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寮生活スタート
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そのまま今日から暮らす寮に向かった。
寮はちょっとおんぼろなビルみたいなところだった。
事前に荷物を送ったからもう部屋に届いてる筈だ。
扉を開けるとすぐ横にある受付から先生らしき人が顔を出す。
名前を言い鍵を受け取った。
共同生活は初めてで上手く出来るか不安だが、楽しみでもある。
「アルトは俺と同室みたいだな!」
「そうなんだ」
「……」
鍵に付いている部屋番号を見つけてリカルドはそう言う。
知らない人だと怖がらせてしまうと思ったが、同室相手がリカルドでホッとした。
ルカは頬を膨らませて鍵を見ていた。
ルカとリカルドは元々仲が良い感じがした。
それをぽっと出の俺が割り込んできたら嫌だろう。
友達の輪が乱れてしまったら俺も悲しい。
グランを姉に取られてしまったと子供の独占欲と同じだと思った。
俺はピンとこないが両親を姉弟に取られる感覚が一般的だろう。
「俺、部屋交換してくるね!」
「えっ!?どうしたんだいきなり」
「俺は誰とでも仲良くなれるからルカくんとリカルドくんは同じ部屋がいいよ!」
本当は嘘だけど…でも、二人を引き剥がすのは違うと思う。
受付に行き、管理人に部屋を交換したいと申し出る。
私情の交換は基本認められないが、新入生だし…お互い同意しているしルカの部屋は奇数のあまりで一人部屋だから今回だけと同意してくれた。
既に部屋に届けられた荷物は自分達で移動させるのが条件だった。
三人で運べばすぐに終わるだろう。
ルカと鍵の交換をしてルカは申し訳なさそうに俺を見た。
「ごめんね、僕のわがままで」
「ルカくんは何も言ってないよ!俺が一人部屋が良かっただけだから…ルカくんは一人部屋が良かった?」
ルカは首を横に振った、良かった…もしかしたら部屋交換嫌なのかと思って不安だった。
そして今度はリカルドが不満げに俺を見ていた。
そうだ、いきなり変えたからリカルドが不快になるのは当然だ。
嫌われてるのかもとか思うのは当たり前だ。
どう言えばいいか考えとけば良かった。
俺が言う前にルカがリカルドの服の袖を引っ張った。
「僕がリカルドと同室になりたかったのアルトくんが気付いて同室譲ってくれただけだから」
「ごめんね!リカルドくんの同意聞かないで勝手にやって」
「………そうなのか?別に誰が同室でも俺はいいけど」
まだなんかありそうだがリカルドはとりあえず頷いた。
そして鍵に付いてる部屋番号を探しに歩いた。
階段を上ってすぐがリカルド達の部屋だった。
俺は角部屋でかなり離れている。
これは荷物運ぶのも大変だ。
幸い俺は実家から持ってきた荷物は少なくダンボール二箱くらいだがルカはベランダでガーデニングをするつもりだったらしく結構重いものを持ってきているらしい。
「仕方ねぇ、夕飯まで時間あるし…気合い入れていくか!」
「「おー!!」」
リカルドが上着を脱ぎ腕まくりをして気合いを入れる。
俺とルカはリカルドに着いていきダンボールを協力して運ぶ。
どうしても重くて運べない時は通りかかった他の生徒を巻き込み、何とか部屋移動が終わった。
手伝ってくれた生徒達にはジュースを奢らなきゃなとリビングで大の字になって三人寝転がる。
この寮は台所があるが初等部の生徒は使用禁止で寮の食堂で食べる事を義務付けられている。
高等部卒業までお世話になる寮だから中等部に上がったら使えるようになる。
バストイレも個室に完備されなかなかいい寮だと思う。
「ふぁー、疲れた…ねむ…」
「リカルド、寝ちゃだめだよ…まだご飯食べてな…はふっ」
「ちょっとだけ…仮眠」
瞼を閉じて三人は夢の中に旅立った。
お腹が空いた…あのお菓子を食べていたら少しは我慢出来たんだけどな。
不思議な、夢を見た…それは…生前の記憶。
ーーー
『俺と一緒に来いよ、姫』
「きゃー!やっぱりトーマカッコいい!声優さんも今大注目の若手実力派の人なんだよ!」
「……そうなんだ」
声優とか言われても国民的アニメぐらいしかアニメを見ないからいまいち分からない。
でも、気だるい色気があるいい声だと思う。
囁いているのが男だからヒロインとの恋愛を第三者目線で見ていた。
ゲームを進めていると、囚われたヒロインを助け出す直前に声が聞こえた。
声は可愛いのに、好きになれない。
それは妹も同じなのか画面を見ながら苦い顔をした。
「出た、悪役令嬢ヴィクトリア…トーマはあんたと結婚するわけないっての!」
「まぁゲームだし、悪者は必要なんじゃないか?」
そう言うが自分も悪役姉弟は苦手だ。
ヒロインを殺そうと魔法を使い弟のアルトは魔法が弱いから大砲を持ちヒロインを狙う。
しかしトーマが最大限の魔力を大剣に込めてアルトとヴィクトリアに魔法を放った。
その威力は未知数で、まともに食らった二人は二度とトーマとヒロインの前に姿を現す事はなかった。
