灯火

水無月 かんな

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1話「ここはどこ?」

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目覚めると、にいた。
酷い頭痛が襲い、気を失い再び目を開けると、そこにいた。そこにいたと言っても、家にいたとか、病院にいたとか、そんな小さな話じゃない。

にいた。

「うそ。」

これは幻なんだ。きっと酷い頭痛のせいで夢を見ているだけなんだ。そうだ。きっとそうに違いない。
  だが本当に夢だろうか?この臨場感溢れてる町がただの夢なのだろうか?

私は頬を思い切りつねった。

「痛い。」

夢ではないらしい。

「は?夢じゃない?え…待て待て、なんで?」

確か、私は頭が痛くて気を失って、ここに?
ここはどこ?
町を見る限り分かることは、今いる場所が日本ではないこと。建物がレンガ造り。また、技術は中世辺りだろうか?
町の人達はさっきからこっちを不審そうにこちらを見る。

  さっきから思うのだけど、子供が全くいない。
見たところ20代くらいの人達だけが町に溢れていた。
 しばらく町を眺めていると、大剣をぶっ指した大男がぶっつかって来た。

「てめぇ!しっかり前見て歩けや」

大剣をぶっ指した大男がそう言って、大股で去っていく。
ぶつかって来たのはアンタじゃん。内心思いつつ、またあることに気付く。
言語が違う。
頭の中で翻訳しているけど、耳では違う言語を聞き取っている。
私は意を決して、一軒の出店で疑問に思ったことを訪ねた。

「どうして、ここには子供がいないの?」

店の店主らしき人は私を見て驚いた顔をした。そして、店主らしき人は…

「君のような若い子は外に出たら危ない。」
「?」
「君、死ぬぞ?この区域には子供にはよく効く毒ガスが円満しているんだ。それに、その怪しい姿だとファミリアに捕まるぞ。」

何とも驚きな……
突然、異世界に来たと思ったら死ぬ…?
早速私は死んでしまうのですか?
ちょっと助けを求めようとしただけなのに…
死ぬかもって酷くないですか?なんなんですか?この世界は……

「それに、その言葉はここ辺りの言語では無いな。悪いが、早く何処かに行ってくれないか?私は妻がいるのでな。匿うことは出来無い。」
「ありがとうございます。失礼しました。」

大切な人がいる人に迷惑をかけるのは申し訳なく思い、私は大人しく去る。
 
  その瞬間ー………… 警報らしきものが町中に響き渡る。

「あぁ、君。早く逃げなさい。ファミリアに捕まりますよ!」

  警報を聞き付けた制服を着て馬に乗った男達が、私がいる方向に指を指し、こちらに向かって来る。     

「………っは、速い… 」

私はすぐに走り始めて、細い道、裏道などを通ってるが、制服を着て、馬に乗った男達が諦めず追って来る。
 イラつき、焦りが生まれ、気付けば屋根に登っていた。
まさかここまで馬などで来ないだろう。
  町並みは良く絵本などに描かれているような風景。
町には活気が溢れている。大きな声で魚を売る漁師、沢山の出店。
 呼吸を整えつつ、町全体を見渡す。

「 余裕そうだな。屋根にでも登れば、逃げれると思ったか?」
「…………」

思ってました。逃げれると思ってましたとも。

「諦めて、来い。」 
「…………」

大人しく捕まったとして、この人は助けてくれるだろうか?
この人は話を聞いてくれるだろうか?
  ………ダメだ。この人の見た目からして助けてくれそうにない。
なら、自分の手で何とかしなきゃ。
 結論からの行動は早かった。屋根から降り、私は全力で走った。
男も追うように走って来る。

「貴様、毒ガスが効いていないな?」

もし、言語が違って怪しまれたらどうしよう。多分この人は私の突飛な話を理解してくれる人じゃない。それに、さっきから追いかけてきた男達とは違い、服をかなり着崩している辺りかなりの幹部だろうか?口調からしても上から目線だし。

「大人しく来る気は無いと…それにしても、貴様。怪しい容姿をしているな。黒い髪とは……見かけぬ。大体その服もなんだ?」

 黒い髪が変……?
確かに赤茶や、青、緑色と本当に様々だが、黒髪は全く見ない。
珍しいのだろうか?

「まだ逃げるのか?」

お願いだから今は待って欲しいんだけど。
頭で分かっても心の整理がついて行かない。

「隣国のスパイか、クルリラの手下だろ?全くバツが悪い。幼子をコマとするなど……」

はぁ!?幼子!?私16歳ですけど?

「悪いが、いつまでも貴様のママゴトには付き合ってられん。」

刹那、男は加速し私の行き場を塞ぎ私を倒す。仰向けにし、腹に男の体重が乗っけられる。それと同時に首を絞められる。

「ぐっ……!うぅ……放し……て」

酸素が頭に回らず、ガンガンとへんな音が聞こえてくる。
ヤバい……これ以上は……もう……
 
    苦しい。どうして自分だけがこんな目に?
 自分の世界に帰りたい。苦しいよ。私、このまま死ぬのかな…

そんな思いを抱きつつ私は首を絞められたことにより気を失ってしまった。


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