家族に疎まれて、醜穢令嬢として名を馳せましたが、信用出来る執事がいるので大丈夫です

花野拓海

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3章 逆境は真実へと至る最初の道筋である。

今日は寒いので、朝から布団に潜りたいと思います

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「よし、着いた!」

 あれから3日の時が経過して、レベッカは幾多ものパフォーマーが住まう街、リリルナ領に辿り着いた。

「ここから、始まるんですね………」

 レベッカのアイドル生活が。

「まあ、目的はそれじゃないんですけどね………」

 レベッカの最終目標は指名手配の取り消し。そのためならば別にパフォーマーになる必要は無い。

「ルーズ家よりも、フーラ家よりも国家に対する影響力も大きいし、リリルナ家と関係を持つことは悪いことじゃないです」

 そうして街に入ろうとすると、

「ちょっと待ってくれ」

 門番の人に止められた。

(この街には、しっかりと門番がいるのですね………)

 ルーズ領との違いに、レベッカは感心していた。

「身分証明をするものと、この街に来た目的を」

 かなりの厳重な警備に、少し憂鬱になりながらもレベッカは思案する。

(どうしよう………)

 レベッカが悩む理由。それは

(身分を証明するものが、ない………)

 警備の人が納得するものを持ち合わせていないのである。
 ちなみに、透明になって侵入すればいいのかとしれないが、今回はそれなりの期間この街に滞在する予定。となれば、自然に入った方がいいのである。中で余計なトラブルを避けるためにも。

(どうしよう………)

 だが、悩んでも仕方がない。ここは、余計なトラブルを避けるためにも正直に言うしかない。

「えっと、身分を証明するものは、ありません………」

 そう申し訳なさそうな声音で言うと、

「そうか………では、街に入るための手続きをしてもらう。こっちに来て欲しい」

 そう言われた。

「………えっ?」

 予想外のことに、レベッカが呆気にとられていると、警備の人は「ん?」となった後、納得したように言う。

「そうか。君は上京してきたばかりなのだな」

「は、はい!」

 本当は元貴族令嬢なのだが、余計なトラブルを避けるために肯定しておく。

「なら、知らないのも当然か。身分証明書は確かに必要だが、持っていない人にはここできちんと作ることも可能だ」

 それを聞いて、レベッカはホッとした。ならば迷う必要なんてなかったんだ。

「では、お願いします」

 そう言って、警備の人に誘導されて中に入り、書類を書く。

「名前と、性別、年齢………」

 出身は、近くにある村の名前でも書けばいいだろう。
 名前は偽名。年齢も偽ろう。幸い、姿も魔法で偽装している。今更だ。

(年齢は18歳。そして、今日から私は)

 そうして、レベッカ・ルーズ改め、フィアラ・チューナが誕生した。
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