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34 二人の男 1
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ルナールはグレイシアに戻った。
軍務で都を発ってから、実に二年ぶりのことである。
そして、クレーネとアリョーナと一緒に、エルトール子爵家の別棟で暮らすことになった。以前は荒れ果てていたところだが、最近になって修理させた部分だ。ミザリーは元の自分の部屋、つまり以前、夫婦で使っていた部屋に戻っている。
ミザリーはルナールに、皆で本館で暮らせばよいと言ったのだが、ルナールはそれはできないと言ったのだ。
「クレーネがここでの暮らしに慣れるまでは、別棟に住むことにする。母上はあんな風だし、あまり気を使わせたくないんだ。身重でもあるし」
実際セリアナはクレーネに会おうともしない。
「お義母様は私が説得します」
「ありがとう。だが今はまだクレーネも混乱している。ゆっくり馴染ませてやりたい」
「そうですか……わかりました」
ここはミザリーの執務室である。
以前はルナールのものだったが、彼はほとんど使用していなかったので、今ではミザリーが集めた資料や地図などでいっぱいになっている。
「君は寛大な人だな」
「寛大?」
ミザリーは首を傾げた。
「ああ。俺の記憶はまだ戻らないが、君が正妻だということは、さまざまな書類でも明らかだ。婚姻届の写しにも俺の筆跡で署名がしてあった。なのに俺は君を思い出せない」
「……」
「だが、君は俺のことを詰らず、クレーネにもきちんとした態度で接してくれている。君のような人が俺の妻だと知って嬉しい」
「……ありがとうございます」
「教えてくれ。俺はどんな夫だったのだ?」
ルナールは真剣な瞳で言った。
彼は元の普段着を着ている。以前より痩せたので、少し体に合っていないが、身なりを整えた姿はやはり美しかった。
ミザリーはしばらくルナールを見つめていたが、やがてゆっくりと口を開いた。
「私は子どもの頃から、ルナール様を知っていました。領地がお隣だったので」
「そのようだ」
「私が娘のころ、狩りの催しで声をかけていただき、それ以来ルナール様に憧れておりました。だから、この結婚が決まったときは嬉しかった」
「俺も嬉しかったのか?」
「……多分、そうではなかったと思います」
「正直だな。俺は君を大切にしなかったのか?」
「いいえ。ルナール様は公平で率直な方でした」
「公平? 率直? それは夫婦の関係を表すのに、適切な言葉か?」
「よくわかりません。他に夫を持ったことがありませんから。でも、私の容姿は好みではないと、はっきりおっしゃいました」
「そんなことを俺が!? ひどいな!」
ルナールは過去の自分に対して呆れた。
「確かに、そう言われてみればそうなのかもしれないが……」
ルナールはミザリーを眺めた。
背は低いほうで、体つきは柔らかい。珍しいが暗めの髪色。背が高く、やせ型で金髪のクレーネとは正反対である。
しかし、聡明そうな様子と、女らしい曲線は、男にとって不快なものではない。むしろ、女ざかりの魅力にあふれていると思える。
「今の俺には、君は綺麗に見える」
「ありがとうございます。そう言っていただけたのは初めてです」
「どうも、以前の俺は嫌な男だったようだな。すまない」
「でも、ルナール様は私を信頼し、この家を頼むとおっしゃっいました」
「以前言っていた約束、か。そして君はそれをやり遂げた」
「はい」
「あと……申し訳ない。ご婦人にこんなことを聞くのは無礼だと思うし、言いにくかったら言わないでいいが……、その、夫婦としての俺たちはなんと言うか……どうだったのか……夫として、そのぅ……閨では」
ルナールは申し訳なさそうに目を逸らし、ミザリーも真っ赤になって床に視線を落とした。
