エルメニア物語 - 辺境の令嬢は大きな獣に愛される -

小豆こまめ

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第4章

02 ウエストリア家で(2)

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「リオン、ウエストリアの屋敷に来るなんて珍しいわね」
「やぁ、リディア。頼まれていた物が出来たんだ、ちょっと見せたくてさ」

 そう言って小瓶から、薄茶色の小さな塊を出してくれる。

「まぁ、きれい、マテの粉から作れたのね。ありがとう、こんなに早く出来るとは思っていなかったわ」
「残念ながらこの大きさが限界なんだけどね。これ以上大きくなるともろくなるんだ、リディアが欲しい物とは違ってくるだろう?」

「そうね、どう使うかだと思うけれど」
「ミリオネアについて、もう少し情報が欲しいよね」

「知らない国なのだから仕方ないのだけど、、、出来ればね」
「それもあってさ」
「どうしたの?」

「トレポレの街にさ、ちょっと客人が来ているんだ」
「お客様?」
「リディアの知っている人だよ」
「ひょっとして、アレス様?」

「僕の事、話しただろ? 先日、訪ねて来たんだ」
「話はしたけれど、どうしてリオンの所に?」

「流石にここには来れないだろう?」
「そうかしら?」
「そうだよ」

「まぁ、来て頂いても渡せる物が何も無いのだけど」

 フレの織物は、糸の混合を調整しながら試作を続けている状態だし、マテ茶の方も、何も決まっていない。
 おまけにマテ茶ではセレスティナに多くの力を借りていたのに、その本人は紅茶の事を考える状態で無くなっている。

「ティナもここにいるんだろう?」
「ええ」

 セレスティナとリオンは幼馴染だ。
 一つ歳下のリオンは、セレスティナに特別な気持ちを持っているらしいけれど、彼女にとっては心を許せる数少ない友人の一人で、それ以上ではない。

 セレスティナとサイラス様の事は、二人が一緒にいる所を見れば判る。
 リオンは温室に良く来ていたし、収穫祭にもいたので、セレスティナがサイラス様に惹かれている事は分かっているはずだ。

「呼んでくる?」
「いや、ウルグ様が温室をしっかり見ているって伝えておいてよ、ティナの紅茶は無くなりそうだけどね。
 僕も水まきは得意だからさ、しばらく留守にしても大丈夫だよ」

「判ったわ。それに私も一緒にイリノアに行っても良いのだから、温室にも帰れると思うわ」

「それなんだけどさ」
「なあに?」

「見に来ないかって」
「何を?」
「アレス様がさ、ミリオネアを見に来ないかって」

「えっ?」

「マテの紅茶にしても、ミリオネアでどんな物が好まれるか、知りたいだろう?」
「それはそうだけど」

「行ってみたくない?」
「行けると思う?」
「リディア次第だと思うけど、、、リディアがミリオネアに行くなら、ティナも一緒に連れて行って欲しいんだ」

「どうしたの?」
「親父にティナと婚約の話を言われた」
「まぁ」

「ティナが国を離れるなら、その話は白紙になる」
「いいの?」
「仕方ない、別に彼がいなくても僕は弟だよ。それでもいいかなぁって思った事もあったけど、あんなティナを見ちゃったからなぁ」

「そう。って事は、セレスティナがミリオネアに行く事を周りに知らせた方がいいのね」

「まぁ、そうかな」

「セレスティナが私の依頼を受けて、紅茶の売買を調べる為にミリオネアに行く。って言うのは可能性としてあるわよね」

 セレスティアがミリオネアに行くのは、決して難しい事ではない。
 サウストリアのイスレイン家の当主となったファーレン様は、ダリオン様の兄で、セレスティアの叔父に当たる。

 サウストリアの領地を移動するにしても、姪であればイスレイン家が護衛に付いても不自然ではない。
 ロートアまで行く事が出来れば、その後は、アレス様の商隊が連れて行ってくれるだろう。

 私が一緒に行くにはどうすればいいだろう?
 セレスティアが巻き込まれることなく、父を納得させなければならない。

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