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第28話 乙女ゲームの世界ですが規制線はありますか
しおりを挟む「フィル、上からと下から、どっちがいい?」
目をギュッと瞑ったままのフィルナンドに、マルティンが囁くように問いかける。その内容は少し意地悪だ。
「なんの話?」
目を瞑り、両手も反射的に固く握りしめているフィルナンドの姿は、どこか赤子のように無防備だ。
「脱がせる順番」
ほんの少し笑っているような声でマルティンが答えると、フィルナンドの顔が一気に赤くなった。そんなことをされるだなんて想定の範囲外だったため、フィルナンドは両手で顔を覆い隠した。
「ま、ま、ま、ま、ま、ま、待って」
頭を激しく左右に振るフィルナンドは、嫌々をする幼子のようだった。
「待つけど?」
両目を瞑っている上に、両手で顔を覆っているから、フィルナンドの視界はない。ほぼ真っ暗である。そんな時に大好きなマルティンが耳元で囁くように語りかけ、あまつさえ真っ赤になったフィルナンドの耳朶を軽く食んだ。
「でも、初夜にお預けはなしだからな」
普段より一段低く聞こえるマルティンの声にフィルナンドの肩が小さく揺れた。
「フィル、返事は?」
そんなことを呟きながら、マルティンはフィルナンドの髪を撫で、着ている服の上から身体をまさぐり始めた。服を脱がせる順番なんて、いちいち聞いているのには訳がある。フィルナンドが作った男の子宮の機能を回復させるポーションは、即効性がある訳ではない。ゆっくりと身体に馴染んで効いてくるのだ。フィルナンドがポーションを作るにあたり、素材の確認のためにマルティンも読んだから知っている内容だった。毎月定期的に飲めば女性のようにいつでも妊娠が可能になるらしいことが書かれていたが、今の時代なら一回飲んでその時に確実に妊娠できた方が安全だろう。
だからマルティンは、フィルナンドの反応を伺いながら手順を踏んでいるのだ。もちろん色々と囁くのはフィルナンドの気分を上げるためである。気持ちが大切なのは男女ともにいることであるから、フィルナンドの子宮の機能を活性化させる為にも気分を盛り上げたいところである。
「この服もフィルが考えたの?」
なかなかにヒラヒラしていてフワフワとしているデザインで、身体のラインが分かりにくい作りになっている。つまりは、どこから脱がせればいいのか正解が分かりにくに服である。もっとも、この世界の貴族の服は誰かに手伝って貰うことが前提のような作りになっているので、隠されたところにボタンがあることぐらい知っている。フィルナンドの身体をまさぐりなが、マルティンはボタンを一つづつ見つけ出し、外していった。もちろん、いきなり脱がすなんてことはしない。あくまでもボタンを外しているだけである。
「う、うん」
まだ恥ずかしいのかフィルナンドは顔から両手を外そうとはしない。だから、マルティンはこれ幸いとフィルナンドの服をじっくりと観察して、破かないようにボタンを探し出していった。なにしろ、乙女ゲームの世界だからなのか、ファスナーが存在しないのだ。ファスナーが有れば一気に脱がせることができると言うのに、それは情緒がないと運営が却下でもしたのだろう。確かに、中世の辺りでは貴族は凝りにこったボタンを自慢しあっていた。なんて聞いた事があるから、ボタンを一つづつ外していくのはエロティシズムなのかもしれない。
フィルナンドに気が付かれないように上も下もボタンをしっかりと外し終えたマルティンは、そのままバレないように下をそっと脱がせた。腰をほんの少し浮かせるだけであっさりと脱げてしまったものだから、拍子抜けしたけれど、それでも下は何とか下着姿にすることに成功した。あとは、上を脱がせながら気分を盛り上げていけばいい。
「フィル、そんなんじゃ誰になにをされているのか分からないだろ?」
あえて両手を付いて上から見下ろすような体勢で言ってやれば、フィルナンドの肩が大きく跳ねた。声のする方向が変わったことに気がついたのだろう。
「だ、誰に何をって、だって」
「本当に俺かな?他の誰かがいたらどうする?」
「そんなのありえないっ」
フィルナンドが大慌てで顔をおおっていた手をどかせば、目の前にはマルティンの顔があった。フィルナンドが手をどかせるのに合わせて、一気に体の距離を縮めたのだ。両肘を着く体勢をとれば、驚きすぎて目を白黒させているフィルナンドの顔があった。
「ひゃあ、ち、近い」
今更ながら、そんな初心な反応をされてしまうと、何とも言えない加虐心が刺激された。
「可愛いね。フィル」
そう言って軽く唇を合わせれば、フィルナンドが息を止めてしまった。どんどん赤くなるフィルナンドの顔を見て、マルティンは唇を軽く釣り上げてもう一度唇を合わせてきた。もちろん、真一文字に閉じられたフィルナンドの唇をこじ開けるように舌を這わせ、その扉を開けるように舌先でノックをするように突いてみる。そうすると、息が続かなかったのか、誘惑に負けたのか、フィルナンドの固く閉ざされていた扉が開いた。薄く開いただけで充分である。
「ふっ」
息を継ごうとしたフィルナンドのタイミングなどお構い無しに侵入すれば、苦しげな声が聞こえてきた。だがそれさえもマルティンにとっては興奮の材料である。顔の両脇にあったはずのフィルナンドの両手が、苦しさからなのか求めているからなのか、マルティンの頭に回されてきた。
「んっんっ」
息継ぎにも似た声を出し、何回も角度を変えていけばマルティンの侵入をフィルナンドは奥まで許してくれた。舌の付け根まで絡みとるようにして強く吸い上げれば、それに答えるようにフィルナンドの手が強くマルティンの頭を抱え込む。互いに呼吸をしているのか喰らい尽くそうとしていのか、その判別もつかないような行為をしばらく続けていれば、不意にフィルナンドの手がマルティンの頭から離れていった。
「はあぁ」
大きく息を吸い込んだのはフィルナンドだった。フィルナンドの拘束が無くなったのに合わせて、マルティンは一度フィルナンドから離れてみた。開ききった口からは充血した舌と白い歯が見えて、そのコントラストが何とも言えなかった。
「フィル、これからだから」
もう一度マルティンがフィルナンドの頬を挟むようにして逃げ場を無くすと、今度はゆっくりとフィルナンドの中へと侵入して行った。歯列を前から順に辿っていって、それから裏側をゆっくりと舐めとるように移動していく。その間、フィルナンドからの抵抗は一切なかった。
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