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魔王と勇者の邂逅。真実を知る勇者たち
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ここは魔王城
魔王ザスギエルが統治する魔族領の城である。今日も今日とて勇者たち御一行が魔王討伐へ玉座の間へやって来ていた。
アリア「魔王ザスギエル!今日こそ貴様を倒し、世界に平和を取り戻してみせる!」
ルミナス「魔王よ、今回はいつものようには行きませんよ」
レナ「魔王さん、お覚悟なのです!」
ザスギエル「おお!勇者たちよ、また来てくれたのだな!今日はお茶でもどうだ?この間有名な茶葉が入ってな...」
アリア「ふざけているのか、ザスギエル!くらえ!炎獄斬り!」
ルミナス「はぁ...!フォトンレイ!」
レナ「えーい!マジックノヴァ!」
ザスギエル「はぁ、今日も話は聞いてくれぬか」
アリアが燃え盛る炎を剣に纏い突撃し、ルミナスとレナが後ろから援護射撃をする。
だが、ザスギエルがパチン、と指を鳴らせば強力な結界が目の前に現れる。
ルミナスとレナが放った魔法は結界に弾かれ、アリアは結界を斬ろうと剣を押し付けるが結界が斬れる気配は無い。
ザスギエル「そなたら、いい加減分からぬか。そなたらでは我に敵わん。我の話を聞いてくれんか、勇者アリア、賢者ルミナス、魔女レナよ」
アリア「アンタの話なんて聞く訳が無いでしょ!いい加減に結界解きなさいよ...!」
ザスギエル「結局、またこれしかないか...」
ザスギエルはもう一度パチン、と指を鳴らすと3人の上から雷が落ち、一撃で死んでしまった。
アークデーモン「よろしかったので?」
ザスギエル「うむ、勇者パーティは神の加護で最後に訪れた協会で復活する。そういうシステムなのだ。」
サキュバス「でもでも、アイツらがもう一度ここに来ても同じことの繰り返しじゃない?魔王様、話したいことがあるんじゃないの?」
ザスギエル「そうだ。そうなのだが、聞く耳が無いのでは話すに話せんだろう。」
アークデーモン「であれば、魔王様が直々に赴いてはどうでしょう。」
ザスギエル「おお、アークデーモン、お主良い事を言う。」
アークデーモン「恐縮です。」
ザスギエル「我はこれからこの魔王城から1番近い人間の街、スクルーズへ行く。サキュバス、着いてまいれ。」
サキュバス「はいはーい!どんな変装にする?こういうの?こういうのとか?♡」
ザスギエル「そんな布面積が少ない物を人間が着るか!普通の服で良い。」
サキュバス「えー?つまんないの。なら村人Aみたいな格好にするね」
サキュバスは幻影魔法を使い、自分とザスギエルの角や尻尾を隠し、地味な服装へと変えた。
ザスギエル「アークデーモン、我の留守を頼む。いつも通り、人間との共存に異議を唱える者は城へ通しておけ。まとめて話をする。」
アークデーモン「かしこまりました。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」
~魔王城の外~
サキュバス「ねーねー魔王様ぁ。スクルーズ?って街にはどれくらいで着くの?」
ザスギエル「大体1日ずっと歩き続けて5日だな。」
サキュバス「えー!?休んだら1週間超えるじゃーん!やだやだー!転移魔法使おー?」
ザスギエル「ふん、しょうがない...だが街に急に現れても厄介な事になる。街より離れた場所に出るぞ。それで文句は無いな?」
サキュバス「うん!おっけーおっけー!」
ザスギエルはパチン、と指を鳴らすとスクルーズから1km程離れた場所に転移した。
ザスギエル「サキュバス、あれがスクルーズだ。」
サキュバス「わー!人間がいっぱいー♡食べちゃおっかなー?♡」
ザスギエル「食べたら問答無用で収監だぞ」
サキュバス「スイマセン」
スクルーズの街入口の門にて
門兵「...よし、通っていいぞ!次!...ん?なんだお前ら、この辺じゃ見ない顔だな?怪しいものではないだろうな?」
ザスギエル(サキュバス、我に合わせよ)
サキュバス(らじゃー♡)
