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第5章
02 その後 -ウエストリアside
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- 一年前 -
「アル、会いたかったわ」
「姉さま、僕もすごく会いたかった」
四年ぶりに会う弟は、すっかり大人の顔をしている。
「こんな所で会えるとは思って無かったよ」
「ふふっ、ここからならガルスに来るのも簡単よ?」
四年前、私がガルスに着いてしばらくした頃、突然寝室に現れた大きなドリアドの木は、今ではあの部屋に根をはり、"精霊の国"と"ガルス"を繋ぐ道になってしまっている。
"ミリオネア"にも道があるので、精霊の国を通れば、陸地を通るより楽にこの地に来る事が出来る。
リディアが通る時は、その度に、"精霊の国"に数日留まるので、時間的にはそれ程違いは無いように思えるが、長い距離と手間をかけるよりずっと快適だ。
「とっても疲れたよ」
「大変だったわね」
「姉さま、どうして人は争うんだろう?」
「どうしたの?」
「エイダンと行った時、最初は本当に酷い状態だったんだ、、、だから守った。
だけど、しばらくすると今度は相手を傷つけようとするんだ、傷つけられたからって」
「そう」
「それに今なら手に入れる事が出来るって」
「貴方は手に入れたいと思わなかったの?」
「あの国を?」
「ええ、力を持っているとそれを使って多くの物を手に入れたくなる様だから」
「僕は嫌だよ、そんな事したくない。それにそんなもの、手に入れてどうするのさ。
姉さまだって知っているだろう? いつも父様が何て言っているか、、、」
「あゝ、面倒くさい」
「あゝ、面倒くさい」
二人で声を合わせる。
「ふふっ、そうね。でも、、、貴方が変わらないでいてくれて嬉しいわ」
肩に頭を乗せる様にもたれ掛かるアルフレッドの髪を撫ぜる。
「まだウエストリアに帰る気になれない?」
「義務と責任だろ? 分かってるよ」
「一人で背負う必要は無いのよ?」
「それも知ってるけど、、、ちょっと嫌な予感がするから」
「お父様は、その面倒な領主の仕事を、早く手放したくて仕方がないみたいですものね」
「まだ、困るんだけど、、、」
「そうねぇ、まずお父様の代理を引き受けない事かしら? 後は、時々森にでも逃げてしまえばいいわ」
「父様だって森に入れるだろ?」
「今は貴方の味方の方が多いから大丈夫よ」
「そっか」
「それにガルスに来てもいいのよ?」
「ガルスに? それ、、、ザィード様の機嫌が悪くならないかな」
「ふふっ、それこそ大丈夫よ、機嫌を直して貰う方法を知っているもの」
「ふ~ん、それならウエストリアに帰ってもいいかなぁ。逃げる場所が二つもあるなら、時々嫌になっても何とかなる気がするよ」
アルフレッドがこちらを向いて笑う。
私が手を引いていた弟が一人で歩き始めている。
辛い経験をしても変わることなく優しい弟が自立する事は、少し寂しくそしてとても誇らしい。
「アル、会いたかったわ」
「姉さま、僕もすごく会いたかった」
四年ぶりに会う弟は、すっかり大人の顔をしている。
「こんな所で会えるとは思って無かったよ」
「ふふっ、ここからならガルスに来るのも簡単よ?」
四年前、私がガルスに着いてしばらくした頃、突然寝室に現れた大きなドリアドの木は、今ではあの部屋に根をはり、"精霊の国"と"ガルス"を繋ぐ道になってしまっている。
"ミリオネア"にも道があるので、精霊の国を通れば、陸地を通るより楽にこの地に来る事が出来る。
リディアが通る時は、その度に、"精霊の国"に数日留まるので、時間的にはそれ程違いは無いように思えるが、長い距離と手間をかけるよりずっと快適だ。
「とっても疲れたよ」
「大変だったわね」
「姉さま、どうして人は争うんだろう?」
「どうしたの?」
「エイダンと行った時、最初は本当に酷い状態だったんだ、、、だから守った。
だけど、しばらくすると今度は相手を傷つけようとするんだ、傷つけられたからって」
「そう」
「それに今なら手に入れる事が出来るって」
「貴方は手に入れたいと思わなかったの?」
「あの国を?」
「ええ、力を持っているとそれを使って多くの物を手に入れたくなる様だから」
「僕は嫌だよ、そんな事したくない。それにそんなもの、手に入れてどうするのさ。
姉さまだって知っているだろう? いつも父様が何て言っているか、、、」
「あゝ、面倒くさい」
「あゝ、面倒くさい」
二人で声を合わせる。
「ふふっ、そうね。でも、、、貴方が変わらないでいてくれて嬉しいわ」
肩に頭を乗せる様にもたれ掛かるアルフレッドの髪を撫ぜる。
「まだウエストリアに帰る気になれない?」
「義務と責任だろ? 分かってるよ」
「一人で背負う必要は無いのよ?」
「それも知ってるけど、、、ちょっと嫌な予感がするから」
「お父様は、その面倒な領主の仕事を、早く手放したくて仕方がないみたいですものね」
「まだ、困るんだけど、、、」
「そうねぇ、まずお父様の代理を引き受けない事かしら? 後は、時々森にでも逃げてしまえばいいわ」
「父様だって森に入れるだろ?」
「今は貴方の味方の方が多いから大丈夫よ」
「そっか」
「それにガルスに来てもいいのよ?」
「ガルスに? それ、、、ザィード様の機嫌が悪くならないかな」
「ふふっ、それこそ大丈夫よ、機嫌を直して貰う方法を知っているもの」
「ふ~ん、それならウエストリアに帰ってもいいかなぁ。逃げる場所が二つもあるなら、時々嫌になっても何とかなる気がするよ」
アルフレッドがこちらを向いて笑う。
私が手を引いていた弟が一人で歩き始めている。
辛い経験をしても変わることなく優しい弟が自立する事は、少し寂しくそしてとても誇らしい。
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