修復スキルで無限魔法!?

lion

文字の大きさ
48 / 82

誤ちの森のジンツーグ

    眩しい。
 どうやら朝日の眩しさらしい。だいぶ眠いが目を開ける。

「おはよー、起きたー?」

 荷物をまとめながら声を掛けて来たのはアサヒ。昨日は1番最後に寝たのがオレだったから朝まで寝てたのか。

「おはよ……。んんー眠い……」

「シャキッと起きろ、シャキッとよぉ」

 荷物をまとめ終わったゼニが石に腰掛けながらこっちを見てる。なんかめっちゃ元気そうだなぁ。

「野営も慣れて無いんでしょ?少しは眠れた?昨日の残りだけど朝ご飯にこれ食べて。後は川で顔洗ったらスッキリするわよ」

「んん、ありがと」

 アサヒに渡されたお椀には昨日の鍋の残りが入っていた。ちゃんと温め直されている。オレはそれを掻き込み空になったお椀を持って川へ。顔を洗うついでにお椀も洗った。

「お待たせ~、スッキリしたよぉ」

「じゃあもうOKかしら?トウゴがいいならもう出発しましょ?」

「大丈夫だ、すぐに出発しよう」

「よしよし!今日も張り切って行くかぁ!」

「あなたは朝からウザイわねぇ……。寝てる時以外静かな時は無いの?」

「無い!必要無いしな!ナハハハハ!」

 オレは荷物を担ぎジンツーグを手にした。中の球は昨日と変わらず僅かに振動している。

「えっと……、昨日は確かあっちから来たんだから、この先に進んだらいいのかな?」

「たぶんそうじゃない?ここに着くまでに振動もちょっとだけ強くなってたみたいだし」

「よし、じゃあ行こう」



「本当に広いなこの森……てかこの世界の森ってどこもこんなもんなの?」

 歩き始めて1時間ぐらいだろうか?森はどこまで行っても森のままだ。

「まぁ森なんてどこもこんなもんなんじゃない?たぶんそのジンツーグのおかげで変に迷ったり同じ所をぐるぐる回ったりはしてないはずだから」

 おそるべし異世界……。こりゃこんな大きな森で探し物なんてそうとう大変なのでは?

「おぉ?なんか中の球っころの動きが激しくなって来てねぇかぁ?」

 ゼニに言われて手に持っていたジンツーグを見る。すると確かに今まで以上に激しく振動している。

「これは探してる物が近いって事よね?」

「そういう事なんだよな?てことは進む方向は合ってるって事だ」

 半信半疑だったジンツーグの能力をはっきりと信頼出来た。それと同時に少しだけ緊張して来た。進む先にはジンツーグ、そしてもしかしたらそれを守るエンシェントエルフがいるかも知れない。そうなれば戦いは避けられないだろう。魔獣と違って人間相手かぁ……。これは相当心の準備が必要だな。


「だいぶ激しくなってきたなぁ?」

 ゼニの言う通り、先へ進めば進むほどジンツーグの球の動きは激しくなる。球は中で暴れているが、枠にぶつかる音はほとんど聞こえない。これもジンツーグの魔法なのか?

「さすがにここまで激しく動いてるなら、探しているジンツーグはもうすぐそこなんじゃない?」

「そうなのかなぁ?確かにかなり……」

 とオレが言いかけた瞬間に球がピタリと動くのを止めた。

「あれ?おい?どうなってんだぁ?止まっちまったぞ?」

「止まった……どうしたんだろ?さっきまであんなに激しく動いてたのに?」

「ジンツーグの誤作動って事は……たぶん無いんじゃない?そんなに複雑なジンツーグじゃないし。ってなったら、動かなくなる理由は探してるジンツーグが一瞬で移動したか、無くなったかのどちらなのかしら?」

「もしかして……他のパーティが今まさに破壊したって事じゃないか?」

「あぁー、なるほどなぁ?たぶんそれだぜぇ」

 アサヒに視線を向けると無言で頷く。

「何にせよ確かめに行ってみよう。たぶんこの先に進めば、少なくともさっきまでジンツーグがあった場所だ」

 オレ達3人は少しだけ警戒を強くし、極力音を立てない様に進んだ。

「なんか聞こえるぜ、こりゃあ武器がぶつかり合う音だなぁ」

 先頭を歩くゼニが小声で言う。確かに耳をすませば金属がぶつかる様な音がかすかに聞こえる。

「やっぱりこの先ね。ジンツーグが反応しなくなったのと、この音からすると、どこかのパーティがジンツーグを見つけた所でエンシェントエルフに見つかってそのまま戦闘って感じね。運良くジンツーグは破壊出来たみたいだけど」