「い、いや! すまない! 俺は二年間、貴族であることも忘れて辺境暮らしだったから、礼儀作法とやらもすっかり無くしてしまったようだ……今の質問は忘れてくれ!」
ミザリーはしばらくの沈黙の後、意を決したように顔を上げた。
「言ったように、私はルナール様以外の夫を持ったことがありません。だから、他と比べることはできないです。でも……そうですね。ルナール様は不慣れな私に丁寧に接してくださいました。だから怖くはなかった」
「丁寧……そう、なのか?」
「私は嬉しかった。ルナール様はとても人気者でいらして、女性をよくご存知だったから、私などが妻になって申し訳なく思っていたのに……」
「……ミザリー」
「私を尊重し、信頼してくださった。だから私は今までやってこれたのです」
その言葉にルナールも、改めてミザリーを見た。
「ありがとう。言いにくいことまで言わせてしまった……だが、君の言う公平、率直、尊重、信頼……どれも立派すぎて、俺にふさわしくない気がする。君のような誠実な人間には釣り合わない」
「私だって、ただのお人好しなわけではありません。これでも打算があるのですよ」
「……打算?」
「ええ。でもとにかく、ルナール様が今するべきことは、記憶を取り戻すことです」
「そうだな。確かに俺はここで暮らしていた。都の風景や、この家の間取りは体に馴染んでいる」
「きっと取り戻せます」
「ああ。できれば、君にも手伝って欲しい」
ルナールは思わずミザリーの手を取った。
「……私にできることをいたします」
ミザリーは慎重に言った。
「ありがとう。君の言葉は安心できる。召使たちも君を尊敬しているようだ。君はきっと誠実に努力をして、この家を守ったのだろう」
「私だけの仕事ではありません……あら?」
入ってきたのはユルディスである。手には帳簿のようなものを持っていた。ルナールは素早くミザリーの手を離したが、ユルディスの鷹の目はそれを見逃すはずがなかった。
「失礼します。ノックはしたのですが。ミザリー様、商人が来ております。お出ましを」
ユルディスはルナールに、刃のような視線を向けてから言った。
「わかったわ……では、私は仕事に戻ります。ルナール様は、クレーネさんのところに行ってあげて下さい」
そう言うと、ミザリーはバルコニーへ出る。
「どこへ行く? 仕事ではないのか?」
「温室です。たくさんの香草を育てているのです。今日は出荷の日ですの。では」
ミザリーはすたすたと階段を下りて、庭の奥へと入っていった。
「……なんだ?」
ミザリーを見送っていたルナールは、扉の前に立つ男を振り返った。
「ユルディス」
「俺の名を覚えたか。それとも思い出したか」
「お前のことは、最初から印象に残っていた」
挑発的な言葉にルナールの声も鋭くなる。二人の男の視線がぶつかった。
「最初に会ったのは、もう五年も前だ」
もはやユルディスの言葉は、屋敷に仕える者のそれではない。そしてルナールも咎めたりはしなかった。
「俺の言うのはつい最近、北部で、と言うことだ。まだなにか言いたいことがあるのか?」
「一度は諦めた。だが、二度はない」
ルナールには謎のような言葉だ。
「なに? どういうことだ?」
「渡さない、絶対に。触れるな。次は殴り倒してやる」
ユルディスはわざと主語を省いて喋っている。その物騒な目に射抜かれ、ルナールは背中にひやりとしたものを感じた。
「お前……なにを言っている?」
「明日、軍の関係者をこの屋敷に呼んでいる。ランサール元将軍もお越しになる」
ユルディスは、ルナールの問いを明白に無視して言った。
「ランサール元将軍だと? その名は聞いたことが……」
「さすがに元剣士だけのことはある。妻のことは忘れても、国の英雄の名は残るか」
「その英雄が、お前に呼ばれてここに来るのか?」
「そうだ。楽しみに待っているがいい。記憶を揺さぶってやる」
「き、記憶を?」
「戻った時がお前の終わりで、俺の始まりだ」
