【完結】なんと!悪役令嬢はいなかったのです!

ねねこ

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悪役令嬢は気がついた

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それは、学園に通い出して1年…つまり2年生(17歳)の4月。良く晴れた春風香る日のことでした。わたくしたちは悩んでおりました。わたくしたちと言うのは、わたくし…公爵令嬢アンジェリカ・エトナディットと仲良くしていただいている伯爵令嬢のマリエルさんとリディアさんです。お二人にはとてもよくしてもらっています。わたくしの親友と言っても差し支えありません。

ちなみにわたくしはこの世界…いわゆる乙女ゲームの世界『フェイバリット・ガール』(簡単にいえば主人公がオープニングで学園に住まう特別な妖精と出会い、3で与えられた力を使って学園生活を冒険や恋愛などで満喫する話です)という作品に主人公に意地悪を働く悪役令嬢に現代日本から死んで転生してしまいました。

…とはいっても、わたくしは原作通りにピンク色のボブヘアに桜色の瞳の主人公アリエッタに意地悪なんてしておりません。むしろなるべく避ける様にわざと成績を下げてクラスを別にする様にしたり接触を避けていたのです。

ですが、どうやらわたくしの婚約者のレオナルド殿下(この国の第一王子で皇太子)にも入れ込んでいるらしく、やたらと突っかかってくるのです。そしてありもしない罪を被せようとしてきます。そして殿下もそんな女性にべたべたされても満更ではない様子…最近は婚約者として立つことはよっぽと大きな行事…たとえば建国祭などでないとなくなってしまいました。

…わたくしも前世はこのゲームを嗜んでいましたのでなんとなく解ります。これはおそらく『ハーレムルート』であるということを。

何故かと言うと、ハーレムルートでは一番チョロいレオナルド殿下を速攻で落とし、キープしつつ他のキャラクターを落としていくのが定石だからなのです。ですからレオナルド殿下ルートの最後のイベント(18禁ゲームですのでいわゆるベッドシーンですね)はRTAリアルタイムアタックを参考にするとおそらく1年目の5月が最速でしたので、その頃に現場を張っていたら、見事に証拠の写し絵スチル(現代で言う写真や動画の様なものです。真実しか撮れない為、証拠としては十分です)が撮れました。これで殿下と婚約破棄をしてもいいのですが…

「…別に婚約破棄はいいのです。元からレオナルド殿下とは家との付き合いだけでしたから、大した感情はございません。…でももし、このままわたくしが一線を引き、あの方アリエッタが王妃になってしまったら…おそらく大変なことになりますわよね?」

マリエルさんは紅茶色のサラサラのセミロングをふわりと揺らし、困った顔をして頷きます。
「そうですわね…私たちも散々彼女に煮え湯を飲まされてきましたもの。彼女のあの奇怪な【】というものでいろいろ疑われたり、沢山被害を被りましたから…」

そう、このマリエルさんが言った【】…それはいわゆる主人公が特別な妖精から得た、どんなことをしても人に好かれやすく、印象も良く、どんなことをしても大抵許されるといういわゆる主人公用チートなのです。この学園に住む1000年に一度生まれるという、きっかり3年間しか生きられない妖精の力なのですが…まったくもって恐ろしい力ですこと!

正直、前世でもゲームをプレイしてても『これなんでコイツだけ許されるん?』と頭に疑問符を浮かべながらプレイしていたことは何度もありました。というかシナリオはいろいろプレイした中でも断トツのクソゲーだと思います。
なんというか…主人公以外のキャラクターは確かにすごく魅力的なんです。ですがプレイしていると『お前どうしてコレに惚れたの?結局お前(攻略キャラ)もヤベーヤツじゃん』と思い始めるくらいなので、本当にひどかったです。

そんなわけでそんな世界クソゲーに転生してしまったわたくしは大変絶望致しましたが、転生先がゲーム内で一番まともと言われた悪役令嬢で多少はなんとかなると…入学当初は思っていたのです。

ですが、そこはハーレムエンドを目指すアバz…いえ、気が多い主人公アリエッタ。沢山の殿方の気を引きたくて、悲劇のヒロインを演じたかったのでしょう。わたくしとわたくしのそばにいるマリエルさんとリディアさんを苛め役にしようとしたのです。

でもわたくしはそこまでバカではありません。もちろん徹底的に証拠を出し、身の潔白を証明致しました。
…しかし、ここがあの【不思議な魅力】クソチートの怖いところです。そんなことをしても彼女は許されてしまいます。
始めて罪を被せられそうになり、それを暴いたわたくしたちに殿下はなんていったと思います?

『平民出の彼女は…お前のような傲慢な女が怖かったから、勘違いしてしまっただけだ。
 お前の日々の態度が起こした事件だ。反省しろ』

はぁ?頭腐ってらっしゃるのかしら?
ってなりますわよね…コイツ頭おかしいですわ…こんなの皇太子にしたらきっと国が滅ぶでしょう。

ただ、幸いなことに妖精の力といえども人の心はどうにかできてもは覆せないらしく、今まではなんとか濡れ衣を被せられることは避けられたのですが…

「今後も潔白を証明し続けるとなるときっとキツイですよね…アンジェリカさま、いかがいたします?」

ふわふわの小麦色のツインテールがかわいらしいリディアさんはいつもの元気が嘘のようにしょぼんとしておりました。こんなかわいいリディアさんと素敵なマリエルさんを困らせるなんて、あの人たちはなんて罪深い人たちなんでしょう。

「いっそのこと…居なくなってしまえば…」

はたと…わたくしは口に出して気が付きました。
その手があったか!と思わず膝を叩きました。(公爵令嬢の仕草にはふさわしくありませんがお許しくださいませ。そんな気持ちだったのです!)

「そうです!居なくなってしまえばいいのですわ!!」

わたくしは気が付いてしまったのです。

のだと。

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