を傷つける事も出来ないので、下手に負ける訳にも行かなくなる。
夏の終わりに開かれるドロテアの祭りは、そう言った連中を好きなだけ暴れさせてやろうと言うもので、彼らはそこで、この冬、海の上で共に戦う相手の実力を知る事になる。
海の上でもその後、船を操って同じ様な事をするのが団体戦なら、祭りはその前の個人戦で、観客がいる分盛り上がる。
名前を知って貰うために、以前祭りの剣術試合に出たのも事実だが、何年も前の話で今はあの時ほど修練していないのも事実だった。
最近相手が出来たので多少体を動かしているとは言え、血気盛んな若者の相手が出来るとは思えない。
「ロートアに着くまでの数日の間だけですからね。
カリーナもロアンにそこで話をすると言っていますので、そこで家の方に戻って頂きますからそのつもりでいて下さい」
「分かった、分かった。心配性だなぁ、そんなに気にしなくても大丈夫だよ」
当の本人は全く気にしていないのだから始末に負えない。
本当に勘弁してくれ。
こっちはこれからロアンに何と言われるか考えるだけで恐ろしいのに、彼の相手までさせられてはたまらない。
ウエストリア領が一人の領主が大きな力を持ち治めているとすると、サウストリア領は、いくつかの家が治めていて領主はほとんど力を持たない。
そのサウストリアのイスレイン家に属するティジィスの家は、海軍の中心となる家の一つで、サウストリアの中でも大きな力を持つ。
その跡継ぎを例え数日でも、下働きで雇ったなんて知られたら、今後、この辺りに来るたびに手合わせを申し込まれても断わる事が出来なくなる。
「ダナー殿、商隊に同行する事を断わるつもりはないが、使用人と言うのは困る。分かっておられるでしょう?」
「僕の気持ちも分かって欲しいなぁ」
「ダナー殿の?」
「八年ぶりに会えた幼馴染の近くにいたいと思うのは、そんなにダメな事かな?」
「いや、そう言う意味では、、、」
「それとも、僕の様な者が彼女の側にいる事に反対なのかな?」
「そんな事は、、、」
ニコニコと話す相手は、こちらの気持ちを分かっていて、はぐらかすのだから手に負えない。
「よかった、、、なら僕が使用人になりたい気持ちも分かって貰えるよね?」
「、、、分かりました」
「そう困った顔をしないでよ、なるべく顔を見られない様にしてみるからさ。
でも少しくらい申し込まれても平気だろ? ドロテアの祭りまではここにいないだろうし、いたとしてもキミは強いじゃないか」
「お願いですから、やめて下さい」
この辺りの男達は、とにかく血の気が多い。
この時期、サウストリアは比較的海が落ち着いていて、暇な彼らは何かと腕自慢をしたがる。
主家の跡継ぎに手合わせを申し込めなくても、それを雇った相手なら気にする事なく、手合わせを申し込んできても不思議では無い。
その度に相手になどしていたら大変な事になるし、おまけに雇った彼の名誉を傷つける事も出来ないので、下手に負ける訳にも行かなくなる。
夏の終わりに開かれるドロテアの祭りは、そう言った連中を好きなだけ暴れさせてやろうと言うもので、彼らはそこで、この冬、海の上で共に戦う相手の実力を知る事になる。
海の上でもその後、船を操って同じ様な事をするのが団体戦なら、祭りはその前の個人戦で、観客がいる分盛り上がる。
名前を知って貰うために、以前祭りの剣術試合に出たのも事実だが、何年も前の話で今はあの時ほど修練していないのも事実だった。
最近相手が出来たので多少体を動かしているとは言え、血気盛んな若者の相手が出来るとは思えない。
「ロートアに着くまでの数日の間だけですからね。
カリーナもロアンにそこで話をすると言っていますので、そこで家の方に戻って頂きますからそのつもりでいて下さい」
「分かった、分かった。心配性だなぁ、そんなに気にしなくても大丈夫だよ」
当の本人は全く気にしていないのだから始末に負えない。
本当に勘弁してくれ。
こっちはこれからロアンに何と言われるか考えるだけで恐ろしいのに、彼の相手までさせられてはたまらない。
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