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魔法学園・トーマ視点
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魔法学園、王都の中心に位置する大きな城が目印の憧れ魔法使いなら大半が通う場所。
豪華なシャンデリアと真っ赤な絨毯が廊下を飾る。
寮は高級ホテル顔負けの外装内装となっている。
将来は幅広く用意されていて騎士団に入る者、城内に勤める者それぞれだ。
そんな魔法学園はランクが全てでAランク以下は下位ランクと呼ばれ上位ランクの白いブレザーの生徒を見かけたら黒いブレザーの下位ランクは必ず頭を下げて道を開けなくてはいけない。
上位ランクはエリート中にエリート集団だから、初等部の頃からそれが染み付いている。
下位ランクも不満はない、それが当たり前だと物心ついた時から親に教えられている。
そして、その上下社会に唯一不満を持つ者が一人いた。
俺はトーマ・ラグナロク、俺が入学してきた時にラグナロクの息子だと知られ全校を巻き込む大パニックを起こしていた。
だけど俺は黒いブレザーを着ていた。
下位ランクが白いブレザーを着る事は校則で禁止されていて見つかれば一発退学だ。
しかし上位ランクが黒いブレザーを着てはいけないという校則はない。
わざわざ黒いブレザーを着て下位になろうとする上位ランク生徒はいないから…一人を除いて…
皆目が点になりながら俺を眺めていた。
俺は上位ランクだと持ち上げられるのが嫌いだった。
魔法学園に通う前からなにかと嫌いな父親の息子と言われて嫌な思いをしていた。
だから父親と離れた今、俺は一般生徒として静かに暮らしたかった。
本当は魔法学園ではなく一般学校に行きたかったが父親に早々に却下され、魔法学園に通えば学園生活に口出ししないと約束して渋々魔法学園に入学した。
白いブレザーを着てください!といろんな人に言われるが頑なに拒否した。
……絶対嫌だ。
そんな俺がも入学してもう3年が経っていた。
周りも俺に慣れていて、黒いブレザーなのに上位ランクの扱いを受けてげんなりしていた。
「トーマ、お前にお客様だぞ」
「……またか」
SSランクで俺と同じ考えを持ち、親に泣かれるからと白いブレザーを着るノエルが呼びに来た。
俺を遠目から見る生徒は沢山いる、仲良くなりたいがSSSランクなんて雲の上の存在だと図々しく話しかけるのなんて見た目も中身もチャラいノエルくらいだ。
…いや、あと一人いた…最近毎日俺のいる教室に友人でもないのに通う図々しい奴が…
チラッと教室のドアを見てため息を吐く。
黒髪のロングヘアーに一見大人っぽいお嬢様だが、中身はかなり子供っぽい…いや、子供なんだけどな。
最初に会った時に同じ黒髪でもパーティーで会ったあの女の子とこうも違うのかと驚いた。
「ノエル、代わりに行ってきてよ…俺は寝る」
「いやいやいやいや、俺もあの子は苦手なんだよ…いいから行けって!」
この場合、女の子大好きなノエルが行けばいいと思うんだが…
ため息を吐く…早く行かないと教室に入られて他の生徒の迷惑になりそうだ。
諦めて立ち上がり教室の入り口に立つ。
周りは「シグナム家だ」と少女を見て皆逃げる。
シグナムって確か悪い事をしてる家なんだっけ。
昔魔獣を召喚して世界を支配しようとしたシグナムの魔法使いを親父が倒したと歴史にも載っている。
だからか、シグナムとラグナロクは昔から因縁がある。
だからと言って子供である少女がなにかするとは思えない…後ろにいる従者は分からないけど、なんか弱そうだから大丈夫か。
「トーマ!今日はお弁当用意したのよ!」
「……あ、俺今パンが食べたい気分だから」
「サンドイッチも用意したわ!」
「…………」
なるほど、学習したのか。
従者の指を見ると絆創膏がいっぱい貼ってあってなんだか可哀想だ。
無理矢理二つのお弁当を押し付けられた。
今日は食堂で肉を食う予定だったのに…