そう言い捨てて、ユルディスは明るい屋外へとミザリーを追った。
*****
ユルディスはたぶん、ノックはしていませんね。
軍務で都を発ってから、実に二年ぶりのことである。
そして、クレーネとアリョーナと一緒に、エルトール子爵家の別棟で暮らすことになった。以前は荒れ果てていたところだが、最近になって修理させた部分だ。ミザリーは元の自分の部屋、つまり以前、夫婦で使っていた部屋に戻っている。
ミザリーはルナールに、皆で本館で暮らせばよいと言ったのだが、ルナールはそれはできないと言ったのだ。
「クレーネがここでの暮らしに慣れるまでは、別棟に住むことにする。母上はあんな風だし、あまり気を使わせたくないんだ。身重でもあるし」
実際セリアナはクレーネに会おうともしない。
「お義母様は私が説得します」
「ありがとう。だが今はまだクレーネも混乱している。ゆっくり馴染ませてやりたい」
「そうですか……わかりました」
ここはミザリーの執務室である。
以前はルナールのものだったが、彼はほとんど使用していなかったので、今ではミザリーが集めた資料や地図などでいっぱいになっている。
「君は寛大な人だな」
「寛大?」
ミザリーは首を傾げた。
「ああ。俺の記憶はまだ戻らないが、君が正妻だということは、さまざまな書類でも明らかだ。婚姻届の写しにも俺の筆跡で署名がしてあった。なのに俺は君を思い出せない」
「……」
「だが、君は俺のことを詰らず、クレーネにもきちんとした態度で接してくれている。君のような人が俺の妻だと知って嬉しい」
「……ありがとうございます」
「教えてくれ。俺はどんな夫だったのだ?」
ルナールは真剣な瞳で言った。
彼は元の普段着を着ている。以前より痩せたので、少し体に合っていないが、身なりを整えた姿はやはり美しかった。
ミザリーはしばらくルナールを見つめていたが、やがてゆっくりと口を開いた。
「私は子どもの頃から、ルナール様を知っていました。領地がお隣だったので」
「そのようだ」
「私が娘のころ、狩りの催しで声をかけていただき、それ以来ルナール様に憧れておりました。だから、この結婚が決まったときは嬉しかった」
「俺も嬉しかったのか?」
「……多分、そうではなかったと思います」
「正直だな。俺は君を大切にしなかったのか?」
「いいえ。ルナール様は公平で率直な方でした」
「公平? 率直? それは夫婦の関係を表すのに、適切な言葉か?」
「よくわかりません。他に夫を持ったことがありませんから。でも、私の容姿は好みではないと、はっきりおっしゃいました」
「そんなことを俺が!? ひどいな!」
ルナールは過去の自分に対して呆れた。
「確かに、そう言われてみればそうなのかもしれないが……」
ルナールはミザリーを眺めた。
背は低いほうで、体つきは柔らかい。珍しいが暗めの髪色。背が高く、やせ型で金髪のクレーネとは正反対である。
しかし、聡明そうな様子と、女らしい曲線は、男にとって不快なものではない。むしろ、女ざかりの魅力にあふれていると思える。
「今の俺には、君は綺麗に見える」
「ありがとうございます。そう言っていただけたのは初めてです」
「どうも、以前の俺は嫌な男だったようだな。すまない」
「でも、ルナール様は私を信頼し、この家を頼むとおっしゃっいました」
「以前言っていた約束、か。そして君はそれをやり遂げた」
「はい」
「あと……申し訳ない。ご婦人にこんなことを聞くのは無礼だと思うし、言いにくかったら言わないでいいが……、その、夫婦としての俺たちはなんと言うか……どうだったのか……夫として、そのぅ……閨では」
ルナールは申し訳なさそうに目を逸らし、ミザリーも真っ赤になって床に視線を落とした。
「い、いや! すまない! 俺は二年間、貴族であることも忘れて辺境暮らしだったから、礼儀作法とやらもすっかり無くしてしまったようだ……今の質問は忘れてくれ!」
