「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫

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第1話:王子様の「本当」の顔

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学園のシンボルである大時計が、昼休みを告げる鐘を鳴らす。
私、佐藤澪(さとう みお)は、いつものようにカフェテリアの片隅で、彼――ハルトを待っていた。

厚いレンズの眼鏡に、顔を隠すようなボサボサの髪。特待生として勉強に全てを捧げている私の唯一の安らぎは、学園の王子様と呼ばれる如月ハルトと付き合っていることだった。
「澪、待たせてごめんね」
ハルトが爽やかな笑顔で現れる。周囲の女子生徒たちが、羨望と、それ以上に「不釣り合いだ」という蔑みの視線を私に投げかける。けれど、ハルトの優しささえあれば、私はそれで良かった。

――そう、思っていたのに。

「ハルト様……やっぱり、私じゃダメなの?」
可憐な声が響いたのは、その日の放課後だった。
忘れ物を取りに戻った教室の入り口で、私は見てしまった。ハルトが、昨日転校してきたばかりの美少女・エマの肩を抱いているところを。

「……ハルト?」
私が思わず声を漏らすと、ハルトは見たこともないような冷酷な目でこちらを振り返った。
「あぁ、澪か。ちょうどいい。お前にはもう、用済みだ」
「え……?」
耳を疑った。ハルトはエマの腰に手を回したまま、嘲笑を浮かべる。
「お前みたいな地味ブスと付き合ってたのは、単なる罰ゲームだよ。エマが来るまでの退屈しのぎ。……正直、隣を歩くのも苦痛だったんだよね」

ドクン、と心臓が跳ねた。視界が歪む。
「そんな……だって、ハルトはいつも優しくて……」
「演技だよ。お前が俺のためにノートをまとめたり、課題を代わりにやったりする姿、滑稽で最高だったよ。なぁ、エマ?」
エマは、困ったように眉を下げながら、その口元に邪悪な笑みを湛えていた。
「ごめんなさい、澪さん。でも、ハルト様は私のことが忘れられなかったんですって。……あ、そうだ。あなたが大切にしてた、これ。返しておくわね」

エマが投げ捨てたのは、私がハルトの誕生日に贈ったペアのストラップだった。それは床に落ちると、無情にもバキリと音を立てて砕けた。
「……っ!」
「さぁ、行こうぜ、エマ。ゴミの相手をするのは時間の無駄だ」

二人は私を突き飛ばすようにして、教室を去っていった。
静まり返った教室で、私は一人、砕けたストラップを拾い上げる。
悔しさと、悲しみと、自分への情けなさ。……けれど、それ以上に、真っ黒な感情が胸の奥で渦を巻き始めた。

「……ゴミ、か」

私は眼鏡を外し、指先で壊れた破片を握りしめる。
レンズを通さない私の瞳は、学園の誰もが知らないほど鋭く、冷たく、燃えていた。

ハルト。あなたは知らない。
私がこの学園に「地味な特待生」として潜り込んでいる理由を。
そして、私が本気を出せば、あなたの家柄も、将来も、その美しい顔も、全て一瞬で壊せてしまうことを。

「そこまで言うなら、見せてあげる。本当の絶望が、どんな色をしてるのか」

私はスマホを取り出すと、唯一登録されている『協力者』の名前をタップした。
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