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第3章
12 サウストリア(12)-ダナーside
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人を見る目はあるつもりだった。
周りの人間の感情にも敏感だと思っている。
そのおかげで、ティジィスの跡継ぎに選ばれたのだと言っても過言ではない。
それなのにレオーナが珍しく男の腕の中にいるので、カリーナの様子が変な事に気付くのがちょっと遅れた。
どうやら彼女は、二人を見て落ち込んでいるみたいだった。
レオーナに恋人がいてカリーナに落ち込む理由はないので、あの男の方を見て、という事だ。
カリーナの義兄の友人、仕事仲間で、ノア商会の主。
レオーナが気に入るくらい確かにいい男だし、何年も前のドロテアの剣術試合の話は、今でも聞かされる。
『さて、どうするかな』
あの男が姉上を選び、レオーナが名前も知らない男の事を忘れて、彼を選ぶならダナーにとってはいい話だ。
カリーナは落ち込んでいても、まだそれが何なのか、どうしてなのかも分かっていない様で、それに気付かせない様にすればいい。
だがレオーナが彼を選ばす、彼もカリーナを手に入れたいと思ったなら、どうすればいいだろう?
カリーナが大好きだし、彼女に選ばれる為に努力もして来たが、彼女が辛い思いをするのは嫌だし、誰よりも幸せになって欲しい。
その為にはどうすればいいだろう?
『まぁ、今、分からない事を考えても仕方がないな』
やっぱり側にいるのが一番いいし、その必要がある。
あの男がカリーナをどう思っているか知る必要があるし、姉上の為にも、昨日会った男が、あの"風使いのファリス"と同じ奴なのかも確かめる必要がある。
「もう、ダナー!」
頬を膨らまして怒っているカリーナも、相変わらずで可愛らしい。
サウストリアにいた時も、ダナーがちょっと困らせると、こうして頬を膨らませた。
「そうだわ、どうしてファーネ様達を叔母上って呼んでいるの?
レオーナ様とも血縁関係なかったと思うけど、、、間違えてる?」
「レオーナとは一緒に育ったからな、姉みたいなものなんだよ。
一応、立場的にはレオーナ様って呼ぶべきなんだけど、なんかしっくりこなくてさ、それで姉上と人前では呼んでる」
「ラミーネ様達も?」
「レオーナの両親だけど、父上、母上ってのも変だろう? ティジィスの親父がいるしさ。
で、なんとなくね。ファーネ様はさ、昔“ばばさま”って読んだら叩かれたんだぜ、それ以来、ファーネ様も叔母上さ」
「ダナーって変わらないわ」
「好きになれそう?」
「もう!」
「ハハッ、ごめん、ごめん。そうだ、アイツの名前教えてよ」
「アイツ?」
「カリーナの先生」
「、、、ファリス・ラングロアよ」
「ウエストリアのラングロア家か、、、」
「手合わせしては、いけないって」
「分かってるよ、これから同じ商隊で働かせて貰うからね。少しくらいどんな奴がいるか知っておきたいだけさ」
何を聞かれるのかと心配そうなカリーナが、安心した顔をする。
彼女を困らせる必要はない。
ロートアに行けば、スーの者が誰かいるはずだ。
二年前、スーの海軍にいた“風使いのファリス”顔を覚えている者も誰か見つかるだろう。
周りの人間の感情にも敏感だと思っている。
そのおかげで、ティジィスの跡継ぎに選ばれたのだと言っても過言ではない。
それなのにレオーナが珍しく男の腕の中にいるので、カリーナの様子が変な事に気付くのがちょっと遅れた。
どうやら彼女は、二人を見て落ち込んでいるみたいだった。
レオーナに恋人がいてカリーナに落ち込む理由はないので、あの男の方を見て、という事だ。
カリーナの義兄の友人、仕事仲間で、ノア商会の主。
レオーナが気に入るくらい確かにいい男だし、何年も前のドロテアの剣術試合の話は、今でも聞かされる。
『さて、どうするかな』
あの男が姉上を選び、レオーナが名前も知らない男の事を忘れて、彼を選ぶならダナーにとってはいい話だ。
カリーナは落ち込んでいても、まだそれが何なのか、どうしてなのかも分かっていない様で、それに気付かせない様にすればいい。
だがレオーナが彼を選ばす、彼もカリーナを手に入れたいと思ったなら、どうすればいいだろう?
カリーナが大好きだし、彼女に選ばれる為に努力もして来たが、彼女が辛い思いをするのは嫌だし、誰よりも幸せになって欲しい。
その為にはどうすればいいだろう?
『まぁ、今、分からない事を考えても仕方がないな』
やっぱり側にいるのが一番いいし、その必要がある。
あの男がカリーナをどう思っているか知る必要があるし、姉上の為にも、昨日会った男が、あの"風使いのファリス"と同じ奴なのかも確かめる必要がある。
「もう、ダナー!」
頬を膨らまして怒っているカリーナも、相変わらずで可愛らしい。
サウストリアにいた時も、ダナーがちょっと困らせると、こうして頬を膨らませた。
「そうだわ、どうしてファーネ様達を叔母上って呼んでいるの?
レオーナ様とも血縁関係なかったと思うけど、、、間違えてる?」
「レオーナとは一緒に育ったからな、姉みたいなものなんだよ。
一応、立場的にはレオーナ様って呼ぶべきなんだけど、なんかしっくりこなくてさ、それで姉上と人前では呼んでる」
「ラミーネ様達も?」
「レオーナの両親だけど、父上、母上ってのも変だろう? ティジィスの親父がいるしさ。
で、なんとなくね。ファーネ様はさ、昔“ばばさま”って読んだら叩かれたんだぜ、それ以来、ファーネ様も叔母上さ」
「ダナーって変わらないわ」
「好きになれそう?」
「もう!」
「ハハッ、ごめん、ごめん。そうだ、アイツの名前教えてよ」
「アイツ?」
「カリーナの先生」
「、、、ファリス・ラングロアよ」
「ウエストリアのラングロア家か、、、」
「手合わせしては、いけないって」
「分かってるよ、これから同じ商隊で働かせて貰うからね。少しくらいどんな奴がいるか知っておきたいだけさ」
何を聞かれるのかと心配そうなカリーナが、安心した顔をする。
彼女を困らせる必要はない。
ロートアに行けば、スーの者が誰かいるはずだ。
二年前、スーの海軍にいた“風使いのファリス”顔を覚えている者も誰か見つかるだろう。
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