ザスギエル「僕たちは夫婦で旅をしている者です。この街には勇者様が居ると聞き、一目見たく立ち寄りました。」
サキュバス「そーそー!勇者様にね!」
門兵「勇者様に?ほう、それは殊勝な心掛けだが、貴様らの様なやつが居ると勇者様も心が休まらん。決して近づかず遠目で見るまでにしておけよ。身分証を出してくれ。」
ザスギエル「これで」
門兵「うむ、確認した。ようこそスクルーズへ。」
サキュバス「ねーねー魔王様ー?あの身分証って持ってたんですか?」
ザスギエル「あれは偽造だ。それくらい容易い。あと街中で魔王様は止めろ。」
サキュバス「あ、やっぱりなんですねー。じゃあザスくんって呼びますね♡」
ザスギエル「勝手にしろ」
宿屋外で1人の店主らしき男が客を呼び込んでいる。
宿屋の店主「あ、そこのご夫婦、うちは安いし料理も美味しいよー!1泊だけでもどうだい!」
ザスギエル「悪いが、人を探していてな。この街に勇者が居ると聞いたのだが。」
宿屋の店主「おお、そいつぁ丁度いい!今うちの宿に勇者様御一行が泊まってるんですよ!お兄さん達もどうだい?」
ザスギエル「ほう、それは真か。情報感謝する。では我らも1泊しよう。」
宿屋の店主「ちょ、ちょっとお兄さん、金貨じゃ多すぎますよ!」
ザスギエル「よい、情報料だ。取っておけ。」
宿屋の店主「へ、へい!ありがとうございやす!」
宿屋の中へ入ると、並べられたいくつかのテーブルの真ん中に勇者たちが居た。
ザスギエルはパチン、と指を鳴らすと勇者たち3人と自分、サキュバス以外の時間を止めた。
アリア「え、何!?急に静かに...!?」
ルミナス「時間魔法!?世界で5人と出来る人はいないはず...!」
レナ「え?え?何が起きてるの?」
ザスギエル「さっきぶりだな、勇者たちよ」
アリア達は一斉に振り向き、止まっている時間の中で確かに喋った男を見つける。その正体は3人とも検討が付いていた。
アリア「魔王...!」
ルミナス「ザスギエル!」
レナ「ふえぇぇぇ...」
アリア「何故貴様がここに!皆をどうした!」
ルミナス「気配すらしなかった...これ程濃密な魔力が漂っているのに、何故...」
ザスギエル「まあ落ち着け。我は話がしたいだけだ。他の者には聞かれたくない話ゆえ、時間を止めさせてもらった。」
サキュバス「やーん♡ザスくんってばだいたーん♡」
ザスギエル「サキュバス、一旦黙れ。」
サキュバス「ハイ」
ザスギエル「話というのはだな...」
アリア「黙れ!貴様と話す事などあるものか!」
ルミナス「アリア待って!ここでは皆を巻き込んでしまう!」
アリア「ぐっ!卑怯な...!」
ザスギエル「そういう事だ。こうでもせんと話を聞いてくれぬだろう。我に戦う意思は無い。必要ならサキュバスもどこかへ行かせよう。」
サキュバス「え?私要らない子?」
サキュバスはザスギエルから金貨を貰い、嬉しそうに出ていった。後で止まった時の中で金貨が使えなく泣いたのは言うまでもない。
アリア「本当に、戦う気は無いのね?」
ザスギエル「最初からそう言っている。」
アリア「分かったわ。その代わり話し終わったらすぐに帰って。」
ザスギエル「良かろう。」
ザスギエルとアリアたちは椅子へ座り、話を始めた。
ザスギエル「まず最初に、結論から話そう。我ら魔族は、人間たちと共存を望んでいる。」
アリア「...ハア!?そんな事、信じられると思う!?」
ルミナス「ありえません。人間と魔族の歴史は戦いの歴史。過去に共存したという記録も無ければそれを望んだ事も無いはずです。」
レナ「きょうぞん?魔族さん達はレナ達と暮らしたいってこと?」
ザスギエル「賢者ルミナス、正解だ。よく勉強しているな。その通り、過去にも魔族と人間が共存を望んだというのは一切無い。」
ルミナス「では何故、今更共存を望むのです?」
ザスギエル「逆に聞こう。何故魔族と人間は争いの歴史になった?」
ルミナス「それは...魔族領には人間が必要とする鉱石や資源が、人間領には魔族が必要とする魔力を内包した資源が取れるからです。」
ザスギエル「正解だ。では何故今まで我々はそれを交易しなかった?奪い合うのではなく分け合えば良かろう。」
