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第5話「君の名前」
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白髪の青年は私を抱き抱えたまま、動かない。私はそんな状態が気にならないほど、考え事にふけっていた。クルリラや、リオ、リュー…そして、今目の前にいる白髪の青年…
「灯火様?」
この男は一体何者?
大体、私変だ。今いる場所は知らない場所で焦ったり怒ったりする所なのに、表情が全く追いつかない…
「あなた、名前は?」
「私めに名はありませぬ。私めはあなた様の心にずっと、ずっと、おります。故に名前はありませぬ。」
名前がない…じゃこの男をなんて呼べばいいんだ。
「灯火様?どうかなさいました?」
「あなたの名前、真代なんて、どうかしら?髪がとても白くて綺麗で、古風な感じで。」
「嬉しいです。私めは真代と言う名を命が尽きるまで大切に致します。」
男は両手をぎゅっと胸に当て心から嬉しそうに笑う。その場で考えてつけた名前をそんなに気に入って貰えたなら、もう少し真面目につけてあげれば良かったかな…
「灯火様…少しお休み下さい。灯火様の今の精神と体調はとても良くありませぬ。」
立ち上がって動こうとすると真代に引き止められてしまった。
「寝てる時間があるなら、情報を少しでもまとめなきゃ…こうして寝てる間にも時間は刻一刻と過ぎてくんだから。」
ここがもし、誰も見てない場所ならこれ程好都合な場所なんて無い。考えるのに最適な場所だ。
「灯火様…」
真代はそう呟いたきり、近くに来て私の様子を見守るだけだった。
-------リュー
あれから一ヶ月過ぎていた。あの娘が居なくなって一ヶ月。
「リュー、何を考えている?」
「彼女が居なくなって一ヶ月、彼女の居場所は未だに動かないまま……」
「うむ…」
グアーの考えが正しかったのかとリオは呟く。
「リュー…3日後向かうぞ。いいな。」
「分かった。」
-------火雪
遠く昔の話し…誰かが私を見て泣いてるの。その人は何度も苦しそうに悔しそうに
『すまない、私のせいで』
って謝るの。私は笑って、何か言おうとしてるのに声は出ないまま何も言えずに終わってしまう。夕日の真っ赤な空に包まれた中で、伸ばした手は決して届かなくて泣いている人の涙を拭ってあげれない。
「灯火様…泣いておられるのですか?嫌な夢でも見てしまいましたか?」
「ま…しろ?」
いつの間寝てしまっていたんだろうか…真代心配そうに私を見る。
「私、無理かも。」
悲しい夢を見たからか、立て続けに起こる災難で弱気になってしまったのか、弱音が零れ出す。
最初こそ強くこの世界から早く戻ってみせる!なんて思っていたけど、帰る手段なんて無くて、誰も教えてくれないし、知らしてなんかくれない。つまり、帰れる可能性なんて0%に近いんだ。
「灯火様が元の…元の世界に戻られる間では傍におります。」
真代が戸惑いながら私の頬を撫でる。
「ずっと、寂しい…」
「灯火様…私めはあなた様に必ず会いに参ります。灯火様この空間について、一応説明しておきますね。この空間は私めと灯火様が誰にも邪魔されずお話が出来る場です。灯火様がこの世界に来てから一ヶ月が過ぎております。あ、灯火様そろそろお目覚めの時間です」
そう、真代が言うと景色が一瞬にして暗くなる。
-------火雪
鳥のさえずりと木々が揺れる音が聞こえる。ゆっくり目を開けると太陽の暖かな光が目に入る。
「ルシファ!あぁ、やっと目を覚ましてくれたか…」
どうやら、外出先の花壇でうたた寝をしていたみたいだ。
「ルシファ、護衛の者とは仲良くなれたかい?」
えっと…誰の事だ?記憶を探してもそんな話は無かったような。そう思った刹那、
「ルリガです。ルシファ様、忘れないでください。3回目ですよ。」
ダンディな声が寂しいですよって可愛い声でどこからとも無く訴えてきた。そして目の前に現れたのはどこからどう見ても、若々しい青年。私は素直に首を傾げた。
だって、ダンディな声と容姿がかけ離れているから。
「灯火様?」
この男は一体何者?
