灯火

プロローグ

 


加筆と修正しました。

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炎天下の下、蝉がうるさく鳴いていた。

ふと、私の横を突き抜けるような強いかぜが吹いて来た。
 砂埃も飛んできたため思わず目を閉じ、暫くして風が収まったことを確認して私はゆっくり目を開いた。
そこにはいつも通りの景色。
けれど、どこかひどく懐かしく感じた。

「 早く行かなきゃ」

汗をかいて気持ち悪いけど、このままじゃ学校に遅刻してしまう……
そう思い、私は全力で坂道を駆け抜けた。

ーーー

「火雪こゆき。宿題やったー？見せて。」
「またやってないの？仕方ないなぁ。」

クラスメイトに宿題のノートを貸して下敷きで扇ぎ始める。服は汗を吸収して肌にぴったりくっついて気持ち悪い。
夏は苦手だなぁ湿っぽっくて、汗が止まらない。
 こんなに暑くなければ日本は好きだ。
平和で争いの無い世界。
他の国よりも安心できる世界だ。こんな良いところ他には無いだろう。

「ねぇ、火雪。なんか雰囲気変わった？」
「えっ？どこが。てか、何もしてないよ？」

クラスメイトは何故か不思議そうにこちらを見ていた。

「本当になにもしてないのー？」
「うん。本当に何も……」

クラスメイトは何か納得したのか､そっか…と笑う。

「え？何？なに？」
「今日はちょっと色気出てるなぁ～って思っただけだよ。」

……？色気､私から？
今まで散々､ガキとか色っぽいさが無いと言われ続けた私にとって衝撃的な一言をもらった。

ーーー

 １時間目から体育だった。
何の嫌味なんだろうか？
折角、汗も止まりやる気満々で授業を受けるつもりだったのに……
何が嬉しくて、炎天下の中体育なんてやらなきゃいけないんだろ？

 それも、長距離走だ。

「走ったら水分補給をしっかりな！」

あぁ、頭痛い。走り終わって、風が吹き汗が冷たく冷えてきたせいか。
それとも走り終わって疲れたせいか…………とにかく頭が痛い

「火雪？…ちょっと、真っ青だよ！？大丈夫？」
「え…？大丈夫だよ。ちょっと頭痛いだけ。休めば直るよ。」
「待ってて！すぐスポドリ取ってくるから！」

仲の良いクラスメイトが走り去っていく。
頭の痛みが酷くなった私は壁づたいにしゃがみ込み、じっと耐えた。が、痛みは引くどころか酷くなる。


 ガンガンと痛み、意識が保てなくなる。

「…き！こ…き！ねぇ…しっか…り…！」

何？何が言いたいの？
仲の良いクラスメイトの顔がぼやけてしっかり見えない。
何を言ってるかさえもわからない。


    そして私は意識を手放してしまった……………