ルミナス「それは...過去に交易をしようと望んだ方は人間にも居ました。ですがその時に限り魔物が襲来し、失敗し続け人間も魔族を信用しなくなったから。」
ザスギエル「不正解だ。ルミナス。」
ルミナス「は...?不正解...?では何が正解だと言うのです!?歴史の参考書にはこうとしか書かれていない!」
ザスギエル「人間が魔族を信用しなくなったのは正解だ。不正解なのは、魔物を魔族が操っていると考えている点だ。」
アリア「ちょ、ちょっと待って!魔物は魔族が生み出した人間への斥候のようなものでしょ?何自分たちは関係ないって顔してるのよ!」
ザスギエル「そこだ。そこが違う。魔物は本来魔族から溢れ出る魔力や空気中の魔力が高まった時に湧くものだ。我らに制御できるものでは無い。実際、我らの同胞にも強い魔物にやられた者は居る。」
ルミナス「魔物は...魔族の管理下ではない...?それが本当であれば、何故魔物は人間領では湧かないのです?」
アリア「そうよ、人間領にも魔力は空気中に漂っているわ。」
ザスギエル「人間領で取れる魔力を内包した資源。それを加工すれば、魔力を魔物が湧かない魔力。これを白の魔力と呼ぼうか。これに変えるマジックアイテムが作れる。」
ルミナス「とすれば、人間領はそれを使い魔物が湧かず、魔族領にはそれが無い為魔物が湧く魔力...黒の魔力が溜まり魔物が生み出される。」
ザスギエル「正解だ。やはり賢者の名を冠するだけはあるな。」
ルミナス「茶化さないでください。まだ全てを信じた訳ではありません。」
ザスギエル「はは、悪いな。たが、そこで共存の話が出てくるわけだ。前魔王は侵略戦争を積極的にしていたが、我が魔王になって30年。侵略をしたことがあったか?この30年で返した領地もあったはずだ。」
ルミナス「確かに、ここ数年で魔族領に取られていた土地の60%が返還されています。何故このようなことを?」
ザスギエル「人間の信用を得るためだ。信用を得たいのに侵略などすれば信じるも何もあるまい?」
ルミナス「...なるほど、大体分かってきました。貴方たち魔族は魔物に困っている。だからマジックアイテムを欲したが、その素材は人間領にある為人間と共存したい。合ってますか?」
ザスギエル「その認識で合っている。」
アリア「ねえ、それ共存じゃなくて停戦協定じゃダメなの?」
ルミナス「はい、私も今そう思いました。」
ザスギエル「駄目だな。停戦協定を結んだとして、魔族領全域をコントロールするほど素材をくれると思えん。やるなら共存一択だ。」
ルミナス「なるほど、大体分かりました。ですが1つ、貴方は魔王です。私たちが貴方を信用できる材料がありません。何か、それを示してください。」
ザスギエル「信用出来る材料...か。ならば1つ、私は本当は人間であるという情報はいかがかな?」
アリア「な!?」
ルミナス「...は?」
レナ「えぇ?」
ザスギエル「私の本当の名前はノエルという。そして魔族には無く、人間にはある「レベル」がある。『ステータス』」
ノエルがステータスと唱えると、4人の前にノエルのパラメータが表示される。
Lv.100、力、防御、俊敏、賢さ999。種族「人間」
ノエル「これで信じて貰えたかな?」
アリア「いや...これ...ありえないでしょ...?レベル100...?オール999...?」
ルミナス「あ...ありえません!このステータスの高さは人間ではありません!しかも人間の最高到達レベルは50だという記録があります!」
レナ「レナのれべる、まだ23なのに、凄い...」
ノエル「なら、この話からしなければならないな。私は前世の記憶を引き継いだ人間であると。」
ルミナス「ちょ、ちょっと待ってください!情報が多すぎます!ステータス全てが最高値?前世の記憶?ありえないことだらけです!」
ノエル「これは全て現実だ。受け入れてくれ。」
アリア「え?え?どういう事なの?前世の記憶ってあるものなの?」
ノエル「いいや、恐らくこれは私しか持っていないだろう。というのも、前世の私の人生は特殊でな。私は前世では、勇者だった。」
ノエルは語り出した。自分が前世では勇者として各地を冒険し、レベルが50に達し、当時の魔王を討伐寸前まで追い詰めたが最後の最後で負けたこと。
