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第14話 設定崩壊受けて立つ

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 決意を新たにしてみたものの、僕は生徒会室へと向かいながら考えた。

「僕って、もはや原作からもゲームからも逸脱してない?」

 後ろを付いて歩くクロードに問いかけた。
 第一に、ダイエット期間が違う。それに、領地にこもってまでやってない。これは原作、ゲームどちらにも当てはまらない。第二に、王子が僕に執着している。原作としてはあっているけれど、僕がダイエットをしたので原作と相違している。ゲームだとしたら、王子は白豚の僕に愛想をつかしている。その設定とも相違する。
 僕は完全にイレギュラーな立ち位置になってしまっているのだ。と、いうことは、ユナイが王子を、攻略しても処刑されないのでは?

「確かに、している。だが、そのせいで王子が執着してしまっている」

 クロードが苦しそうに答えた。
 うん、それ。
 まさに、それなんだよね。問題なのはそれ。
 王子が僕に執着したまま。
 なんでも、王子は『フィンリィは、私の為にその美しさを隠してくれた』とか言って、学園に入ったら僕を王妃教育の名目で城にあげるつもりだったらしい。そして、僕を調教する予定だったとか・・・
 監禁調教か、軟禁調教かの違いで、調教は免れなかったということだけは分かった。
 僕とクロードが生徒会室の前にたどり着くと、廊下に複数の生徒が並んでいた。これは一体何事なのだろうか?

「出待ちだ」

 クロードが僕の耳元で教えてくれた。
 出待ちって、アイドルかよ。
 僕はそんな彼らを完全に無視して、生徒会室のドアの前に立った。

「王子ぃ、僕だよォ」

 できるだけ甘ったるい声を出して、僕はドアを叩いた。僕のこの行動に、廊下の出待ちをしている生徒たちが驚いている。うん、そうだよね。みんな僕のこと知らないんだよね。

「フィンリィ」

 ものすごい勢いでドアが開いて、顔を出したのは王子だった。セキュリティどこいった?側近候補たち、仕事しろよ。僕はものすごく驚いたのだけど、そんなことはお首にも出さず、ドアから出てきた王子にしがみつく。

「お散歩してきたんだけどぉ、疲れちゃったぁ」

 僕がそう言うと、王子はすぐさま僕を横抱きにして中へと入れてくれた。
 クロードが慌てて後を追うように入ってきた。もちろん、クロードは丁寧にドアを閉めた。

「ごめんよ、フィンリィ、まだ終わらないんだ」

 なんかよく分からない書類が沢山あった。まったくもって僕には理解ができないけれど、生徒会は、学園という小さな国家を運営している組織なんだとか。ここで運営について学んで、実務に着くらしい。まぁ、僕には関係ないけど。
 僕は生徒会室のソファーに座って、勝手にいれたお茶を飲んだ。

「ねぇ、王子?」

 忙しそうにしている王子にも、一応はお茶を出したけど、側近候補たちもみんな忙しそうだ。

「なんだいフィンリィ」

 王子が仕事の手を止めて僕を見てくれた。うん、愛されてるね。だからといって、これに胡座をかいてしまえば、悪役令息のテンプレになってしまうことは分かっている。
 僕は死にたくない。
 死にたくないから逃げたのに、捕まってしまった。
 だからもう、覚悟を決める。

「僕はさぁ、お妃教育をしなくていいの?」

 そう言って満面の笑みを向けると、側近候補たちが目で会話をしているのが分かった。僕をお飾りにするのかどうかは、王子ではなく側近候補たちが決めることだ。監禁されたり軟禁されたりしないためにも、僕もちゃんとできることをアピールしないとね。