ヘルシー弁当なのか知らないが、少女…というか従者が作る弁当に好物が入ってないから食う気がしない。
……スタミナ料理が食べたい。
教室に戻るとノエルが手を振っていたからイラッとして軽く足蹴りした。
「いたっ、どうだった?」
「…見てたんだろ、これノエルのな」
もう一つのお弁当箱をノエルに渡す。
ヘルシー弁当は食いたくない。
でもいくら苦手な子でも貰ったものは粗末にしたくないから、サンドイッチの方を食べる。
長机の席に並んで座り、弁当を開けた。
ツナと卵とサラダのサンドイッチか……肉…カツでもいい、入ってないのか。
隣のノエルを見ると弁当の中身を見て絶句していた。
「…………キャラ弁」
俺も覗き込みドン引きした。
ご飯がある場所に俺らしき似顔絵があった。
これは、食べたくない…それはノエルも同じなのだろう。
ご飯をぐちゃぐちゃにかき混ぜ、俺の原型を消して食べる事にしたらしい。
……ちょっと酷い。
俺はサンドイッチを一口かじる、普通の味だ。
最初お弁当を貰った時変なものが入ってそうで怖かったが一口食べると安心した。
とはいえ、好意がない女の子の愛情たっぷりな手料理は食いたくないから断れる時は断っていた…今日は失敗したけど…
「トーマの顔の下に好きって海苔で書いてあるぞ」
「…はぁ」
少女の想いには応えられない…何度もそう言ってるんだけどな…好きな女の子がいると…
それを自分だと思い込む才能があの少女にはあった……そんな才能いらないだろ。
早くあのパーティーで会った子に会いたい、何処の誰か名前を聞くのを忘れてしまっていて悔やまれる。
魔法学園の中を探したが生徒が多過ぎて中々見つからない。
もうそろそろ入学してきてもいいと思うんだけどな。
一般学校に行っちゃってたら意味ないが……
「トーマって好きな子いたんだっけ、運命のお姫様」
「うん、その子と素朴な喫茶店を営む予定」
「俺も会ってみたいなぁー…トーマ様のハートを射止めた美少女に!」
ノエルを睨むとすぐに謝ってきた。
女好きになんて会わせるわけない、あの子が汚れる。
早く会いたい、運命の子…
今何処にいるんだろうか。
少しでも覚えてくれてたらいいな。
豪華なシャンデリアと真っ赤な絨毯が廊下を飾る。
寮は高級ホテル顔負けの外装内装となっている。
将来は幅広く用意されていて騎士団に入る者、城内に勤める者それぞれだ。
そんな魔法学園はランクが全てでAランク以下は下位ランクと呼ばれ上位ランクの白いブレザーの生徒を見かけたら黒いブレザーの下位ランクは必ず頭を下げて道を開けなくてはいけない。
上位ランクはエリート中にエリート集団だから、初等部の頃からそれが染み付いている。
下位ランクも不満はない、それが当たり前だと物心ついた時から親に教えられている。
そして、その上下社会に唯一不満を持つ者が一人いた。
俺はトーマ・ラグナロク、俺が入学してきた時にラグナロクの息子だと知られ全校を巻き込む大パニックを起こしていた。
だけど俺は黒いブレザーを着ていた。
下位ランクが白いブレザーを着る事は校則で禁止されていて見つかれば一発退学だ。
しかし上位ランクが黒いブレザーを着てはいけないという校則はない。
わざわざ黒いブレザーを着て下位になろうとする上位ランク生徒はいないから…一人を除いて…
皆目が点になりながら俺を眺めていた。
俺は上位ランクだと持ち上げられるのが嫌いだった。
魔法学園に通う前からなにかと嫌いな父親の息子と言われて嫌な思いをしていた。
だから父親と離れた今、俺は一般生徒として静かに暮らしたかった。
本当は魔法学園ではなく一般学校に行きたかったが父親に早々に却下され、魔法学園に通えば学園生活に口出ししないと約束して渋々魔法学園に入学した。
白いブレザーを着てください!といろんな人に言われるが頑なに拒否した。
……絶対嫌だ。
そんな俺がも入学してもう3年が経っていた。
周りも俺に慣れていて、黒いブレザーなのに上位ランクの扱いを受けてげんなりしていた。
「トーマ、お前にお客様だぞ」
「……またか」
