修復スキルで無限魔法!?

lion

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 「トーラ.......この子は一体.......?」

 お父さんはかなり困惑気味にトーラさんに尋ねる。

「あ.......うん、そうだったね。この人はトウゴ、さっきボクがホーンボアに襲われていた所を助けてくれたんだ。で、ホーンボアの肝臓を譲ってくれるって言うんで、お礼に家に招いてご飯でも食べてもらおうと思って連れてきたんだけど.......」

「あら!そうなのね!じゃあーご飯作らなきゃね!今から私が作るわよ!」

「だ、大丈夫なのか母さん?さっきまであんなに死にそうな顔してたのに.......?」

「平気よ平気!見ての通りめちゃくちゃ元気になったわよ!こんなに体が軽いのはいつぶりかしら!?ほら!ボサっとしてないでトーラ!ホーンボアの肝臓と肉を出しなさい!」

 おおお、お母さんめちゃくちゃ元気じゃないか。もともと元気いっぱいの人だったんだな。
 トーラさんが差し出したリュックと、ついでにオレのリュックも渡すとお母さんはダッシュで居なくなった。

「は.......ははは.......と、とにかく良かったじゃないか」

「お母さん.......なんだか全然現実味が無いけど.......治った.......んだよね?」

「そりゃああれだけ何度もキュアをかければ毒も消えて無くなっただろう。それにしても君は一体何者なんだ.......?魔法使いなのか?」

 あ、オレ?

「いえいえ、さっきも言いましたけど魔法なんて使えませんよ。このスクロールを修復して何度も使い回しただけです」

「修復?何度も?もしかして君は.......スキル持ちなのか?」

「スキル持ち?あーまぁ、『修復』ってスキルを持ってるみたいです」

「やっぱり.......どうりで.......。修復とは?」

 お父さんは顎に手を当てて不思議そうにしてる。そのポーズは異世界も変わらないのね。

「例えばですよ」

 オレはベッド横のサイドテーブルに置かれたガラス製のグラスを手に取る。そしてそれをサイドテーブルの角にぶつけて割って見せる。それから手に残ったグラスの破片に魔力を込める。

『修復』

 床に散乱したグラスの破片が浮き上がり、オレの手のひらにある破片に向かって飛んで行き元の形にくっついた。

「これは驚いた.......スキルなんてものも初めて見たが、こんなスキルは聞いたことも無い.......。つまり壊れた物を元に戻せるって事なのか.......?」

「まぁそうみたいです。で、スクロールで試してみたら込められた魔法も元に戻るみたいなんで。便利ですよねー」

「便利ってかもう.......えぇ.......?トウゴ、それはもしかしたらとんでもない事だよ」

「え?そうなんですか?」

 トーラさん、なんかめっちゃ驚いてるぞ?

「世間知らずの君だから、もしかして魔法について全然知識が無いのかい?属性についてとか、魔力についてとか」

「すいません.......全然.......」

「そんな事があるのか.......?トーラ、トウゴくんはこの辺の出身じゃ無い上に、魔法については何も知らない土地から来たって事なのか?」

 トーラさんは大きくうなずく。

「そんな土地があるなんて.......世界は広いな」

 お父さんは苦笑いをして続ける。

「魔法について、とても基本的な話をしよう。我々人間には生まれ持った魔力の属性ってものがある。それは素人も亜人も、魔人や竜人も同じだ。そして魔法はその人が生まれ持った属性の魔法しか使うことが出来ない。つまり一人の人間が使える魔法は一つの属性だけという事になる。まぁ例外もあるみたいだがね」

 うんうん、なるほど。オレはなんどもうなずく。

「そこで自分の属性以外の属性の魔法を使うためにジンツーグがある。ジンツーグは君の持つスクロールの様に傷を癒したり戦いに使ったりも出来るが、例えば火起こしに使ったり夜の照明に使ったりと用途も規模も様々だ。ただしひとつ、全てのジンツーグに共通する事、それは使い捨てと言う事だ。だからスクロールはそれほど数は存在しないし流通しない。どんなにすごい魔法であっても、1回しか使えないなんてあまり当てに出来ないだろう?かと言ってたくさんの数を持ち歩くのは大変だろうし、何より莫大なお金がかかる。余程の金持ちじゃないとそんな事は出来ないよ」

 あーやっぱりあの金髪マッシュバカはお金持ち様だったのか。

「でも君のそのスキルを使うとその問題の全てが解決してしまう.......。あんまりあやふやな事は言えないけれど、それはおそらくどの属性の魔法も無尽蔵に何度も使う事が出来て、さらに持ち歩くスクロールは一つの魔法につき一つでいい事になる」

「なるほど!それは便利ですね!」

「便利と言うかなんと言うか.......。とにかくだ、トウゴくん、そのスキルについては他の人に詳しく話さない方がいい」

「何故ですか?」

「そもそもスキル持ちって言う時点でかなり希少価値が高い。さらにもし戦いの場になった場合、相手の能力が分からないほど苦しい事は無いからね」

「なるほど.......確かにそうですね.......。じゃあトーラさん達とは戦わない事にします」

「それがいいだろう」

 そう言ってやっとみんなが笑ってくれた。少し場も和んだかな?

「さぁこんな話はこれぐらいにして、母さんの手伝いに行こうか。あんなに元気な母さんを見るのは何ヶ月ぶりだろう。本当にありがとう、トウゴくん」

「いえいえ、こちらこそご飯をご馳走になっちゃって。あ、そうだ、このキュアのスクロールお返ししますね。また使えるようになってますから」

「いやいいよ、それは君に差し上げよう。私にとってはもう壊れてしまった物だからね。後は君が使うといい。ただ、その代わりと言っては何なんだが.......厚かましくもひとつお願いをしてもいいだろうか?この村にはまだ他にも母さんと同じ毒に犯されて苦しんでいる人がいるんだ。出来ればその人達にもキュアをかけてもらえると嬉しいのだが.......」

「そんな事お易い御用ですよ!じゃあご飯を食べたらさっそく行きましょう!」

「おお.......ありがとう!それはみんな喜ぶよ!」

「ちょっとおー!お父さん!上の棚のお鍋を取ってちょうだい!」

 遠くから元気なお母さんの声が聞こえた。

「はいはーい!今行くよ母さん!」

 何だか呼ばれたお父さんはとても嬉しそうだ。
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