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第2章
四 傷心のロイヤルミルクティ男子
しおりを挟む(えっ。レシピ?)
はっきりとそう聞こえた。
レシピとは?
ロイヤルミルクティー男子はもしかして料理人なのか。
「もう、どうすればいいのかわからなくて」
「だが、禊は放棄できない」
「……はい。わかっています」
芽依は眉をひそめた。
(今、禊って言った……?)
あのロイヤルミルクティー男子。見かけによらず、まさか前科持ちなのだろうか。
彼らの会話の意図がさっぱりわからない芽依。気付けばパソコンのメモ画面に【レシピ】、【禊を放棄】【前科あり】と打ち込んでいた。
(いやいや、何やってるの。盗み聞きはダメじゃん……!)
だが芽依は、そこに打ち込んだメモを組み合わせながらとある何かを考えていた。
これは企画の役に立つかもしれない。
人の話を盗み聞くなど、モラルに反するかもしれないが、芽依の頭の中に浮かんだアイデアは、その手を止めることはなかった。
止まらないキーボード音が、いつしか彼らの話し声すらもかき消していく。
そして芽依は、一晩中、コーヒー片手にパソコンと向きあっていた。
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