アイリスこぼれ話

小田マキ

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青き煌めきの行方

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「……済みません、その一対の指輪を」

 副隊長が発した思いも寄らない言葉に、カインは我が耳を疑った。
 ここは、市場通りに面した宝石商……ちょうど近くを巡回中だった二人は、店の中で客土同士の諍いが起こっていると聞きつけ、さきほどまで仲裁に入っていたのだ。一人の女性を巡った恋敵同士の決闘紛いの乱闘は、二人の想い人を連れてくることで、然して時間を割くことなく収束した。その後、出来上がった一組の恋人達は、高価な宝石を購入して悠々と去り、二人に大層感謝した店主の好意で、商品を格安で譲ってもらえることになった。
 真面目な副隊長が断ろうとするのをやんわりと制止し、カインがガラスケースの中の商品の説明を頼んだのは、店員である少女……宝石には欠片ほどの興味もなかったが、なかなかに自分好みの愛らしい彼女とお近づきになることが目的であった。
「カインさん?」
 けれど、口説き落とすまで後一歩に迫っていた少女に呼びかけられても、カインには返事を返す余裕がなかった。目の前の彼女から視線を外し、背後を振り仰いだ先には、ガラスケースの中を見つめ、宝石がかすむほど麗しい微笑みを浮かべる彼がいた。

   * * *

 その日の夕方、雷龍隊兵舎では、城下の巡回に出たカインからもたらされた一報により、激震が走っていた。
「いやもう、びっくりしましたよ……後一押しだったのにっ、いえ、こっちの成果は掘り下げなくて結構です」
「そいつは残念だったな……しっかし、ブルースに女がねぇ」
「下手な姫君より綺麗な面しちゃいるが、副隊長も男だかんなー」
「どこまでいってんのかねぇ」
「揃いの指輪を贈るぐらいなんですから、もう言い交わしてるんじゃないんですか?」
「マジかっ……」
「相手は誰だよ」
「にぶっ……そんなの、一人しかいないでしょう!」
「ああ、そうだな。ブルース副隊長はフォーサイス隊長の……」
 整理整頓という言葉からは程遠い机に立て肘をついて、隊員達はそれぞれ好き勝手に言い合っていたが……

