家族に疎まれて、醜穢令嬢として名を馳せましたが、信用出来る執事がいるので大丈夫です

花野拓海

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3章 逆境は真実へと至る最初の道筋である。

100円だけでもアイドルは出来ますか

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 その後、通行人に質問することにより、なんとか会場が判明したのだが、まだ問題は残っている。

「衣装とか、どうしよう………」

 というか、元々持っていたお金はそのためのお金と言っても過言ではない。だが、それもいまやたったの100マネー。なにも買えない。

「技術も無いし………」

 だが、フィアラは技術に対してはなにも心配していない。
 アイトに色々教わっている時に言われたからだ。
 相手の動きを、技術を見て、盗み、上回ればいい、と。

「もしかしたら、レンタルしてくれるかもだし」

 取り敢えず行くことにしたのだった。
 辿り着いた会場は、フィアラの予想よりも大きく、立派な建物だった。

「えっと、開始は夜の6時からで、エントリーはお昼の3時からかぁ………」

 ちなみに今は3時50分。エントリー可能時間だ。

「すみませ~ん」

 そう言って、フィアラは静かに会場の中に入った。

「はーい。エントリーですか?」

「はい。そうです」

「では、パフォーマー登録カードをご提示ください」

 受け付けの人がそう言ったので、フィアラはカードと推薦状を出した。

「えっと、これでいいですか?」

 受け付けの人はその二つを読むと、推薦状を読み始めた。

「なるほどなるほど。チノさんの推薦ですね。では、こちらに必要事項を記入してください」

 そう言って出てきた紙には、身分証明書を作った時と同じような項目が並んでいた。

(まあ、偽装してる情報を出せば大丈夫かな?)

 そうして無事に書き終えると、受け付けの人は「少しお待ちください」と言って奥へ言ってしまった。

 手持ち無沙汰になったフィアラは、入口を興味深く観察していると、「フィアラさーん」と、受け付けから声が聞こえた。

「あ、はーい」

 フィアラが行くと、受け付けの人はカードを渡してくれた。

「はい。これでフィアラさんのパフォーマー登録は完了しました。フィアラさんは事務所に所属している訳では無いので、自分で仕事を見つけないといけませんが、それでもパフォーマー生活第一歩です。頑張ってくださいね!」

 そう言って応援してくれた。

「ありがとうございます。ちなみに、ステージで着るドレスって貸し出してくれるのですか?」

「はい。大丈夫ですよ」

 ということなので、フィアラは安心してステージに挑戦できるということだ。

 フィアラは一般客とは別の通路に進み、楽屋へと向かう。
 今回フィアラはノーマルランクとして出場するので、楽屋はノーマルランクの人全員で一部屋使うことになっている。
 チノのようなマスタークラスになれば、一人一部屋用意してくれるそうだが。

「えっと、確か楽屋はこっち………」

 そうして角を曲がると、フィアラは誰かとぶつかってしまった。

「痛っ」

 フィアラはなんとかバランスを取ったが、相手は倒れてしまった。

「す、すみません。大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫!こっちこそ、大丈夫だった?」

 両者はそう言って顔を合わせ、その顔に驚愕した。なぜなら

「え?チノさん………?」

「あ!フィアラちゃんじゃん!」

 フィアラがぶつかった相手は、チノ・リリルナだったからだ。
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