SSランクで俺と同じ考えを持ち、親に泣かれるからと白いブレザーを着るノエルが呼びに来た。
俺を遠目から見る生徒は沢山いる、仲良くなりたいがSSSランクなんて雲の上の存在だと図々しく話しかけるのなんて見た目も中身もチャラいノエルくらいだ。
…いや、あと一人いた…最近毎日俺のいる教室に友人でもないのに通う図々しい奴が…
チラッと教室のドアを見てため息を吐く。
黒髪のロングヘアーに一見大人っぽいお嬢様だが、中身はかなり子供っぽい…いや、子供なんだけどな。
最初に会った時に同じ黒髪でもパーティーで会ったあの女の子とこうも違うのかと驚いた。
「ノエル、代わりに行ってきてよ…俺は寝る」
「いやいやいやいや、俺もあの子は苦手なんだよ…いいから行けって!」
この場合、女の子大好きなノエルが行けばいいと思うんだが…
ため息を吐く…早く行かないと教室に入られて他の生徒の迷惑になりそうだ。
諦めて立ち上がり教室の入り口に立つ。
周りは「シグナム家だ」と少女を見て皆逃げる。
シグナムって確か悪い事をしてる家なんだっけ。
昔魔獣を召喚して世界を支配しようとしたシグナムの魔法使いを親父が倒したと歴史にも載っている。
だからか、シグナムとラグナロクは昔から因縁がある。
だからと言って子供である少女がなにかするとは思えない…後ろにいる従者は分からないけど、なんか弱そうだから大丈夫か。
「トーマ!今日はお弁当用意したのよ!」
「……あ、俺今パンが食べたい気分だから」
「サンドイッチも用意したわ!」
「…………」
なるほど、学習したのか。
従者の指を見ると絆創膏がいっぱい貼ってあってなんだか可哀想だ。
無理矢理二つのお弁当を押し付けられた。
今日は食堂で肉を食う予定だったのに…
ヘルシー弁当なのか知らないが、少女…というか従者が作る弁当に好物が入ってないから食う気がしない。
……スタミナ料理が食べたい。
教室に戻るとノエルが手を振っていたからイラッとして軽く足蹴りした。
「いたっ、どうだった?」
「…見てたんだろ、これノエルのな」
もう一つのお弁当箱をノエルに渡す。
ヘルシー弁当は食いたくない。
でもいくら苦手な子でも貰ったものは粗末にしたくないから、サンドイッチの方を食べる。
長机の席に並んで座り、弁当を開けた。
ツナと卵とサラダのサンドイッチか……肉…カツでもいい、入ってないのか。
隣のノエルを見ると弁当の中身を見て絶句していた。
「…………キャラ弁」
俺も覗き込みドン引きした。
ご飯がある場所に俺らしき似顔絵があった。
これは、食べたくない…それはノエルも同じなのだろう。
ご飯をぐちゃぐちゃにかき混ぜ、俺の原型を消して食べる事にしたらしい。
……ちょっと酷い。
俺はサンドイッチを一口かじる、普通の味だ。
最初お弁当を貰った時変なものが入ってそうで怖かったが一口食べると安心した。
とはいえ、好意がない女の子の愛情たっぷりな手料理は食いたくないから断れる時は断っていた…今日は失敗したけど…
「トーマの顔の下に好きって海苔で書いてあるぞ」
「…はぁ」
少女の想いには応えられない…何度もそう言ってるんだけどな…好きな女の子がいると…
それを自分だと思い込む才能があの少女にはあった……そんな才能いらないだろ。
早くあのパーティーで会った子に会いたい、何処の誰か名前を聞くのを忘れてしまっていて悔やまれる。
魔法学園の中を探したが生徒が多過ぎて中々見つからない。
もうそろそろ入学してきてもいいと思うんだけどな。
一般学校に行っちゃってたら意味ないが……
「トーマって好きな子いたんだっけ、運命のお姫様」
「うん、その子と素朴な喫茶店を営む予定」
「俺も会ってみたいなぁー…トーマ様のハートを射止めた美少女に!」
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少しでも覚えてくれてたらいいな。
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