ミザリーはしばらくの沈黙の後、意を決したように顔を上げた。
「言ったように、私はルナール様以外の夫を持ったことがありません。だから、他と比べることはできないです。でも……そうですね。ルナール様は不慣れな私に丁寧に接してくださいました。だから怖くはなかった」
「丁寧……そう、なのか?」
「私は嬉しかった。ルナール様はとても人気者でいらして、女性をよくご存知だったから、私などが妻になって申し訳なく思っていたのに……」
「……ミザリー」
「私を尊重し、信頼してくださった。だから私は今までやってこれたのです」
その言葉にルナールも、改めてミザリーを見た。
「ありがとう。言いにくいことまで言わせてしまった……だが、君の言う公平、率直、尊重、信頼……どれも立派すぎて、俺にふさわしくない気がする。君のような誠実な人間には釣り合わない」
「私だって、ただのお人好しなわけではありません。これでも打算があるのですよ」
「……打算?」
「ええ。でもとにかく、ルナール様が今するべきことは、記憶を取り戻すことです」
「そうだな。確かに俺はここで暮らしていた。都の風景や、この家の間取りは体に馴染んでいる」
「きっと取り戻せます」
「ああ。できれば、君にも手伝って欲しい」
ルナールは思わずミザリーの手を取った。
「……私にできることをいたします」
ミザリーは慎重に言った。
「ありがとう。君の言葉は安心できる。召使たちも君を尊敬しているようだ。君はきっと誠実に努力をして、この家を守ったのだろう」
「私だけの仕事ではありません……あら?」
入ってきたのはユルディスである。手には帳簿のようなものを持っていた。ルナールは素早くミザリーの手を離したが、ユルディスの鷹の目はそれを見逃すはずがなかった。
「失礼します。ノックはしたのですが。ミザリー様、商人が来ております。お出ましを」
ユルディスはルナールに、刃のような視線を向けてから言った。
「わかったわ……では、私は仕事に戻ります。ルナール様は、クレーネさんのところに行ってあげて下さい」
そう言うと、ミザリーはバルコニーへ出る。
「どこへ行く? 仕事ではないのか?」
「温室です。たくさんの香草を育てているのです。今日は出荷の日ですの。では」
ミザリーはすたすたと階段を下りて、庭の奥へと入っていった。
「……なんだ?」
ミザリーを見送っていたルナールは、扉の前に立つ男を振り返った。
「ユルディス」
「俺の名を覚えたか。それとも思い出したか」
「お前のことは、最初から印象に残っていた」
挑発的な言葉にルナールの声も鋭くなる。二人の男の視線がぶつかった。
「最初に会ったのは、もう五年も前だ」
もはやユルディスの言葉は、屋敷に仕える者のそれではない。そしてルナールも咎めたりはしなかった。
「俺の言うのはつい最近、北部で、と言うことだ。まだなにか言いたいことがあるのか?」
「一度は諦めた。だが、二度はない」
ルナールには謎のような言葉だ。
「なに? どういうことだ?」
「渡さない、絶対に。触れるな。次は殴り倒してやる」
ユルディスはわざと主語を省いて喋っている。その物騒な目に射抜かれ、ルナールは背中にひやりとしたものを感じた。
「お前……なにを言っている?」
「明日、軍の関係者をこの屋敷に呼んでいる。ランサール元将軍もお越しになる」
ユルディスは、ルナールの問いを明白に無視して言った。
「ランサール元将軍だと? その名は聞いたことが……」
「さすがに元剣士だけのことはある。妻のことは忘れても、国の英雄の名は残るか」
「その英雄が、お前に呼ばれてここに来るのか?」
「そうだ。楽しみに待っているがいい。記憶を揺さぶってやる」
「き、記憶を?」
「戻った時がお前の終わりで、俺の始まりだ」
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