「俺がどうかしたか?」

 何の前触れもなく、執務室の扉から鬼隊長が顔を出す。あまりに折よく登場した彼に、彼らの間には一気に戦慄が走る。
「たっ……、隊長、どうしたんですか? 急にっ……」
「急にも何もあるか、ノックをしても返事を返さなかったのはお前達だろう」
 常になくどもりながら問いかけたカインに、フォーサイスは不可解そうに眉根を寄せた。
「どうせくだらない噂話でもしてたんだろうが、そんなものは後にしろ……カイン、さっさと今日の報告書を出せ。一緒だったブルースは、一刻も前に出して帰ったぞ。それを受け取らんと、俺が帰れんだろうが」
 しかし、深く問い詰めることはせず、彼はやって来た用件を告げる。
「げっ……いえ、済みません! すぐにやります!」
「……ったく、半刻以内に持ってこいよ」
 そして、少々呆れたようなため息を一つ吐くと、彼は踵を返した。
「隊長!」
 何とも言えない緊張感が和らぎかけた中、机から立ち上がる騒々しい音とともに、辺りには空気を読めない新参隊員の声が響いた。
「隊長は、ブルース副隊長と結婚するんですかっ……!」
「はっ……?」
 まったく予想だにしない言葉を浴びたフォーサイスは、短い驚きの声の後、いまだかつて見たことのない表情を浮かべる……つまりは、完全に虚を突かれていた。
「……この馬鹿っ!」
「痛ぁっ、いきなり何するんですか!」
 入隊試験に合格してまだ一年に満たない彼に、うしろから加減のない拳を叩き込んだのは、一番の古株であるライサチェックだ。
「一度は聞き流してやったというのに、……下卑た噂話が過ぎるようだな。我が国では、同性婚は認められていなかったように思っていたが、俺の記憶違いか?」
 ただ、時すでに遅く、彼のとんでもない発言を誤解したフォーサイスは、鬼は鬼でも地獄の悪鬼と化した形相を刻んでいた。過度な恋情から、常軌を逸した行動に走る伯爵令嬢のせいで、筋金入りの女嫌いになっている彼にとって、色恋沙汰の軽口は禁句なのだ。
「入隊してまだ間もない新米に、馬鹿げた話を吹き込んだのは誰だ? 理由如何によっては、それなりの処罰を考える」
 そして、次に発された地を這うような声音に、件の新米を除く全員が縮み上がる。フォーサイスの背後にあるはずのない業火が爆ぜ、届くはずのない硝煙の匂いを嗅いだような気がした。
 以前、花冠祭の事件が縁で結ばれた妹姫ファティマとの友情を邪推し、彼女に一方的な想いを寄せる恋敵達から、副隊長のブルースがひどい嫌がらせを受けていた時期があった。それを察したフォーサイスが卑劣な輩達に下した制裁は、いまだ皆の記憶にも新しい。
 ある武官は矜持を粉々に砕かれて騎士団を去り、またとある文官は精神を病んで片田舎の荘園に引きこもった。その他、多数の者達が帰るあてのない外地任務につかされたり、僻地の閑職に追いやられたり……しかも、もれなく心神喪失状態に陥っていて、鬼神の逆鱗に触れるほどに愚かで恐ろしいことはないと、心底刻みつけられていたのだ。
「いやっ、あの……マジで違うんスよ! 誤解してるのはチェイスだけでっ!」
「そうっ、俺達が言いたかったのは、副隊長と妹姫のことでっ……」
「副隊長の巡回報告書を受け取ったなら、読みましたよね! 城下の宝石商であった騒動の話だったんですよ!」
 チェイス、後でシメるっ……そう全員が心に決めながら、次から次へと弁明の口を開く。
「あっ、そっか! 隊長の妹姫とブルース副隊長が結婚されるんだったんですか! わぁー、おめでとうございます!」
 馬鹿ーーーーーーーーーーーーーっ!
 そんなところへ、一枚岩になり切れないチェイスが笑顔で放った破壊力抜群の一撃に、その他全員の心的衝撃と、彼に対する殺意が、またしても膨れ上がった。
「……っ、……何の話だ?」
 身に覚えのない祝福の言葉を浴びせられたフォーサイスは、少なからず怒気を殺がれたようで問い返した。ある意味、空気が読めなさ過ぎるのも強みなのかもしれない。
「さっき、カインさんから聞いたんですよ! 今日、巡回途中に寄った宝石商で、副隊長がお揃いの指輪を買ってたって!」
「なっ……!」
 そして、若さの特権である無鉄砲な素直さで放たれた次の言葉に、彼は小さく唸って硬直してしまった。
「馬鹿っ、いい加減にしとけ!」
「痛ぁーいっ、エクトルさんまでひどいじゃないですか! 絶対にコブできましたよっ……」
「こっちは、コブどころか寿命が縮んだわ! てめぇ、いい加減に黙ってろっ!」
「むぐぇっ……!」
 これ以上の事態悪化を防ぐため、エクトルが彼を押さえ込む。雷龍隊一番の巨漢にのしかかられ、さすがにチェイスも二の句は告げられず、蛙が潰れたような悲鳴を上げた。
「指輪を買ったってのは本当なんですが、まだ送り主はファティマ姫だと決まったわけではっ……」
 その間も、噂話の代表者として名前を出されてしまったカインは、特に必死に言い募っていた。
「まったく……くだらんな、そんなことがあるはずないだろう。あのじゃじゃ馬とブルースが」
 目の前で繰り広げられる阿鼻叫喚の図を見ていたフォーサイスは、眉間にしわを残しながらも、一つ嘆息を落とした。
「お前達の勘違いだ。それくらいのことで無駄に騒ぐな」
 そして、注意する声音も比較的落ち着いている。どんな責めを負わされるかと戦々恐々だったカインは、ホッと息を吐きかけるが……
「ただ、カイン……お前は後半刻以内に報告書を持ってこなければ、懲罰房だ」
 扉から出ていく背中でしっかりと釘を刺され、空気が喉に詰まってしたたか咽(むせ)てしまった。
「ぅぐぐぐぐがぁっ……エグドルざん、どいでっ……!」
 そんな彼の足元からは、断続的に潰れたような声が上がっていた。チェイスを押さえ込むエクトルは以前、非合法賭博場の用心棒を長年勤めていた強面の巨漢、まだまだ少年の域を出ないチェイスにとって、小山に押し潰されているような気持ちだろうに。
「……ったく、お前のせいで散々だっ……」
 ただ、彼のお陰で一生分の冷や汗をかかされたカインは、まったく同情する気になれなかった。そして、自分も一緒になってチェイスに焼きを入れたかったが、今は巡回報告書を出すのが先決……懲罰房なんて、まっぴらごめんだ。
 しかし、彼が己の机に戻ろうと踵を返したとき、執務室の外からは、甚だ唐突に硬いもの同士がぶつかるような衝突音がした。
「何だ?」
 そして、何の気なしにチェイスを除いた皆して、廊下に顔を出し、目の前に広がった光景に唖然とする。
 それは、訓練場に面した廊下の柱の前に、額を押さえて、声もなく蹲る鬼隊長の姿……目の当たりにした隊員達は、気配を殺して室内に戻った。
「……必死に冷静装ってたんだな、隊長」
「マジで副隊長が結婚することになったら、立ち直れねぇんじゃね?」
「僕の勘違いであってほしいですよ……懲罰房なんていくら入ってもいいですけど、あんな姿は見たくないです」
 額を突き合わせ、小声で言い合う彼らの心は今度も、何だかんだ言いながらも尊敬と忠誠を誓った唯一の隊長に対する気遣いで、一致団結していたが……

