姫の護衛が閨での男の武器の調査をした件

久乃り

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その18

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 エリシアにすげなくやり直しを命じられ、ユノハイムはとぼとぼと廊下を歩いていた。エリシアの住まう離宮から、寝やまでの距離は大してない。ただだいぶ人目に付きにくい作りになっているだけだ。最も、青い騎士服をしているのは城内でユノハイムだけなので、相当目立っていた。もちろん、その事に気がついていないのはユノハイムだけである。

「あら?如何なされました?」

 榛色のお仕着せを着た侍女がユノハイムに声をかけてきた。

「はい。その……やり直しを言われました」

 昨日の今日でまたもや、である。肩を落として項垂れるユノハイムの手には木の枝があった。もちろんそれの出処をこの侍女は知っている。目覚めたユノハイムが、庭師が手入れをしているところに駆け寄ろうとしたので、慌てて服を着せたのだ。流石に閨から裸で飛び出すとは思わなかった。しかも、ユノハイムは途中で腰砕けに崩れ落ちるから、侍女はものすごく大変だったのだ。

「そうでしたのね。庭師に似たような太さの枝を残すように言っておきましたから、宜しかったら見ていかれますか?」

 親切を装ってはいるが、ここの侍女も事情を知る一人である。そうでもなければ閨に男を入れるはずがないのである。もちろん、その事に気がついてなどいないユノハイムなのである。

「本当ですか?ありがとうございます」

 嬉しそうに笑うユノハイムを見て、侍女は慌てて顔を逸らした。エリシアと同じくそんなユノハイムの顔を見たら良心が痛むのだ。

「今用意させますので、こちらでお茶でもお飲みになられてお待ちください」

 そんな事をいって通したのは閨の控え室なのだが、ユノハイムは全く気がつく素振りなどない。親切な後宮の侍女に感謝しつつ出されたお茶を飲む。

「帝国のお茶は美味しいなぁ」

 出されているのが後宮のしかも閨で出される特別な品だなんて露知らず、ユノハイムは帝国で最上級のお茶を有難く頂戴した。もちろん茶菓子も付いている。のんびりとしているユノハイムの前に庭師が綺麗に手入れした木の枝を数本持ってきた。

「この辺りの大きさでよろしかったでしょうか?」

 やけにユノハイムにへりくだった態度をとってくるので、ユノハイムも少し気にはなったものの、自分の着ている騎士服のせいだと思い込み、庭師に礼を伝えるのだった。

「このくらいか?」

 持ち帰った木の枝と、並べられた木の枝を見比べる。微妙な太さの違いを確認しながらユノハイムは一つ一つを手に取って自分の下腹に当てていた。それを見てしまった侍女は思わず頬を赤らめる。エリシアに明け方まで見分が続いいたことを報告したのはこの侍女だ。閨番なのだから当然なのだが、まさかそんな露骨な行動を取られるとは思わなかったのだ。

「うーん。やはりこちらだろうか?」

 決めかねてしまったのか、ユノハイムが何度も見比べていると、頬の赤みが治まった侍女が声をかけてきた。どうしてもユノハイムのことを直視は出来ないから少し目線を逸らす。

「決めかねていらっしゃるのでしたら、今夜ご確認してみてはいかがでしょう?」
「それはいいですね」

 二つ返事でユノハイムは返事をすると、侍女に言われるままに決めかねていた木の枝を数本閨へと運び込んだ。そうして皇帝アインバッハがやって来るまでの間に食事を済ませ、風呂に入る。閨の控え室で食事をする事も、閨の風呂を使うことにもユノハイムは全く疑問を抱かない。

「お越しになられるまでしばしお待ちを」

 榛色のお仕着せを着た侍女にそう言われ、ユノハイムはなんとも心もとない気持ちになった。唯一ある小さなテーブルに木の枝を数本並べ、そわそわとした気持ちで皇帝アインバッハを待つのである。なんともおかしなことであるのに、ユノハイムは全く気が付かない。

