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第13話 しばらくお待ちください
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「ごっめーん」
てへぺろって感じでジルは謝った。詫びをいれた相手は女官のセシリアだ。
「レイミー様は……」
見た目は質素だが職人が丁寧に作り上げたソファーは、小柄な少年であるレイミーが横たわっても十分だった。
「閨での説明をしたらこうなっちゃってぇ」
ジルは全く悪びれた様子もなく話すから、セシリアは大きなため息をついた。
「これでは今夜は陛下のお相手ができないではありませんか」
何のために学園まで騎士に迎えに行かせたのかわからない。そもそも、ジルが自分のお尻が限界だ。と訴えたからではなかったのか。
「ああ、うん。それは、そうだね。今夜も、俺が責任をとるよ」
ジルは頭をカキカキばつの悪そうな顔をして答えた。もう夕餉の時間が迫っているからレイミーを起こして支度をさせるのはどうにも無理がある。
「レイミー様は私が面倒を見ますから、ジル殿は閨に行ってください」
セシリアはレイミーを抱き上げた。セシリアはベータの女性ではあるが、なかなかな力持ちであるようだ。
「はいはーい」
ジルはひらひらと手を振って、いなくなった。セシリアはレイミーを続き部屋に運び込む。後宮の女官であれば、いざというときに妃の一人ぐらい運べなくては困るのだ。それから、規定通り、レイミーの身体検査をしなくてはならないのだが、どうやらセシリアが一人でやらなくてはならなくなったようだ。
本当はジルにやってもらうはずだったのに、なにしろお年頃の男の子の身体を丸裸にして確認しなくてはならないのだ。そんなこと、普通に貴族籍にいるならあれこれお世話をされ慣れているだろうけれど、レイミーの実家マイヤー家は貧乏であるが故使用人がいない。つまりレイミーは誰かに体を触られたり見られたりすることに耐性がないだろう。そう考えると、男性でベータのジルがするのが安全だったはずなのだ。だがもう今更なので、セシリアは一人ですることを決意した。ちょうどいいのか悪いのか、レイミーは意識がない。色々な要因が重なって、レイミーは深い眠りについていると言ってもいいだろう。
「失礼いたします」
意識のないレイミーの制服を丁寧に脱がせる。すっかり制服はしわだらけになっていた。寝台に眠るレイミーに上掛けをかけると、セシリアはレイミーの制服をもって素早く後宮を後にする。日の沈んだ後に後宮の門をくぐれるのは後宮の主である国王陛下アルベルトだけなのであるが、今日だけは特別だった。レイミーの制服は城下の仕立て屋に渡された。
「このサイズで明日までに、ですよ」
仕立て屋は大急ぎで城下の店へと帰っていった。それを見届けるセシリアの背後に宰相が現れた。
「何とかなりそうか?」
様々な手配はせてくれた宰相ではあったが、肝心なところで大きなミスをしてくれたものだ。
「なんともなりません。閣下、レイミー様は未成年なうえに発情期を迎えていなかったのですよ」
小声ではあるが、怒気を孕んだセシリアの声に宰相はひるんだ。
「な、なんと、それはこちらの調べが不足していた」
宰相はアルファだ。夫人はオメガで息子はアルファ。オメガの発情期は学園入学前に来ているものだと思っていた。
「原因はわかっております。レイミー様は栄養不足です。明日から栄養たっぷりのお食事をとっていただきます」
何かを決意したような顔でセシリアは宣言したのだった。
「ごっめーん」
てへぺろって感じでジルは謝った。詫びをいれた相手は女官のセシリアだ。
「レイミー様は……」
見た目は質素だが職人が丁寧に作り上げたソファーは、小柄な少年であるレイミーが横たわっても十分だった。
「閨での説明をしたらこうなっちゃってぇ」
ジルは全く悪びれた様子もなく話すから、セシリアは大きなため息をついた。
「これでは今夜は陛下のお相手ができないではありませんか」
何のために学園まで騎士に迎えに行かせたのかわからない。そもそも、ジルが自分のお尻が限界だ。と訴えたからではなかったのか。
「ああ、うん。それは、そうだね。今夜も、俺が責任をとるよ」
ジルは頭をカキカキばつの悪そうな顔をして答えた。もう夕餉の時間が迫っているからレイミーを起こして支度をさせるのはどうにも無理がある。
「レイミー様は私が面倒を見ますから、ジル殿は閨に行ってください」
セシリアはレイミーを抱き上げた。セシリアはベータの女性ではあるが、なかなかな力持ちであるようだ。
「はいはーい」
ジルはひらひらと手を振って、いなくなった。セシリアはレイミーを続き部屋に運び込む。後宮の女官であれば、いざというときに妃の一人ぐらい運べなくては困るのだ。それから、規定通り、レイミーの身体検査をしなくてはならないのだが、どうやらセシリアが一人でやらなくてはならなくなったようだ。
本当はジルにやってもらうはずだったのに、なにしろお年頃の男の子の身体を丸裸にして確認しなくてはならないのだ。そんなこと、普通に貴族籍にいるならあれこれお世話をされ慣れているだろうけれど、レイミーの実家マイヤー家は貧乏であるが故使用人がいない。つまりレイミーは誰かに体を触られたり見られたりすることに耐性がないだろう。そう考えると、男性でベータのジルがするのが安全だったはずなのだ。だがもう今更なので、セシリアは一人ですることを決意した。ちょうどいいのか悪いのか、レイミーは意識がない。色々な要因が重なって、レイミーは深い眠りについていると言ってもいいだろう。
「失礼いたします」
意識のないレイミーの制服を丁寧に脱がせる。すっかり制服はしわだらけになっていた。寝台に眠るレイミーに上掛けをかけると、セシリアはレイミーの制服をもって素早く後宮を後にする。日の沈んだ後に後宮の門をくぐれるのは後宮の主である国王陛下アルベルトだけなのであるが、今日だけは特別だった。レイミーの制服は城下の仕立て屋に渡された。
「このサイズで明日までに、ですよ」
仕立て屋は大急ぎで城下の店へと帰っていった。それを見届けるセシリアの背後に宰相が現れた。
「何とかなりそうか?」
様々な手配はせてくれた宰相ではあったが、肝心なところで大きなミスをしてくれたものだ。
「なんともなりません。閣下、レイミー様は未成年なうえに発情期を迎えていなかったのですよ」
小声ではあるが、怒気を孕んだセシリアの声に宰相はひるんだ。
「な、なんと、それはこちらの調べが不足していた」
宰相はアルファだ。夫人はオメガで息子はアルファ。オメガの発情期は学園入学前に来ているものだと思っていた。
「原因はわかっております。レイミー様は栄養不足です。明日から栄養たっぷりのお食事をとっていただきます」
何かを決意したような顔でセシリアは宣言したのだった。
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