「じゃあ助太刀した方がいいんじゃない?」

「まずは様子見だろ。言いたか無いが、逆に邪魔するって事もあるからなぁ。オレ達3人は全員近接職ばっかだからなぁ」

 なるほどそうか、即席のパーティとは言えパーティを組んだ時点でどう役割分担して、どう立ち回るかは決めてるか。そこにいきなり飛び入りで入っていっても、逆に邪魔の場合もあるか。様子見て優勢なら手出ししない方がいいって事もある訳だ。


「いたな、あれだ」

 一層身を低くしたゼニが指差す。その先には明らかに戦闘中のパーティが2組。片方はなんとなく見覚えがある。この森に来るまで一緒だった人達だ。そしてもう片方は深緑の独特な服装をしている。装備も軽装で皆背に弓を背負っている。そして何より耳が長い。

「あれがエルフかぁ~」

「お前また変に盛り上がってんな? 」

「何それ、エルフってそんなに珍しい?」

「初めてちゃんと見ました!本当に弓持ってんだな!」

「……まぁ落ち着け。それよりよぉ、ジンツーグを壊した冒険者パーティ、そこそこ消耗してねぇか?割と押されてる様に見えるぜ?」

 言われてみると、どちらかと言うと冒険者側が押されてる様だ。

「クッソ!ツイてねぇぜ!まさかの不意打ちとはなぁ!」

 冒険者パーティの斧を持った戦士が叫ぶ。それを全く意に介さずエルフは淡々と弓を射る。

「とりあえずジンツーグは破壊したわよ!体制を立て直せばあれぐらい、どうにか出来そうじゃない!?ちょっと詠唱の時間稼いでよ!」

 魔法使いであろう女性がそう言いながら戦士達の後ろへと下がる。それを察知し数人のエルフが細身の剣を抜き駆け寄る。

「させねぇよ!」

 戦士は斧を大きく振り回しエルフの接近を許さない。とは言え魔法使いを守る戦士3人、その全員がどこかしらに傷を負っている。

「大した事ねぇなぁ!不意打ちでも出来なきゃあ相手にもならねぇなあ!」

 余裕ぶっているが明らかに押されている。

「行くわよ!どいて!」

 掛け声とともに杖を構える魔法使い。その杖の先には炎がゆらめいている。

「我が敵を焼き払え!フレイムウィンド!」

 魔法使いの杖から放たれた、人ひとりまるまる飲み込む程の大きさの火球が戦士の間をすり抜けエルフに直撃する。爆音と共に炸裂した火球は周囲を焼き払い黒煙を撒き散らす。

「すっげぇなおい」

 ゼニが驚きの声を上げる。

「あれはずいぶんな威力じゃない?手加減無しね」

 素人のオレが見ても分かる程の威力だ。手加減どころか全力なんだろう。
 次第に煙が風に流されていく。

「残念だったな。魔法に関しては我々エンシェントエルフの方が何枚も上手なんだよ」

 薄れていく煙の中から現れたのは無傷のエンシェントエルフ。その全員が自分の前に半透明な板を展開している。

「な……マジックシールド……?」

「なるほど、さすがに魔法を扱うだけあってそこそこな知識は持っている様だな。それならば実力差も分かるだろう?」

 魔法使いの女性は膝から崩れ落ちそうになるのを辛うじて杖で支える。

「ちっ……ちょいと不利だなぁ」

 戦士が舌打ちをする。

「ではこちらも魔法で攻めるとするか。あまり大きな音は立てたく無かったのだがすでに手遅れの様だ。その未熟な魔法使いのせいでな」

 言ってエルフは右手を冒険者達に向ける。

「おやおや、エンシェントエルフとやらは随分と野蛮な種族の様だね。聞いていた話とは違う様だ」

 冒険者の後ろ、木々の向こうから老齢な声がした。ゆっくりと姿を現したのは魔法調査団の老人だ。そしてその後ろには調査団のメンバーが。

「あ、ミズィさんじゃないか」

 そこには見覚えのある天パの人がいた。
感想 11

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。