家族に疎まれて、醜穢令嬢として名を馳せましたが、信用出来る執事がいるので大丈夫です

花野拓海

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3章 逆境は真実へと至る最初の道筋である。

ワインを飲んでると、強そうなボスに見えるメリットがある。オレンジジュースを飲んでるマフィアはいない

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 走る、走る。その速度はまるで衰えることなく走り続ける。
 疲れると回復魔法で疲れを癒し、魔力がきれかけるとマナポーションで魔力を補充する。
 風を常に纏い、レベッカの速度を上昇させながら走るその姿は、まるで風の精霊のようだった。

 走って走って、休みなく走り続け、レベッカは遂に懐かしのルーズ領に辿り着いた。

「懐かしい………」

 かつての領地を見ての感想だった。
 ほんの二ヶ月前まで住んでいた街。だが、今帰る訳にはいかない。

「終わらせないと」

 決意を新たに、レベッカは森の中に歩を進める。
 道は覚えている。故に迷いなくレベッカは歩を進める。

 途中の魔獣も全て魔法で片手間に倒す。少し前のレベッカなら無理だっただろうが、覚悟を決めたレベッカならば可能なことだった。

「見えた………」

 懐かしの湖に辿り着き、レベッカは一度地面に座る。
 相変わらず、綺麗な湖はかつて来た時と何も変わらなかった。

「こんなところで、何してるんだろう………」

 それは、アイトを殺し、手紙を寄越してきた相手に対してだ。
 何をもって相手はこんなところを指定したのだろうか。

「そういえば、時間とか書いてない」

 改めて手紙の内容を思い出し、懐から取り出して見るも、どこにも時間は書いていなかった。

「まあ、元々いつクリアできるかわからないものだったけどね」

 終わる時が不明な手紙に、わざわざ日付や時刻を書くバカはいない。いや、そもそも手紙を封印するやつの方がいないだろう。

「前提条件が珍しかったね」

 一人でそう言い、苦笑いする。
 だが、この湖が犯人の居場所か、新たな暗号であることには間違いないはず。ならば、この湖のどこかにヒントがあるはずだ。

「外周か、或いは中、かな?」

 だが、どちらも中々に手間がかかる。外周は時間をかければ問題ないが、湖の中は準備がいる。

「考えても仕方がないね。外周から調べようかな」

 取り敢えず小一時間程の時間をかけて外周を調べたレベッカだったが、

「何も無い………」

 丁度一周したところでその事実を再確認した。

「ここになかったら、あとは付近の森の中?」

 いや、それは有り得ないだろう。なぜなら提示したのは湖。しかも思い出の湖。この場所以外には有り得ない。

「もう少し、ヒントないかなぁ………」

 そう言って手紙を取り出して再度読んでいると、突然強力な風が吹いてきた。

「きゃっ」

 その唐突な出来事に咄嗟に目に髪の毛が入るのは防げたが、誤って手紙は飛ばされてしまった。

「手紙が………」

 そうして手紙は湖の中に落ちて、落ちた瞬間に湖が光出した

「え?ええ?」

 その光はやがて広がり、湖全体に広がったかと思えば、レベッカの正面から湖の奥へ繋がる階段が出現し、その階段の部分だけ水が避けていた。

「えぇ………」

 その唐突な出来事に、レベッカは困惑するしかなかったのであった。
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