【完結】知っていたら悪役令息なんて辞めていた

久乃り

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第32話 補給か事後処理か

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 強引に起き上がったから、ロイの足はセドリックの肩から外れていた。
 体格差もあるから、ロイがしがみつけたのはセドリックの腹の辺りになった。

「ずるいって、なんだ」

 座っていた体勢だから、ロイがぶつかってきても倒れるようなことはなかったけれど、それでも少しは体の重心が後ろに動いた。こんな体勢では、セドリックも興奮している事がバレてしまう。

「なんでっ!俺の方が魔力切れしてたのに」

 ロイが口にしたことを耳が捉えて、セドリックは理解ができた。おそらく、ロイの体液をセドリックが飲んだことに対しての抗議なのだろう。

「ロイ、今のはあくまでも…」

 セドリックが説明をしようとしたけれど、ロイは聞く耳を持たなかった。セドリックの興奮を確認すると、なんの躊躇いもなくそこを掴んできたのだ。

「!!!!!!」

 そんな勢いで掴まれたことなんてないから、セドリックは当然驚いて、一瞬腰が浮いた。平たく言えば急所だ。しかも、こんなに分かりやすくむき出しになっている。鍛えて何とかなる場所ではない。いやむしろ、鍛えるのは違う方向になる場所だ。

「セドのだって、こんなになってる」

 制服のズボンの上から、ロイが両手で握りしめている。はだけたシャツしか身にまとっていない、そんな姿で男の股間に手を伸ばしてくるなんて、ロイはその手のことが全く分かっていないのだ。

「だ、大丈夫だ。俺は自分で処理ができるから」

 セドリックがなんとかしてロイを引き離そうとするけれど、ロイは全く意に介さない。ロイの頭を押すセドリックに抵抗するかのように、ロイは握りしめる手に力を込めてきた。

「っう……ぅ」

 痛いと言うよりは、もどかしい感覚があって、セドリックはなんともむず痒い状態になっていた。けれど、だからといって、この先の事をロイにはさせられない。

「ほら、俺がやってあげるから」

 ロイはそう言って、セドリックの制服のズボンの前をくつろげた。ズボンの上から握りしめていたものを、出すために、下着を下げる。

「ロイっ」

 さすがに、ロイが見慣れたモノとは違うことに躊躇いがあるため、セドリックはロイの顔を遠ざけようとしたけれど、重心が後ろに行ってしまって、上手くロイを遠ざけることが出来なかった。

「……………」

 自分で出しておきながら、ロイはセドリックのモノをみて止まってしまった。形は似ているけれど、色と大きさがあまりにも違った。ロイは、広げた手のひらをそっと近づけて、指先でそっと、触った。
 先端は柔らかくて、お世辞にも綺麗な色とは言い難い。赤と言うよりかは紫寄りの、ピンクが混じっている。
 ロイの指がそこをつつくように押し込めば、先端の穴から透明な液体がゆっくりと溢れてきた。ロイはしばらく眺めていたが、そのこぼれてきた液体を指先ですくいとり、そのまま口に運んだ。

「ばっ、バカなのか?」

 セドリックはだいぶ慌ててロイの手を掴んだ。けれど、掴んだだけでロイの指はすくった液体をもう、口に入れていた。

「んんんん?」

 指をくわえてロイはしばし考え込むような顔をした。
 少し首を傾げて、指を舐るように動かしている。

「やっぱり、セドのは濃くて美味しい」

 軽く下唇を舐めたロイが、セドリックに近づく。

「ロイ?」

 セドリックが、呆気にとられているうちに、ロイの頭はそのままセドリックの下腹部に触れていた。

「ろっ、ロイ!ダメだ、よせ!お前がこーゆー事をするのは良くない」

 体液を摂取するなら他の方法があるのに、とは決して言えなかった。他の方法の方が、よろしくない。体格も思考もロイはまだまだ、子どもなのだ。

「やだよ、だって、セドもしたじゃん」

 理屈はあっているが、そうじゃない。
 ロイの小さな体がセドリックの膝の間に入り込んで、小さな頭が股間に達した。

「っう…う」

 軽く歯が当たったものの、温かくて柔らかい感触が先端を包み込んだ。分かってはいるけれど、ロイの口に対して、セドリックのモノが大きい。ロイの手は、魔力を感知しているのか、下にある膨らみを握りつつ、口に収まらない箇所を掴んでいた。