ノエル「そして私は死んだ。そこで神と名乗る者に会ったんだ。」
魔王ザスギエルが統治する魔族領の城である。今日も今日とて勇者たち御一行が魔王討伐へ玉座の間へやって来ていた。
アリア「魔王ザスギエル!今日こそ貴様を倒し、世界に平和を取り戻してみせる!」
ルミナス「魔王よ、今回はいつものようには行きませんよ」
レナ「魔王さん、お覚悟なのです!」
ザスギエル「おお!勇者たちよ、また来てくれたのだな!今日はお茶でもどうだ?この間有名な茶葉が入ってな...」
アリア「ふざけているのか、ザスギエル!くらえ!炎獄斬り!」
ルミナス「はぁ...!フォトンレイ!」
レナ「えーい!マジックノヴァ!」
ザスギエル「はぁ、今日も話は聞いてくれぬか」
アリアが燃え盛る炎を剣に纏い突撃し、ルミナスとレナが後ろから援護射撃をする。
だが、ザスギエルがパチン、と指を鳴らせば強力な結界が目の前に現れる。
ルミナスとレナが放った魔法は結界に弾かれ、アリアは結界を斬ろうと剣を押し付けるが結界が斬れる気配は無い。
ザスギエル「そなたら、いい加減分からぬか。そなたらでは我に敵わん。我の話を聞いてくれんか、勇者アリア、賢者ルミナス、魔女レナよ」
アリア「アンタの話なんて聞く訳が無いでしょ!いい加減に結界解きなさいよ...!」
ザスギエル「結局、またこれしかないか...」
ザスギエルはもう一度パチン、と指を鳴らすと3人の上から雷が落ち、一撃で死んでしまった。
アークデーモン「よろしかったので?」
ザスギエル「うむ、勇者パーティは神の加護で最後に訪れた協会で復活する。そういうシステムなのだ。」
サキュバス「でもでも、アイツらがもう一度ここに来ても同じことの繰り返しじゃない?魔王様、話したいことがあるんじゃないの?」
ザスギエル「そうだ。そうなのだが、聞く耳が無いのでは話すに話せんだろう。」
アークデーモン「であれば、魔王様が直々に赴いてはどうでしょう。」
ザスギエル「おお、アークデーモン、お主良い事を言う。」
アークデーモン「恐縮です。」
ザスギエル「我はこれからこの魔王城から1番近い人間の街、スクルーズへ行く。サキュバス、着いてまいれ。」
サキュバス「はいはーい!どんな変装にする?こういうの?こういうのとか?♡」
ザスギエル「そんな布面積が少ない物を人間が着るか!普通の服で良い。」
サキュバス「えー?つまんないの。なら村人Aみたいな格好にするね」
サキュバスは幻影魔法を使い、自分とザスギエルの角や尻尾を隠し、地味な服装へと変えた。
ザスギエル「アークデーモン、我の留守を頼む。いつも通り、人間との共存に異議を唱える者は城へ通しておけ。まとめて話をする。」
アークデーモン「かしこまりました。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」
~魔王城の外~
サキュバス「ねーねー魔王様ぁ。スクルーズ?って街にはどれくらいで着くの?」
ザスギエル「大体1日ずっと歩き続けて5日だな。」
サキュバス「えー!?休んだら1週間超えるじゃーん!やだやだー!転移魔法使おー?」
ザスギエル「ふん、しょうがない...だが街に急に現れても厄介な事になる。街より離れた場所に出るぞ。それで文句は無いな?」
サキュバス「うん!おっけーおっけー!」
ザスギエルはパチン、と指を鳴らすとスクルーズから1km程離れた場所に転移した。
ザスギエル「サキュバス、あれがスクルーズだ。」
サキュバス「わー!人間がいっぱいー♡食べちゃおっかなー?♡」
ザスギエル「食べたら問答無用で収監だぞ」
サキュバス「スイマセン」
スクルーズの街入口の門にて
門兵「...よし、通っていいぞ!次!...ん?なんだお前ら、この辺じゃ見ない顔だな?怪しいものではないだろうな?」
ザスギエル(サキュバス、我に合わせよ)
サキュバス(らじゃー♡)
ザスギエル「僕たちは夫婦で旅をしている者です。この街には勇者様が居ると聞き、一目見たく立ち寄りました。」
サキュバス「そーそー!勇者様にね!」
門兵「勇者様に?ほう、それは殊勝な心掛けだが、貴様らの様なやつが居ると勇者様も心が休まらん。決して近づかず遠目で見るまでにしておけよ。身分証を出してくれ。」