「小宵はそのように待っていたのか」

 尊大な態度で現れたのは帝国の皇帝アインバッハである。

「はっ」

 思わず肩膝を付いたユノハイムの前にゆっくりと近づくアインバッハ。そして、唯一の家具である寝台に腰かけるとテーブルに置かれた木の枝を見た。

「して、その方。小宵は何を調べるつもりであるか、申してみよ」

「はい。恐れ多くも皇帝陛下の男の武器の大きさを姫に伝えましたところ、叱責をされてしまいました」
「なぜ故」
「おそらくではございますが、やはり大きさに間違いがあったと思われます」
「ふむ。それは宜しくないな」

 ユノハイムが、何をしようとしているのかおおよその予想をつけているアインバッハは、軽く口元を釣り上げながら次の言葉を待ってみた。

「お差し支えなければ、皇帝陛下の男の武器を今一度確認させて頂きたく」
「苦しゅうない。存分に確認致せ」

 そう言い放ち、自分の目の前で膝を着いているユノハイムに足を開いて見せた。

「…………」

 ユノハイムは、大きく目を見開いて絶句した。目の前で脚を開いて寝台に腰掛ける皇帝アインバッハは何も着てなどいなかったのだ。しかもユノハイムの目の前には皇帝アインバッハの男の武器が、昨夜とは違った姿で鎮座していた。

「どうした?確認せぬか」

 昨夜と違い、武器としての性能が全く見られない皇帝アインバッハの男の武器を目の前にして、ユノハイムは考えあぐねた。だが、考えたところで答えは一つである。

「恐れながら陛下」
「なんだ、もうしてみよ」
「陛下の男の武器が、武器としておりません」
「ならば武器として機能するように致せばよいではないか」
「……はっ、直ちに」

 ユノハイムは膝を着いたままスっと前に出て、アインバッハとの間合いを詰める。

「良い動きである。手合わせをしたかいがあるというものだ」
「お褒めに預かり光栄に御座います」

 そんな事を言いながらも、ユノハイムは困ってしまった。男の武器を機能させるにはどうすればいいのだろうか?流石にあの瓶を貸して下さいとは言えない。

「失礼致します」

 そっと両の手ですくい上げるようにして、手のひらに載せてはみるものの、ずっしりとした質量に驚きが隠せなかった。

「どうした?」

 頭の上から皇帝アインバッハの声が降り注ぐ。男の武器を武器にするためにはどうしたらいいのが。あの瓶が使えないとなると、かなり難しい。にとっただけでは武器としてなど機能しないことぐらい分かっていることだ。

「陛下、私めのご無礼を許して頂けますでしょうか」

 手に取った皇帝アインバッハの武器を見つめながらユノハイムは決死の思いで口にした。

「許してつかわす」
「有難く存じます」

 そう返事をして、ユノハイムは覚悟を決めた。何も無いままで恐れ多くも皇帝陛下の男の武器を擦るなんて許されるはずがない。と、すれば覚悟を決めなくてはならないだろう。

「失礼致します」

 ゆっくりと手にした皇帝アインバッハの男の武器をやんわりと指先を使って上を向かせる。独特な香りはほとんどしなかった。皇帝アインバッハもまたここに来る前に風呂を使っているのだろう。ほのかに石鹸の香りが鼻先にやってきた。
 ユノハイムは思い切って口を開き、皇帝アインバッハの男の武器を咥えこんだのだった。

「そのほう、変わった調べ方をするものだな」

 皇帝アインバッハは至極満足そうに笑うと、満足そうに唇を舐めたのだった。
 ユノハイムによる皇帝アインバッハの男の武器の調査がこうして再開されたのであった。
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みんなの感想(1件)

夜曲
2025.11.01 夜曲

今日椎名先生と志麻先生ご主催のスペースを聞いてて、凄く面白そうだったので読ませて頂きました😂

この護衛騎士さん凄く大真面目に調査してて…というか多分凄い素直な人で、軽率に皇帝の口車に乗せられていてめっちゃ面白いです🤣🤣🤣

更新楽しみにしています😆

2025.11.02 久乃り

お読み下さりありがとうございます。

自称頓知気一番弟子なので、志麻てんてーの遺伝子を受け継ぐもの(年齢不詳)として頑張ります(ง •̀_•́)ง

真面目に武器調査をする話ですので、あくまでも武器を丁寧にしらべます。
身体も張ります!姫の護衛として、全力で身体を差し出す覚悟です。
薄い本の内容ですから、楽しんで頂けると幸いでます。執筆の息抜きにどーぞ( ꜆ '-' )꜆♡

解除

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