「…ろ、い……ダメだ、よせ」

 誰かの手で触れられたことはあるけれど、さすがに口は初めてで、温かいものに包み込まれる気持ちよさにセドリックの腰が浮いた。

「ん~ー」

 わかっているのか、いないのか、ロイはちょっとだけ顔を上げてセドリックを見た。口を少し開けるから、ロイのピンク色の舌の上に、セドリックの紫がかった赤みを帯びた先端が乗っていた。少し見える白い歯がやけに目に付いた。

「らいひょーぶ」

 ロイは返事をすると口を閉じ、セドリックがしたように強く吸い付いてきた。そんなことをすると、ロイの腰が揺れる。シャツしか着ていないから、むき出しの下半身が嫌でもセドリックの目には毒だった。

「ロ、イ」

 小さな口だからこそ、先端だけを強く吸われて、余計に刺激が強かった。
 ロイは、自分がセドリックにされたように吸って、軽く歯を当てて、舌を絡めてきた。ロイの小さな口からは、セドリックを刺激する音が漏れて、視覚も聴覚も完全にやられてしまった。ロイの手は、セドリックの魔力の流れを確認するように、下腹の辺りをゆっくりと撫でてきた。

「すまない」

 セドリックは半ば諦めに似た感情で、堪えきれなくなった思いを吐き出した。受け止めてもらうには、相手が小さいと思いつつも、どうにもならない。

「んぅ」

 うめき声にも似た小さな声が聞こえて、その後に不釣り合いなほど大きな喉の鳴る音が響いた。
 ロイの二回分程の量を吐き出した。
 セドリックが不安になって、ロイを見つめていると、ロイは顔を上げてセドリックを見た。

「ロイ?大丈夫か?」

 セドリックが不安になって尋ねると、ロイはニンマリと笑ってセドリックと目を合わせた。そして、セドリックが、したように口を開いた。

「っ!」

 その視覚の暴力にしかならないモノを見せつけて、ロイはゆっくりと口を閉じると、喉を見せつけるようにして飲み込んだのだ。
 ロイの喉が上下する音がやけに艶めかしい。けれど、セドリックはわかっている、ロイがしている事が自分の受け売りなのだと。自分とロイの行為の決定的な違いはそこだ。

「セドのは、やっぱり美味しい。質がいいよ」

 軽く唇をひと舐めする仕草だって、なんの意図もない。けれど、セドリックはその仕草に意味を求めてしまうのだ。

「ロ、イ…」

 セドリックが口を開いた時、ロイが勢いよく立ち上がった。目の前でいきなりの行動だったから、セドリックの体が一瞬後ろに退けぞった。

「よし!帰ろう」

 ロイは元気よく宣言すると、セドリックが脱がせた制服を拾い集めた。そうして浄化魔法をかかけて身につける。

「あ、セドにもかけとくね」

 ロイの手がセドリックの方へ向けられると、何かがセドリックの体を包み込んだ。
 ダンジョンに潜っていたから、土埃なんかで汚れていた制服が綺麗になったし、抜きあいでついた独特の匂いがなくなった。セドリックが礼を言うと、ロイはなんでもない事のように振る舞った。

「じゃあ、帰ろう」

 ロイがそう言うので、セドリックは慌てて自分の結界を解いた。戻り用の転移ゲートがあるとは聞いていたが、だいぶ離れた辺りに白っぽい魔法陣が見えた。

「アレを使うのか?」

「んーん」

 ロイは首を横に振ると、セドリックに抱きついてきた。

「俺ンチに帰るの。んで、セドの英雄の剣作りに行こ」

 セドリックが聞き返そうとした時には、すでにロイが転移魔法を展開していた。
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