幼馴染の家に行った俺は配信に映り込んでしまったらしい。~どうやら俺は幼馴染のVtuberと一緒に配信に出続けなければいけないらしい~

竜田優乃

文字の大きさ
5 / 8

どうやら今日は徹夜しなければいけないらしい。

しおりを挟む
 配信などについて詳しい話を聞いた夜、俺はみるくと通話していた。
 内容は明日の事について。
 
 「だからさ、りょーくんは【これからみるくと末永く頑張っていきます】って自慢のイケボで言えばいいだけだって!」
 「バカ言うな!そんなことしたらもっと炎上するわ!」
 「えーでもさ、そっちの方が今後楽になるんじゃない?」

 末永く頑張っていくって、もう結婚するみたいな感じじゃん。
 絶対言葉選び間違ってると思ったがみるくは少しズレた部分があるし仕方ないと思った。
 それに俺が乱入したせいで迷惑かけてみるくの今後の配信生活がかかってるんだから俺がしっかりしないと。

 「今後って……どういう場面で楽になるんだよ」
 「えー?それは……そのぉ……」 
 「その理由を言えない時点でダメなんだよ、ほらもっとこう……違う言葉があるだろ?【誤解させてしまい申し訳ありませんでした】みたいな感じで視聴者に対して謝罪をして俺が経緯を説明する、そんな感じだったらまだ丸く収まると思う、とりあえず視聴者に対する謝罪は絶対に入れないとダメだ」
 「えーじゃあ【視聴者の皆さん、この度は私たちの熱愛報道につきまして不覚謝罪いたします】みたいな感じで良い?」
 「だ・か・ら!なんで熱愛報道になるんだよ!」

 もうダメだ、らちが明かない。
 視聴者に対する説明は俺が一人でやるか、俺が考えた文をみるくに読ませるしかなさそうだ。
 期限は明日の6時まで。
 それまでに俺は謝罪文を考えてみるくに徹底指導した後配信に臨まなければいけない。
 今日は寝られるのか分からなくなってきたな。
 
 「みるく、お前はもう寝ろ」
 「えーなんで」
 「明日のためだ、体力を回復させて万全の状態で明日の配信に望め」
 「でもさーせっかく久しぶりにりょーくんと話せるんだよ?まだまだ話したいよ」
 「それなら明日たっぷり付き合ってやるから」
 「付き合う!?もう、りょーくんって積極的だね!」
 「どこに反応してんだ、お前は」
 「ぶー、りょーくん冷たーい」
 「はいはい、冷たくて結構。じゃあ切るぞ」
 「もう、分かったよ。じゃあね」
 
 通話を終え、俺は考える。
 どういう構成で謝罪そして事の経緯を説明するか。
 とりあえず最初は視聴者に対しての謝罪、その後は事の経緯を説明、そしてこれからどうしていくのか。
 お決まりの構成になってしまったがこれが無難で一番炎上を抑えられるだろう。
 変にふざけたりしても火に油を注ぐだけだ。
 構成を考えた俺は初めに謝罪文を考えはじめた、が。
 みるくのキャラは清楚キャラ、それに合わせて謝罪文を作ると考えるととても難しい。
 まず清楚っていうものが分からない。
 検索をかけてみるが出てくるのは清楚の意味や見た目の話。
 どういう言葉遣いなのかは分からなかったため俺はみるくの過去の配信を見ることにした。
 Vtubeを開きみるくのチャンネルを開く。
 どれが良いのか分からなかったため一番再生されていた『皆さんこんにちは、中野みるくです』というタイトルの動画を再生した。
 