「 したいのかい?」

 王子が僕に聞くふりをしながら、側近候補たちの様子を伺っている。王子が、どんなに僕を大切にしたって、側近候補たちか僕を認めなければ、側室があてがわれちゃうからね。

「だって、ほらぁ、僕ってばダイエットに成功したじゃない?王子の隣に立つには申し分ないほどの、美貌だと思うんだよね?」

 そう言って微笑めば、王子か、うっそりと目を細める。

「領地が隣だから、隣国の言葉を喋れるからさぁ、後はマナーとか?そういうのが、必要なんじゃない?」

 僕がそう言うと、側近候補たちは軽く驚いていた。どうやら、僕が隣国の言葉を喋れるということを知らなかったらしい。

「2年間とはいえ、領地経営みたいなこともしてきたし、そこまでおバカではないと自負してるけど?」

 そう言って可愛らしく首を傾げれば、王子が嬉しそうにする。

「だって、僕以外が王子の隣に立つなんて、許せないでしょ?」

 僕は僕の出来うる限りのあざとさを総動員して、王子にオネダリポーズをして見せた。視界の端でクロードがうんざりした顔をしているようだが、そこは無視だ。

「そうだね、フィンリィも準備が必要だね」

 これで僕の処刑ルートはだいぶ回避されただろう。とにかく、学園を卒業して、成人と認められての、社交界デビューさえすればなんとなかなる。よくありがちな卒業式での、断罪イベントなんか発生させてなるもんか。


 ───────


 確かに、生徒会室で王子を煽ったことは認める。
 認めるんだけど、僕のお妃教育の許可を王様に貰って、教育係か決まった(以前から決まっていてずっと待機させていたらしい)からと言って、いきなり同室にならなくても良かったんじゃないかな?
 正確には同室じゃないけどあさぁ。
 扉で繋がってるやつね。
 僕が監禁されていた部屋と、王太子妃の部屋はまた別だった。監禁されていた部屋は、正確に言うと、王太子妃の避難部屋だったようだ。小さな鏡の部屋は、姿見用の小部屋だった。用途がまるで違うじゃないか。エロいことに使ってしまうとは、執着王子恐るべし。
 で、だ。

「あっ、ああっんっ、それ、いゃぁ」

 僕は絶賛王子に愛され中なのだ。
 王子の手には監禁されていた時に、僕に深々と差し込まれていた細い管宝石付きが握られている。僕はそれを見て、イヤイヤと首を左右に振る。

「ダメだよ、フィンリィ。これはね、お前が正しく私の妃となるために必要なんだ」

 王子はそんなことを言いながら、僕の腰をしっかりと掴み、逃げられないようにして先端をゆっくりとあてがってきた。
 管の冷たい感触に瞬間腰が引ける。

「っひあ……ぁは………は、は、は、はぁぁ」

 前世において、入院経験のない僕は、こんなこと未経験だった。監禁された時は、目が覚めたら挿入済だったからね。息を吐きながら受け入れる。って言うのは間違いなかったんだけど、長いんだよ。
 分かってるよ、分かってる。
 急いでいれたら傷がつくのもわかる。けれど、ゆっくりと挿入しながら、僕の反応をじっくりと見つめる王子の目が怖い。なんで恍惚の表情なの?

(前からも後ろからもグリグリされてるっ)

「あっ……あぁぁぁ………いやあっ」

 腰を掴まれているから、ほとんど身動きが出来なくて、僕は髪を振り乱して悶絶した。

「いっ、いきた、い。いかせて、いかせてぇ」

 先端にしっかりと緑の宝石が鎮座して、銀色の輪っかが僕を拘束している。そんな状態なのに、王子は僕の腰をしっかりと掴んで僕の胎内を掻き回してきた。オマケに、せり上がってきたトコロを鷲掴みにして、弄ぶように転がすのだ。

「フィンリィ、イっていいんだよ?」

 王子が優しい声で言うのだけれど、押さえつけられているから僕はイけない。

「あんっ、やァ、これ、とってぇ」

 手を伸ばしたら王子に捕まった、両手をしっかりと手首の辺りで拘束されて、腰は相変わらず王子に捕われている。この状態で?王子は腰を抽挿し続ける。
 なんで?どうして?僕ってば王子の上にほぼほぼ乗ってない?それなのに王子ってば、腰を動かせるわけ?やってる事ほとんど強姦魔じゃない?どんだけ固いの?女の子に入れるのと違って、男の僕にいれるのって、難易度高いとおもうんだけど。