大体、私変だ。今いる場所は知らない場所で焦ったり怒ったりする所なのに、表情が全く追いつかない…
「あなた、名前は?」
「私めに名はありませぬ。私めはあなた様の心にずっと、ずっと、おります。故に名前はありませぬ。」
名前がない…じゃこの男をなんて呼べばいいんだ。
「灯火様?どうかなさいました?」
「あなたの名前、真代なんて、どうかしら?髪がとても白くて綺麗で、古風な感じで。」
「嬉しいです。私めは真代と言う名を命が尽きるまで大切に致します。」
男は両手をぎゅっと胸に当て心から嬉しそうに笑う。その場で考えてつけた名前をそんなに気に入って貰えたなら、もう少し真面目につけてあげれば良かったかな…
「灯火様…少しお休み下さい。灯火様の今の精神と体調はとても良くありませぬ。」
立ち上がって動こうとすると真代に引き止められてしまった。
「寝てる時間があるなら、情報を少しでもまとめなきゃ…こうして寝てる間にも時間は刻一刻と過ぎてくんだから。」
ここがもし、誰も見てない場所ならこれ程好都合な場所なんて無い。考えるのに最適な場所だ。
「灯火様…」
真代はそう呟いたきり、近くに来て私の様子を見守るだけだった。
-------リュー
あれから一ヶ月過ぎていた。あの娘が居なくなって一ヶ月。
「リュー、何を考えている?」
「彼女が居なくなって一ヶ月、彼女の居場所は未だに動かないまま……」
「うむ…」
グアーの考えが正しかったのかとリオは呟く。
「リュー…3日後向かうぞ。いいな。」
「分かった。」
-------火雪
遠く昔の話し…誰かが私を見て泣いてるの。その人は何度も苦しそうに悔しそうに
『すまない、私のせいで』
って謝るの。私は笑って、何か言おうとしてるのに声は出ないまま何も言えずに終わってしまう。夕日の真っ赤な空に包まれた中で、伸ばした手は決して届かなくて泣いている人の涙を拭ってあげれない。
「灯火様…泣いておられるのですか?嫌な夢でも見てしまいましたか?」
「ま…しろ?」
いつの間寝てしまっていたんだろうか…真代心配そうに私を見る。
「私、無理かも。」
悲しい夢を見たからか、立て続けに起こる災難で弱気になってしまったのか、弱音が零れ出す。
最初こそ強くこの世界から早く戻ってみせる!なんて思っていたけど、帰る手段なんて無くて、誰も教えてくれないし、知らしてなんかくれない。つまり、帰れる可能性なんて0%に近いんだ。
「灯火様が元の…元の世界に戻られる間では傍におります。」
真代が戸惑いながら私の頬を撫でる。
「ずっと、寂しい…」
「灯火様…私めはあなた様に必ず会いに参ります。灯火様この空間について、一応説明しておきますね。この空間は私めと灯火様が誰にも邪魔されずお話が出来る場です。灯火様がこの世界に来てから一ヶ月が過ぎております。あ、灯火様そろそろお目覚めの時間です」
そう、真代が言うと景色が一瞬にして暗くなる。
-------火雪
鳥のさえずりと木々が揺れる音が聞こえる。ゆっくり目を開けると太陽の暖かな光が目に入る。
「ルシファ!あぁ、やっと目を覚ましてくれたか…」
どうやら、外出先の花壇でうたた寝をしていたみたいだ。
「ルシファ、護衛の者とは仲良くなれたかい?」
えっと…誰の事だ?記憶を探してもそんな話は無かったような。そう思った刹那、
「ルリガです。ルシファ様、忘れないでください。3回目ですよ。」
ダンディな声が寂しいですよって可愛い声でどこからとも無く訴えてきた。そして目の前に現れたのはどこからどう見ても、若々しい青年。私は素直に首を傾げた。
だって、ダンディな声と容姿がかけ離れているから。
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