「わぁっ、隊長! 大丈夫ですかーーーーーー!」

 小山の下から復活した少年隊員が叫んで廊下に飛び出していったことで、ふたたび二十五人の背中には悪寒戦慄が走った。

   * * *

「まあっ……こんな高価なもの、受け取れませんわ!」
 フカッシャー公爵家の者であることを示す、紺色のお仕着せを着た年若い侍女は、手渡された天鵞絨の小箱を開けると、小さく叫んで頭を振る。
「今日は貴女の誕生日でしょう、アウラ? いつも兄上に尽くしてくれている貴女の心は、こんなものでは見合いませんよ……どうか、受け取ってください」
 そんな彼女に対して、ブルースは優しく微笑んで言って、頭を下げた。異母兄ストレイスと主従を越えた恋仲であるアウラは、決して節度を忘れることはなかったが、自分に姉のような愛情を注いでくれる優しい人だ。ストレイスと自分に注いでくれる打算のない優しさに、こんなときくらいは報いたい。
 小箱に入っているのは、昼間、騒ぎの起こった宝石商で買い求めた指輪だ。指の細さは以前、戯れを装って調べていたので、ぴったりとはまるはずである。控え目に小さな青い輝石の埋め込まれた銀製の指輪は、赤みの強い彼女の黒髪にはよく映えるだろうと、ブルースは一目で気に入った。また、細かな彫りの施された指輪の内側には、幸福を意味する言葉が刻まれている。立場上、職務中に私用の買い物は控えるべき、と一緒に巡回していたカインを注意するべきだったが、輪の円周も二人にぴったりだった一対のその指輪と出会ったことは、今も運命だと思う。
「いいえ、見合いません! それは私の当然の職務ですし、それがなくてもっ……」
「受け取ってあげなさい、アウラ」
 寝台に上半身を起こした異母兄が、それでも固辞しようとする彼女に向けて言ってくれた。ストレイスの手には、すでに同じ形の小箱が握られている。
「ストレイス様……」
 寝台のすぐ傍らに立っていたアウラは、小箱を持つ手にそっと手を重ねてきた異母兄に、視線を移す。まだ迷っているような表情の彼女に、ストレイスは小春日和の日差しのような淡く優しい微笑みを送って、なおも言った。
「この子が言い出したら聞かないのは知っているだろう、ここはありがとうと言うところだよ……私もその指輪をはめた君の姿が見たいな」
 日々の仕事で荒れた指を優しく撫でながら諭す言葉に、アウラはようやくぎこちないながら口角を上げる。
「ありがとうございます……ブルース様、何より大切に致します」
 そのまま自分に向き直った彼女は、今度こそ心から嬉しそうに笑ってくれた。
「早くつけてみてください」
 やはり異母兄には叶わないな、と思いながら、促したブルースの前で、二人は互いの指に指輪をはめる。それは、ずっと見たかった光景……ここに宣誓を読み上げる神官はいないけれど、とても神聖な一瞬に同席している気持ちだった。
「よく似合っている」
 ストレイスの言葉に、一足先に涙ぐんだアウラの髪を、彼女にはめてもらった指輪の輝く手が優しく梳いた。薬指の円周を測ったのはわずか十日前にもかかわらず、ぴったりのはずの指輪がわずかに大きいように見える……彼の病状は、また悪化しているのだろうか? そう思うと、感動とは別の想いで胸が締めつけられる。
「ブルース?」
「どうかされたのですか、ブルース様?」
 何の前触れもなく、額を押さえて俯いた自分に、ストレイスとアウラが怪訝そうに呼びかけてきた。
「……っ、突然、寒気と頭痛がっ……」
 突如我が身を襲った症状に一つ長い息を吐き出した後、ブルースは呟くように言った。
「まあ、大変っ……お風邪を召されたのかもしれませんわ。すぐに薬湯を持ってまいります!」
「いえ、大丈夫っ……」
 慌てて身を寄せ合っていた異母兄の傍らから離れ、アウラは部屋から出ていってしまう。
「お前の大丈夫が大丈夫だったことは、残念ながらないよ。いいから、アウラに任せなさい」
「……申し訳ありません」
 兄にもそう諭され、ブルースは二人の幸せそうなひとときをぶち壊してしまった自分を嫌悪した。

 ただ、原因不明の頭痛と悪寒戦慄を覚えた瞬間、雷龍隊兵舎で敬愛する鬼隊長が柱で額を強打していたことも、その原因が突如副官に持ち上がった結婚疑惑に強く動揺したためであったということも、ブルースはまだ知るよしもなかった。
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