ザスギエル「これで」
門兵「うむ、確認した。ようこそスクルーズへ。」
サキュバス「ねーねー魔王様ー?あの身分証って持ってたんですか?」
ザスギエル「あれは偽造だ。それくらい容易い。あと街中で魔王様は止めろ。」
サキュバス「あ、やっぱりなんですねー。じゃあザスくんって呼びますね♡」
ザスギエル「勝手にしろ」
宿屋外で1人の店主らしき男が客を呼び込んでいる。
宿屋の店主「あ、そこのご夫婦、うちは安いし料理も美味しいよー!1泊だけでもどうだい!」
ザスギエル「悪いが、人を探していてな。この街に勇者が居ると聞いたのだが。」
宿屋の店主「おお、そいつぁ丁度いい!今うちの宿に勇者様御一行が泊まってるんですよ!お兄さん達もどうだい?」
ザスギエル「ほう、それは真か。情報感謝する。では我らも1泊しよう。」
宿屋の店主「ちょ、ちょっとお兄さん、金貨じゃ多すぎますよ!」
ザスギエル「よい、情報料だ。取っておけ。」
宿屋の店主「へ、へい!ありがとうございやす!」
宿屋の中へ入ると、並べられたいくつかのテーブルの真ん中に勇者たちが居た。
ザスギエルはパチン、と指を鳴らすと勇者たち3人と自分、サキュバス以外の時間を止めた。
アリア「え、何!?急に静かに...!?」
ルミナス「時間魔法!?世界で5人と出来る人はいないはず...!」
レナ「え?え?何が起きてるの?」
ザスギエル「さっきぶりだな、勇者たちよ」
アリア達は一斉に振り向き、止まっている時間の中で確かに喋った男を見つける。その正体は3人とも検討が付いていた。
アリア「魔王...!」
ルミナス「ザスギエル!」
レナ「ふえぇぇぇ...」
アリア「何故貴様がここに!皆をどうした!」
ルミナス「気配すらしなかった...これ程濃密な魔力が漂っているのに、何故...」
ザスギエル「まあ落ち着け。我は話がしたいだけだ。他の者には聞かれたくない話ゆえ、時間を止めさせてもらった。」
サキュバス「やーん♡ザスくんってばだいたーん♡」
ザスギエル「サキュバス、一旦黙れ。」
サキュバス「ハイ」
ザスギエル「話というのはだな...」
アリア「黙れ!貴様と話す事などあるものか!」
ルミナス「アリア待って!ここでは皆を巻き込んでしまう!」
アリア「ぐっ!卑怯な...!」
ザスギエル「そういう事だ。こうでもせんと話を聞いてくれぬだろう。我に戦う意思は無い。必要ならサキュバスもどこかへ行かせよう。」
サキュバス「え?私要らない子?」
サキュバスはザスギエルから金貨を貰い、嬉しそうに出ていった。後で止まった時の中で金貨が使えなく泣いたのは言うまでもない。
アリア「本当に、戦う気は無いのね?」
ザスギエル「最初からそう言っている。」
アリア「分かったわ。その代わり話し終わったらすぐに帰って。」
ザスギエル「良かろう。」
ザスギエルとアリアたちは椅子へ座り、話を始めた。
ザスギエル「まず最初に、結論から話そう。我ら魔族は、人間たちと共存を望んでいる。」
アリア「...ハア!?そんな事、信じられると思う!?」
ルミナス「ありえません。人間と魔族の歴史は戦いの歴史。過去に共存したという記録も無ければそれを望んだ事も無いはずです。」
レナ「きょうぞん?魔族さん達はレナ達と暮らしたいってこと?」
ザスギエル「賢者ルミナス、正解だ。よく勉強しているな。その通り、過去にも魔族と人間が共存を望んだというのは一切無い。」
ルミナス「では何故、今更共存を望むのです?」
ザスギエル「逆に聞こう。何故魔族と人間は争いの歴史になった?」
ルミナス「それは...魔族領には人間が必要とする鉱石や資源が、人間領には魔族が必要とする魔力を内包した資源が取れるからです。」
ザスギエル「正解だ。では何故今まで我々はそれを交易しなかった?奪い合うのではなく分け合えば良かろう。」
ルミナス「それは...過去に交易をしようと望んだ方は人間にも居ました。ですがその時に限り魔物が襲来し、失敗し続け人間も魔族を信用しなくなったから。」
ザスギエル「不正解だ。ルミナス。」