 「あ、あ」と言うみるくの声から始まり動画はみるくが挨拶をした後、自己紹介になった。
 中野みるくというキャラの出身地、名前の由来、どうしてVtuberになったのかなどが紹介された後、質問コーナーをした後配信は終了した。
 配信時間は40分と他の動画と比べて少し短いが、みるくの話し言葉についてはだいぶ勉強になった。
 みるくの特徴としては「~ですね。~な事もしますね」など語尾が大体「ね」で終わっていた。
 しかし最後の言葉を「ね」で終わらしてしまうと「すみませんね」や「ごめんなさいね」など図々しい言葉遣いになってしまう。
 考えに考えた結果、そもそも普通に丁寧語で全部喋れば良いという結果に至ったため丁寧語や標準語を駆使して文を作ることにした。

 「今日の夜は長くなりそうだ」
 
 独り言を呟いた俺は二本目の缶コーヒーを開けた。
 
 ~~~
 
 「ぐぅ……あぁ……体いてぇ……」
 
 背中の強い痛みとスマホのアラームによって俺は目覚めた。
 アラームを止め、時刻を確認する。
 現時刻は8時前。
 昨日はみるくの謝罪文、そして経緯を説明するための文を深夜まで作成していたから少し起きるのが遅くなった。
 いつもはアラーム無しで7時頃に起きる健康的な生活をしていたのだが、そのルーティーンも崩れてしまったようだ。
 体はまだ重いが体を起こしてリビングに向かった。
 
 リビングに行くと母親が丁度家を出る準備をしていた。
 日曜日だというのに大変だなぁと思いつつ「おはよう」と声を掛けた。
 
 「あっ、おはよう涼真。起きてくるの遅かったからなんも作って無いわよ?」
 「あぁ、なんかカップ麺でも食べるから気にしないで」

 俺の母親は高校の事務勤務をしている。
 事務職なので土日は休みが多いが今日は出勤日らしい、身に合った大人らしいスーツを着て少しボロボロになったスニーカーを履いている。
 靴以外を見るとちゃんとした大人に見えるが中身はかなりだらしない。
 選択は必要最低限しかしないし、料理もあまり出来ないのでほとんど冷凍食品に頼りきり。
 このように生まれて来た息子に対しても「ご飯なんて作っていない」などといってしまう。
 今日も世間話をするわけもなく「分かったわ。今日も少し遅くなるから」と言いうちの母親は仕事に行った。
 別にうちの母親は冷たいわけではない。
 小さい頃には遊んでもらったり、テーマパークにも行ったりした。
 母親がこのように冷たくなり始めたのはここ最近の事だ。
 俺が中学を卒業するまでは全然普通の一般的な母親だった。
 多分冷たくなった原因はみるくの両親が亡くなった事と関係していると思う。
 うちの母親とみるくの母親は小・中・高・と同級生だったらしい。
 まぁもう40代にもなって隣同士で住んでいたぐらいだ、仲が良かったのは俺でも分かる。
 だけど、みるくの親が亡くなって母親の中で大事な物が一つ無くなってしまったのだろう。
 大事な物にも順位がある、きっと母親の中でおばさんの存在は一番大事だったんだと思う。
 だから、こんな対応されても俺は我慢するしかない。
 カップ麺のストックを戸棚から取り出してポットでお湯を沸かし始めた。
 お湯を沸かしている間にみるくに「飯食い終わったらそっち行くから」と連絡を入れてテレビをつけた。
 日曜日の8時、テレビをつけるとスーパー戦隊がやっていた。
 何も見るものが無かったので久しぶりに見ることにしたが途中から見ても話しの内容は一切分からなかった。
 3分ほどしてお湯が沸いたのでカップ容器にお湯を注ぎまた3分待った。
 無心で麺を啜り食べ終わる頃にはスーパー戦隊もED曲に入っていた。
 俺はそのEDを見ることなくテレビを消して、脱衣所に向かった。
 早々とパジャマを脱ぎジーパンと白い無地のTシャツを着てスマホと昨夜作成した謝罪文を持って玄関に向かった。
 まだ学校に入学して一週間も経っていない、高校生活初めての休日だど言うのに一体俺は何をしているんだ。
 そう思いつつ俺は重い足を上げて玄関から出た。 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

処理中です...