これで二人は邪魔をする奴らもいなくなり、皆に祝福され結婚した。
今はとてもじゃないが他人事だとは思えない。
なんで悪役に生まれたんだろう、エキストラで良かったのに…
寮はちょっとおんぼろなビルみたいなところだった。
事前に荷物を送ったからもう部屋に届いてる筈だ。
扉を開けるとすぐ横にある受付から先生らしき人が顔を出す。
名前を言い鍵を受け取った。
共同生活は初めてで上手く出来るか不安だが、楽しみでもある。
「アルトは俺と同室みたいだな!」
「そうなんだ」
「……」
鍵に付いている部屋番号を見つけてリカルドはそう言う。
知らない人だと怖がらせてしまうと思ったが、同室相手がリカルドでホッとした。
ルカは頬を膨らませて鍵を見ていた。
ルカとリカルドは元々仲が良い感じがした。
それをぽっと出の俺が割り込んできたら嫌だろう。
友達の輪が乱れてしまったら俺も悲しい。
グランを姉に取られてしまったと子供の独占欲と同じだと思った。
俺はピンとこないが両親を姉弟に取られる感覚が一般的だろう。
「俺、部屋交換してくるね!」
「えっ!?どうしたんだいきなり」
「俺は誰とでも仲良くなれるからルカくんとリカルドくんは同じ部屋がいいよ!」
本当は嘘だけど…でも、二人を引き剥がすのは違うと思う。
受付に行き、管理人に部屋を交換したいと申し出る。
私情の交換は基本認められないが、新入生だし…お互い同意しているしルカの部屋は奇数のあまりで一人部屋だから今回だけと同意してくれた。
既に部屋に届けられた荷物は自分達で移動させるのが条件だった。
三人で運べばすぐに終わるだろう。
ルカと鍵の交換をしてルカは申し訳なさそうに俺を見た。
「ごめんね、僕のわがままで」
「ルカくんは何も言ってないよ!俺が一人部屋が良かっただけだから…ルカくんは一人部屋が良かった?」
ルカは首を横に振った、良かった…もしかしたら部屋交換嫌なのかと思って不安だった。
そして今度はリカルドが不満げに俺を見ていた。
そうだ、いきなり変えたからリカルドが不快になるのは当然だ。
嫌われてるのかもとか思うのは当たり前だ。
どう言えばいいか考えとけば良かった。
俺が言う前にルカがリカルドの服の袖を引っ張った。
「僕がリカルドと同室になりたかったのアルトくんが気付いて同室譲ってくれただけだから」
「ごめんね!リカルドくんの同意聞かないで勝手にやって」
「………そうなのか?別に誰が同室でも俺はいいけど」
まだなんかありそうだがリカルドはとりあえず頷いた。
そして鍵に付いてる部屋番号を探しに歩いた。
階段を上ってすぐがリカルド達の部屋だった。
俺は角部屋でかなり離れている。
これは荷物運ぶのも大変だ。
幸い俺は実家から持ってきた荷物は少なくダンボール二箱くらいだがルカはベランダでガーデニングをするつもりだったらしく結構重いものを持ってきているらしい。
「仕方ねぇ、夕飯まで時間あるし…気合い入れていくか!」
「「おー!!」」
リカルドが上着を脱ぎ腕まくりをして気合いを入れる。
俺とルカはリカルドに着いていきダンボールを協力して運ぶ。
どうしても重くて運べない時は通りかかった他の生徒を巻き込み、何とか部屋移動が終わった。
手伝ってくれた生徒達にはジュースを奢らなきゃなとリビングで大の字になって三人寝転がる。
この寮は台所があるが初等部の生徒は使用禁止で寮の食堂で食べる事を義務付けられている。
高等部卒業までお世話になる寮だから中等部に上がったら使えるようになる。
バストイレも個室に完備されなかなかいい寮だと思う。
「ふぁー、疲れた…ねむ…」
「リカルド、寝ちゃだめだよ…まだご飯食べてな…はふっ」
「ちょっとだけ…仮眠」
瞼を閉じて三人は夢の中に旅立った。
お腹が空いた…あのお菓子を食べていたら少しは我慢出来たんだけどな。
不思議な、夢を見た…それは…生前の記憶。
ーーー
『俺と一緒に来いよ、姫』
「きゃー!やっぱりトーマカッコいい!声優さんも今大注目の若手実力派の人なんだよ!」
「……そうなんだ」
声優とか言われても国民的アニメぐらいしかアニメを見ないからいまいち分からない。
でも、気だるい色気があるいい声だと思う。
囁いているのが男だからヒロインとの恋愛を第三者目線で見ていた。
ゲームを進めていると、囚われたヒロインを助け出す直前に声が聞こえた。
声は可愛いのに、好きになれない。
それは妹も同じなのか画面を見ながら苦い顔をした。
「出た、悪役令嬢ヴィクトリア…トーマはあんたと結婚するわけないっての!」
「まぁゲームだし、悪者は必要なんじゃないか?」
そう言うが自分も悪役姉弟は苦手だ。
ヒロインを殺そうと魔法を使い弟のアルトは魔法が弱いから大砲を持ちヒロインを狙う。
しかしトーマが最大限の魔力を大剣に込めてアルトとヴィクトリアに魔法を放った。
その威力は未知数で、まともに食らった二人は二度とトーマとヒロインの前に姿を現す事はなかった。
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