ルミナス「は...?不正解...?では何が正解だと言うのです!?歴史の参考書にはこうとしか書かれていない!」
ザスギエル「人間が魔族を信用しなくなったのは正解だ。不正解なのは、魔物を魔族が操っていると考えている点だ。」
アリア「ちょ、ちょっと待って!魔物は魔族が生み出した人間への斥候のようなものでしょ?何自分たちは関係ないって顔してるのよ!」
ザスギエル「そこだ。そこが違う。魔物は本来魔族から溢れ出る魔力や空気中の魔力が高まった時に湧くものだ。我らに制御できるものでは無い。実際、我らの同胞にも強い魔物にやられた者は居る。」
ルミナス「魔物は...魔族の管理下ではない...?それが本当であれば、何故魔物は人間領では湧かないのです?」
アリア「そうよ、人間領にも魔力は空気中に漂っているわ。」
ザスギエル「人間領で取れる魔力を内包した資源。それを加工すれば、魔力を魔物が湧かない魔力。これを白の魔力と呼ぼうか。これに変えるマジックアイテムが作れる。」
ルミナス「とすれば、人間領はそれを使い魔物が湧かず、魔族領にはそれが無い為魔物が湧く魔力...黒の魔力が溜まり魔物が生み出される。」
ザスギエル「正解だ。やはり賢者の名を冠するだけはあるな。」
ルミナス「茶化さないでください。まだ全てを信じた訳ではありません。」
ザスギエル「はは、悪いな。たが、そこで共存の話が出てくるわけだ。前魔王は侵略戦争を積極的にしていたが、我が魔王になって30年。侵略をしたことがあったか?この30年で返した領地もあったはずだ。」
ルミナス「確かに、ここ数年で魔族領に取られていた土地の60%が返還されています。何故このようなことを?」
ザスギエル「人間の信用を得るためだ。信用を得たいのに侵略などすれば信じるも何もあるまい?」
ルミナス「...なるほど、大体分かってきました。貴方たち魔族は魔物に困っている。だからマジックアイテムを欲したが、その素材は人間領にある為人間と共存したい。合ってますか?」
ザスギエル「その認識で合っている。」
アリア「ねえ、それ共存じゃなくて停戦協定じゃダメなの?」
ルミナス「はい、私も今そう思いました。」
ザスギエル「駄目だな。停戦協定を結んだとして、魔族領全域をコントロールするほど素材をくれると思えん。やるなら共存一択だ。」
ルミナス「なるほど、大体分かりました。ですが1つ、貴方は魔王です。私たちが貴方を信用できる材料がありません。何か、それを示してください。」
ザスギエル「信用出来る材料...か。ならば1つ、私は本当は人間であるという情報はいかがかな?」
アリア「な!?」
ルミナス「...は?」
レナ「えぇ?」
ザスギエル「私の本当の名前はノエルという。そして魔族には無く、人間にはある「レベル」がある。『ステータス』」
ノエルがステータスと唱えると、4人の前にノエルのパラメータが表示される。
Lv.100、力、防御、俊敏、賢さ999。種族「人間」
ノエル「これで信じて貰えたかな?」
アリア「いや...これ...ありえないでしょ...?レベル100...?オール999...?」
ルミナス「あ...ありえません!このステータスの高さは人間ではありません!しかも人間の最高到達レベルは50だという記録があります!」
レナ「レナのれべる、まだ23なのに、凄い...」
ノエル「なら、この話からしなければならないな。私は前世の記憶を引き継いだ人間であると。」
ルミナス「ちょ、ちょっと待ってください!情報が多すぎます!ステータス全てが最高値?前世の記憶?ありえないことだらけです!」
ノエル「これは全て現実だ。受け入れてくれ。」
アリア「え?え?どういう事なの?前世の記憶ってあるものなの?」
ノエル「いいや、恐らくこれは私しか持っていないだろう。というのも、前世の私の人生は特殊でな。私は前世では、勇者だった。」
ノエルは語り出した。自分が前世では勇者として各地を冒険し、レベルが50に達し、当時の魔王を討伐寸前まで追い詰めたが最後の最後で負けたこと。
ノエル「そして私は死んだ。そこで神と名乗る者に会ったんだ。」
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