「ダメだよフィンリィ。これはお前のお妃教育でもあるのだからね」

 耳元でイケボがおかしなことを言っている。
 これが、なんだって?
 そんなことある?
 どんな教育なんだよ。

「えっ、あっ、なっんで?ど、ゅうこと?」

 王子の腰の動きだけで揺さぶられている状態の僕は、そのせいもあってまともに喋れない。

「フィンリィがね、どこぞの女を孕ませたら大変だからね。私に抱かれてイくことだけを覚えて貰わないといけないんだよ。そうしないと、大臣たちがお前のモノを切り落とすように進言してくるからね」

 なんでそんな、物騒なことを言うかな?
 え?切り落とす?
 僕のアソコを、取っちゃうってこと?
 いやいやいやいや、その手の肉体改造は望んでないから!つか、僕は女の子が好きなんですけど!なに、僕は一生童貞ってこと?
 おそらく僕が顔色をなくしてしまったことに気づいた王子は、恐ろしい程に優しい笑顔を向けてきた。

「心配しなくていい。私がお前を傷つけるようなことなどさせるわけが無い」

 そんなことを言って、僕の口を塞ぐ。

(じゃあ、あの監禁はどう説明してくれんだよ?)

 僕は心の中で盛大に叫んだ。
 だって、そうでしょ?あの監禁の仕打ちは僕を傷つけてはいないと?確かに細心の注意を払った道具が揃えられてはいましたけどね。

「フィンリィの実家は、跡継ぎにふさわしい者が選抜されているから心配しなくていいのだよ」

 王子はそう言って、僕の頬を撫でた。
 それはもう、なんとも言えないぐらい優しい微笑みを乗せている。が、言ってることは鬼畜外道だ。
 素晴らしいワードだ。鬼畜外道。
 まさか、こんなパワーワードを体験する日が来るだなんて思いもよらなかった。しかも言われる側ではなく、言う側になるだなんて。
 でも、王子に、向かってそんなこと、いえるわけがない。

「あっ、いゃぁぁ、そっ、んなに、ゆすらないでぇ」

 出口を失った熱と、下腹部で発生した熱とが融合して、僕の中を支配する。それが徐々に上へとせり上がってきて、背中がピリピリとするような快感がじわりと僕を包み込む。

「どうした?フィンリィ」

 王子のイケボが僕の脳内を鷲掴みにして揺さぶる。逃げたのに逃げられない、いや、逃げたくない、捕まりたい。怖いけれど支配されたい。口では拒んでいるくせに、身体は受け入れている。
 どうにもならない、どうしようもない疼きが僕を支配する。

「ぁあ、んっ……もっ、ぅん…だぁめぇぇ」

 全身が激しく揺さぶられている体感がある。けれどそれが本物なのかどうかなんてわからない。小刻みに震えているのは僕自身なのか、王子の腰の動きなのか。
 王子に支えられているんだと思う、多分、きっと。
 すっごいのがやってきて、僕を包み込んでいる。言うなれば、無重力体験のマッサージ機にいるみたい。ガッツリ包み込まれて、全身が気持ちいいやつ。足の先手の先までホールドされちゃってる。

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 すっごいトンだ。
 遠くの方で耳鳴りしてる。
 すっごい、もう、スゴすぎてわかんない。
 自分の胎内になんかが沢山降ってきてる。
 それももはや気持ちイイ。
 すごい、内臓で感じるとか、ヤバいやつだ。これは、確実に官能小説の設定だよね。まぁ、主人公の僕が身をもって体験しちゃうとか、原作にないんだけど。

「………ね?」

 ああ、王子の声が遠くに聞こえる。
 眠りから覚める時みたいな、ぼやぁっとした感覚の中にいる。よくわかんないんだけど、多分王子が僕の髪を撫でている。なかなか、気持ちがいい。

「んぅ………ね、む」

 もう何もしたくない。
 こんなに気持ちがいいのに、これを手放すなんてできるはずがない。たとえ王子であったとしても、邪魔をされたくはない。

「……だね。……フィンリィ」

 王子がなんか言って、僕のこめかみあたりにキスをしたようだ。その辺がふわっと暖かくなってくすぐったい。
 僕は暖かく柔らかなモノに包まれて、そのまま身を任せた。
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